2020-01-01から1年間の記事一覧

レイ・チャールズ

1930年にアメリカ南部の黒人に生まれるというのは、何を意味するか? 差別と貧困のなか、6歳の時緑内障を患い、7歳にして完全に視力を失う。 5歳の時弟が溺死、14歳にして母を失い、15歳で父とも死別。 自立を否応なしに迫られ、シアトルに渡り、…

ジルベール・ベコー

私はこの人で、シャンソンに対する自分のイメージを根本から覆された。 フランスでは60年代後半、世界的な潮流だったロックが 他国ほど流行らなかった。 その原因はこの人にあったのでは、と言われているらしい。 ステージングからして、一般的に日本人がシ…

ジェームス・ブラウン

ブラックゴスペルのパッショネイトの裏にある、辛苦と差別の歴史を、 島国のわたし達がとうてい理解できるはずはない。 力強い声も、超人的な筋肉やリズム感も、 その引き換えに神様が与えたのかもしれない。 ホントに深い悲しみや苦しみというものは、「聖…

美空ひばり

小さなひばりさんの体から、悲しみは涙と共に、喜びは笑顔と共に、 歌となって溢れ出してきます。 でも、その溢れ出す量が、今まで見たミュージシャンの中で 一番多いと言えばいいのでしょうか。いい言葉が見つかりません・・・。 そして、驚きや感動と同時に起…

エディット・ピアフ

シャンソンの「アコーディオン弾き」、これはストーリー性に富んでいます。 「街の女の彼女はとても美人だった」から始まるように、 まず歌い手のスタンスは『語り手』として登場します。 歌というのは自分がなり切り歌うものと、こんな物語、こんな物語とい…

ドメニコ・モドューニョ

彼は「ヴォラーレ」を聞いて想像していた通りの人だった。 スケールの大きな感じの声に似つかわしいヒゲを生やした陽気なおじさん。 初めて画面を通してみた彼は、そんな表現がピッタリだった。 ステージやセットなどが、前に見たジャンニ・モランディのもの…

フィリッパ・ジョルダーノ

自分がやりたいことがはっきりしていれば、まったく前例のないことでも、 何をすべきかがわかり、辛いけれど迷いがないのだろう。 オペラ歌手の両親を持ち、発声の基本も身につけたところで、 そちらの道でも通用したかもしれないが、自分のやりたいことにこ…

ジム・モリソン

何て強烈な個性の持ち主なのだ。 打ち上げ花火というより爆弾のような人だ。 人間は、本能のまま生きようとすればするほど、早死にするのではないかと思う。 日本は世界一の長寿国と言われているが、人間の本能からみたら、 一番遠いところで生きている気が…

ビリー・ホリディ

彼女がひたすらにこだわり、守り続けた芸術性とは…?実際に、ビデオでビリー・ホリデイの声を聴くと、年齢によって、また曲によって、その印象が違って聞こえ、明らかに感じたのは、私の想像外の世界だったことだ。私の想像できたどんな声、表現でもない。ビ…

ルイ・アームストロング

あの独特の太くて深くてしわがれた声。 彼はトランペットも同じように力強く吹き、吹きながら歌い、歌ってはまた吹く。 彼は話してもメッセージが伝わるけれど、 あの素晴らしいリズム感にのって歌い吹くことで、人々を感動へと導く。 これこそが、歌うこと…

マレーネ・ディートリッヒ

歌をやりたいという以前に、一人の人間として立ちたかった。 男とか女とかそんな枠で考えるのではなく、 一人の人間として自分にしかできない表現をしたかった。 自分の考えを、自分の声と言葉で言いたかった。 そんな思いを、彼女をみて思い出した。 マレー…

ボブ・マーリィ

レゲエの歌詞をいろいろみたら、曲の感じとは全然違って、 世の中の理不尽なことや心の苦しみ、哀しみそんなものが多かった。 生活に根づいた音楽、時代に根づいた音楽。 日本からはこういった音楽は決して生まれないだろうと思ってしまう。 ボブ・マーリィ…

シャルル・トレネ

「表現の裏にあるもの」 彼のビデオを見て、なぜこの人を見てると楽しくなってしまうのだろう、 ウキウキしてくるのだろうと思った。 足をガンガン踏みならしながら思い切り拍手したい気分だった。 特に「喜びあり」を聴いたときは、全身の血がざわざわして…

トム・ウエイツ

歌とは何だろう。芸術とは何だろう。改めて考えていた。深い霧が降りてくるように、不思議な空間をつくるトム・ウェイツの音楽。いかに自身を見つめ確立し、深い世界観をつくっているかが見えてくる。1949年、カリフォルニアで生まれる。ブルース、ジャズ、ビ…

エルビス・プレスリー

アメリカで最も有名なスターの一人であるエルヴィス・プレスリー。ロック、ポピュラー音楽の歴史、文化に大きな影響を与え、重要な役割を果たした。反抗する若者を象徴した時代のロックンローラーからエンタテーナー的アイドル、俳優として一気に人生を駆け…

