ジョン・コルトレーン

より高く光輝な場所へ、誰よりも高い山を登り続け、
遥か高く見えないところで消えた伝説のサックス奏者ジョン・コルトレーン
時代の先の先を走り続け、誰にも創造できない世界を築きつづけた男の本性は、
好奇心に満ち溢れた極まりなく真面目で、最高の芸術のために全てを捧げていた。

1926年、ノースキャロライナに生まれ、熱狂的な礼拝音楽の中で育つ。
製糖工場に働きながら、音楽学校で勉強をし、1945年には海軍の中で
軍楽隊に所属。その後は、ガレズビー、パーカーたちのビーバップに影響を受け、
彼らから学びに学ぶ。サックスをサックスのように吹こうとしないスタイルは、
パーカーとよく似ていたといわれる。

気にかかる、分かりたいことは、全て分かろうとした勤勉家でもあり、
何万時間の練習の中、アフリカや東洋の思想、文化なども積極的に学び始めた。
誰もあれほど一生懸命ずっと練習する人はいないと言われるほど、
体が弱いにもかかわらず、ライヴの直前までも汗だくになるまで練習をしていた。

彼の革新的なスタイル。
常に両極端に分かれる評論の中で、聴衆もますます増えていった。
音楽は悟りの手段であって、目的ではなかった。精神的高まりへの過程。
やがて、ラヴィシャンカールとの出会いにより、古代の哲学をより深く学ぶ。
一連のパターンが作り出されある種の精神状態に入り、ヴァイブレーション、
それが世界の構造を理解する第一歩なのだと教えられる。
その中、彼の音楽はますます自由化していく。

極まりない技術や才能に恵まれ、周りがどんなに驚き絶賛しようとも、
彼自身は満足することはなかった。誰も着いていけなくなるほど前進していく。
前衛に突っ走り、多くのファンを失う。しかし、止まらず走り続ける。
その難解さに多くのファンを失いながらも、もっとフリーに、もっと究極な
インプロビゼーションを求めやめなかったのも、そこに果てしない信仰や信念があり、
より上へと求めた真の芸術家であったからこそだと思う。

その果てしない実績を築き上げたコルトレーンは、
今、生きる世界中の芸術家たちの師となり、走り続けている。