総合 目次

タイトル一覧 
1.歌唱力をつける耳と歌づくり(複数トレーナーの同曲アドバイス) 
2.アーティスト論 
3.おすすめアーティスト・作品(投稿による)
4.プロのアーティスト論
5.スタンダード曲 同曲異唱での学び方[同曲異見]
6.カンツォーネの歌い方
7.日本の名曲の歌唱ポイント
8.コンコーネ50での学び方[同曲異見]
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V050「限りなき世界(イル・モンド)」 ジミー・フォンタナ

1.歌詞と曲と演奏など

(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)

2.歌手のこと

(声、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと)

3.歌い方、練習へのアドバイス

 

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1.第3音から、半音高いキーの高い第5音までの、やや広めの音域で、サビは、高い主音を中心に歌われます。初期の録音では、キーが半音高く、低い主音から始まり、低い第5音も使って、後半には半音上のキーに転調して、高い第3音まで使うので、2オクターブに近い音域をそれなりに使わなければなりません。

ただ、始まりは低い主音なので、落ち着いてしっとりとした始まりで、次第に盛り上がっていきます。しかし、この録音では、始まりが高い主音なので、無理に張っているわけではありませんが、声のよさが目立ち、余裕も感じられます。

 

2.ジミー・フォンタナは、ハイバリトンか、低めのテノールのようで、無理のない発声で、初期の録音では、無難に歌いあげています。この録音では、キーを半音下げているため、使う音域も少し狭く(最高音は全音高いですが)、余裕があるためか、気持ちもかなり込めて、少しだけ声に無理をしているようです。

 

3.高音域が比較的苦手ではない男性は、これに近いキーで、練習してもよいでしょう。

女性は、地声高音域を少しがんばれば、ジミー・フォンタナと同じ音域で歌うことができます。ただ、低音域は、無理があるかもしれません。キーを少し変えて、楽な地声から、少し高めのミックスヴォイスを使えば、よい練習になるでしょう。(♭Ξ)

 

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1.イタリアンポップスというか、カンツォーネというか、失恋をここまで明るく、素敵なメロディで仕上げてしまうところがいかにもイタリアの歌という印象です。しゃべるAメロと歌い上げるサビ。この二つの対比がとても印象的です。サビの部分には声の力がとても必要という印象です。発声の基礎力がないと面白味にかける曲になってしまうかもしれません。その意味では歌手の力量が試される曲という印象です。

 

2.甘い声で明るい発音がとても印象的な歌手です。そして言葉を「しゃべるように歌う」というイタリアの昔からの歌唱法をそのままやっているような歌手という印象です。歌っているよりしゃべっているという印象の方が強い。日本人にはなかなかここまでの明るさのaの母音は難しい。最終的にAの母音が一番難しくなっていくのは明るさと浅さがリンクしやすいからなのですが、ジミー・フォンタナのAの母音は学ぶべきところが多いと感じました。またRの子音の巻き舌がとても聞こえる。Rが2~3個あるくらいの巻き方なので、この辺りも歌うよりしゃべっているように聞こえる要因かもしれません。

 

3.言葉をよく読むということでしょうか。しかし読むというレベルをこだわってみるとよいかもしれません。普通の倍くらいの音量と距離感をもって、お腹をつかって読んでください。難しい場合は、胸を鳴らすことを意識して読んでみるとよいでしょう。(♭Σ)

 

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1.曲の展開としては穏やかな語りのフレーズから始まり、少しずつ気持ちが高鳴り、サビで盛り上がるという流れで、盛り上がったまま終曲します。ただ一辺倒に歌うのではなく、歌い出しからサビのmondoに向かっていく様を、声・表現ともにメリハリを持って演奏したいです。

 

2.ジミー・フォンタナの声は癖もなく一般的には聞き心地のよい声だと思います。歌い出しのまるでしゃべっているかのような歌詞の運びや、mondoに向かっていくクレッシェンド、サビに入ってからの声の伸びなどからとてもうまく息のコントロールをしていることがわかります。