チャーリー・チャプリン

人を愛し、人生を愛し、世界に光を与えた、喜劇王 チャーリー・チャップリン。 映像は何時見ても、斬新で人に深い幸せを与える。 ドキュメンタリーは究極の芸術を苦闘し追及し続けた巨匠の形跡を追う。 19世紀末、イギリス・ロンドンの貧民街で生まれた彼は…

スティービー・ワンダー

“多くの人が過去の時代に生きている。 人種差別がまだ容認されるような時代に差別を受け入れて邪悪を信じている。 それを祭りあげて生きている。 しかし、また一方では未来の楽園を夢みる人々がいる。 人類が一つになるという時代や精神に生きている。 予言…

メルセデス・ソーサ

愛、そして勇気。そのまっすぐな愛情を社会へぶつける。 「大地の歌声 ラテンアメリカの母」と呼ばれる。 中南米の伝統音楽フォルクローレや、反戦歌を歌う、 ラテンアメリカを代表する女性歌手。 1935年、アルゼンチン北部の山岳地帯の村で生まれる。 …

大竹伸朗

芸術は果てしなく難しい見えないものを見えるものにする作業。 求めるものの深さ、そして自由を知れば知るほど、 この社会の中で、個々が生む芸術の意味、責任や試練も大きい。 作者の心の問いかけ、迷い、その半生の旅を見た気がする。 隙間もなく紙面上を…

武満徹

作るのではなく、聞こえてくる音を取り出すという考え、命や自然を聴くということに生涯をかけ、彼にしか聞こえない音、発見できない音、宇宙の音と評されるほどの独創的な音楽観、作品で、世界的に音楽界に新たな大きな発見と衝撃を与えた作曲家。「戦争が…

ビオレータ・パラ

“すべての人の歌 それが私自身の歌 人生よ、ありがとう” ラテンアメリカ、チリを代表するシンガーソングライター ビオレータ・パラの歌 “GRACIAS A LA VIDA”。 1964年、愛する人が去った絶望の中、自らの身を絶ってしまった彼女。 しかしこの歌は、その後不思…

オードリー・ヘップバーン

若い時のヘップバーンは“妖精”という形容詞がピッタリである。晩年に近い彼女は、気品ある一人の女性として、最も美しく見えた。万人に愛され、綺麗なだけの人形ではなく、意志や信念を持った大人の女性として行動した。自分さえ良かったらいいという人達が…

セルジュ・ゲンスブール

入り口は少年ふうで、幼くもどこか一片だけ妙に成熟している。 ロリータ風のジェーン・バーキンが写っているジャケットがオシャレ。 これを見れば、ゲンスブールがカリスマ的存在であろうことは伺い知れる。 アメリカは娯楽で軽薄で、ヨーロッパの方が奥が深…

ビル・エヴァンス

17世紀はクラシックもJAZZのように即興演奏が主だったが、録音技術がなかったため、楽譜をどう解釈するかになり即興的側面はなくなった。今やJAZZも同じ道をたどりだしている。JAZZを形式として考える人がいるからだ。クラシックは1分の音楽を3ヶ月かけて作…

ジョン・コルトレーン

より高く光輝な場所へ、誰よりも高い山を登り続け、 遥か高く見えないところで消えた伝説のサックス奏者ジョン・コルトレーン。 時代の先の先を走り続け、誰にも創造できない世界を築きつづけた男の本性は、 好奇心に満ち溢れた極まりなく真面目で、最高の芸…

高橋竹山

名人・高橋竹山の演奏を聴けてよかった。「岩木」が一番好きだ。 曲の始めにベベン!と鳴らした時、うわぁすごい音だと思ったのが調弦だった。 張り詰めていて、澄んでいて深くて厳しい音。 竹山の人生があの音のような人生だったのだろうと思う。 竹山は明治…

ジミー・スコット

憂鬱だからといって、歌を口ずさむ心をなくさないで下さい。音楽はこの世で最も大きな“いやし”の力なのです。音楽には愛と思いやりが満ちているのです。旋律の魅力だけでなく、人生の物語を感じさせる歌詞にひかれる。そういった楽曲を、ジャズの様式に再構…

V004「暗いはしけ」アマリア・ロドリゲスと村上進(ポルトガル語と日本語)との比較           

1.歌詞と曲と演奏 ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど 2.この歌手自身の声、歌い方、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと(VS比較歌手) 1.歌詞が女性の歌なので、やはりアマリアの方が、深く心…

V003「アドロ」(日本語)グラシェラ・スサーナ   

1.歌詞と曲と演奏 ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど 2.この歌手自身の声、歌い方、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと(VS比較歌手) 2.歌詞は日本語の部分がメインですが、アルゼンチンのタ…

V002「さよならをもう一度」尾崎紀世彦       

1.歌詞と曲と演奏 ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど 2.この歌手自身の声、歌い方、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと(VS比較歌手) 1.近年の男性の歌うポップスは、高音域ばかり流行ってい…