 

3.歌い始めの部分は、歌詞は正確に発音しながらもできるだけ滑らかに声を進めて語っているように歌いたいです。音程をつけずに、リズムに合わせて歌詞の発音をする「リズム読み」の練習がおすすめです。予め発音を口に馴染ませておくと、音程をつけた際にもスムーズに発音が進みます。

この曲のキーワードであるmondoは伸ばす音符の上で歌うのですが、子音Nの発音が落ちやすい(聞こえにくい)です。子音Nが欠けると違う意味になるので、moと同じ音程のまま子音Nも有声子音として発音してください。またverràの発音も、berràと聞こえやすいのでしっかりと子音Vを意識したいです。(♯α)

 

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1.失恋ソングですが、決してジメっとなんかせずに、高らかに歌い上げることが特徴の曲だと思います。この辺りは日本人的感覚と対照的な部分ですね。

 

2.ジミー・フォンタナの歌い方から感じるのは、表現にこだわってせりふのように語る印象を受けます。歌い手的というよりも、俳優的に聞こえるのは、彼がもともと俳優であるからかもしれません。

「Il mondo」のイの発音がやや詰めて押したような発音になっているように聞こえます。表現に寄せているのかもしれません。この辺りが歌手的ではなく聞こえる原因かもしれません。

 

3.語るように歌うということは、本来であれば演奏効果が高くなる方法なのですが、表現によりすぎてしまうと、声を犠牲にする部分が出てきてしまうと思います。曲として歌う以上は、歌手として、歌手の仕事の範囲で聴衆を魅了する方がよいでしょう。語り方と歌い方のバランスをどう取るか、よく研究が必要です。語る上で、声を犠牲にするところまでは必要ではないでしょう。(♭Я)

 

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1.イントロ部分はC majorで「ラララー」というボカリーゼ、そして語りのような部分を経て、サビ×2コーラス、C♯ majorに転調し、サビがインストゥルメンタルで演奏され、サビ、コーダで再びイントロと同様の「ラララー」で歌いあげるという構成で成り立っています。

 

2.明るい声質で、基本的にはクラシックな発声をベースに、伸びのよい声で歌っています。いかにもイタリア人が歌う英語という感じで、母音がとても明瞭で聞きやすく、英語で声がなりにくい人は彼の英語の母音歌唱を参考にすると声が伸びやすくなると思います。

最初のラララーで少し鼻にかかった発声が見られますが、鼻にかけることでピッチの正確さを狙っているようです。こぶしを入れたり、泣きを入れたような声を用いて表現しています。低い声より高い声に輝きがある音域をもっています。最後のロングトーンでは、6秒後ぐらいに声の支えが抜けてしまったのが残念です。

 

3.西城秀樹が「ローラ」と歌いだすときのような、泣きの声を語頭に入れることで、切なさ、切実さなどの感情表出を効果的に出せています。

この歌手の声の伸びを是非真似てみてください。イールモーンドの「ド」でフレーズが終わることなく、次のフレーズ、次のフレーズと、どんどん繋がっています。

低音の語り、高音の声の張り、そして泣きを入れることで歌唱にメリハリを与えていますので、この歌い分けも参考になるでしょう。

泣きの声に関しては、How I loveの「H」、 your love soの「s」、 Let tender kissの「L」 、そしてとうとうIl mondo「I」(冠詞)、Happyの「H」 、promiseの「p」、you stay の「s」など感情的なワードに主についています。Il mondo のIlは冠詞なのにもかかわらず泣きがついているのが感情の高ぶりを感じさせます。(♯β)

 

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1.「限りなき世界」を雄大に表現しています。つまり、月並みな言葉で言うと、「長い」、と感じます。1つのフレーズも、サビまでの距離も長い。音域も広いです。それだけに処理も難しいです。

 

2.長さを感じさせず、フレーズは徐々に盛り上がっていき、サビの「イルモンド」にスムーズに繋がります。このフレーズの持続力が素晴らしいです。そもそもはじめのナンバーから、尋常ではありません。深い息と声。語るように魅力的な歌い出し。また音域の広さを感じさせない統一感での「イルモンド」のシャウトの見事なこと。

 

3.歌い出しのナンバーをフレーズコピーしてみましょう。いかに深い息と声が必要かがわかると思います。余裕があれば、全曲を歌ってみてください。「息とフレーズがもたない!」と感じるはずです。そこからトレーニングに落としていきましょう。(♭∴)

 

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1.きっといろいろな些末事に悩まされているにもかかわらず、廻る世界を大きな視点で眺めるという内容。スケール感が大きく、青空のように壮大で爽快なナンバーです。歌唱部冒頭の楽譜にはStrofa(Liberamente)つまり「語り(自由に)」との記載あり。次第に語りは歌へと移行していき、順次進行で上昇。そして浮遊感のあるサビへと到達します。

 

2.音域が広く、どんどん高くなっていく曲ではありますが、ジミー・フォンタナは同じギアのまま気楽に歌い続けているように聞こえます。実際にはいろいろ工夫があるのでしょうが、それがまったく見えない(見せない)歌手です。気負いのない伸びやかな歌唱が魅力です。

 

3.冒頭は何度も朗読して韻律や語感を掴みましょう。それができてはじめて音に乗せて歌えるようになるのです。サビ前はどんどん上行していきますが、まだがんばるところではありません。ペース配分を考えましょう。サビは大きなメロディラインを意識してレガートを心掛けましょう。(♯∂)

おすすめアーティスト・作品 No.392

「PERFECT DAYS」(映画)

役所広司カンヌ映画祭で男優賞を取った映画です。東京の公園清掃員の主人公は安アパートに1人暮らし。一見負け組のような生活ですが、仕事は完璧に行い、生活のなかで無駄なことは一切しない。自分が必要だと思うことだけをし、自然の恵みに感謝し心豊かな日々を送っています。

やるべきことをきちんとする、そして満足することを知り、自分の人生を生きている主人公の生活に清々しいものを感じました。

 

「燈火(ネオン)は消えず」(映画)

香港といえば、ネオンギラギラの夜景、と思っていた。少なくとも十年前、広東語初学者の自分が訪れた香港はそうだった。ところが今や、そのネオンの九割が撤去されているという。2010年の建築法等改正の法律が出来たためだという。ネオン職人だった亡き夫のやり残した仕事、最後のネオンを完成させようとする妻と、その回りの人々の様々な葛藤、奮闘、困惑。映画のエンドロールには実際のネオン職人たちも登場する。香港独自の文化を消したくないという想いが伝わってくる。久しぶりに、広東語の響きを堪能した。北京中国語とは全く違う、この言語は音楽的だ。この映画を見たときは、肉親の病状が悪く、かなり落ち込んだ気持ちだったけれど、映画の二時間、作品の世界に浸ることが出来た。役者も脚本も映像も良かった。映画ってすごい。自分も歌の中に、他者に働きかける力を養わなければ。

 

「キッチン」吉本ばなな(本)

数年前に読んだ小説を読み返してみました。子育てを通して、自分自身の世界の見方が変わったことを感じました。

 

「ポトスライムの舟」津村記久子(本)

主人公は29歳、女性。工場の生産ラインで働きながら、カフェやパソコン教室でバイトもしている。そんな生活をしている自分が嫌になったりもするが、ある日、世界一周のクルーズの費用が自分の工場勤務の一年分の稼ぎと同じ163万だということを知り、お金を貯め始める。友達のために予期せぬ出費をしたりしながら、ついに163万貯める。このときの解放感は希望の光が見えたようでとても嬉しくなりました。毎日コツコツと働くのも無駄ではないんだ、と感じられる小説です。

 

歌劇団のオペラ」(TV)

テレビで見て、案外と口まわりはリラックスしているものだ…と思ったところだった

ハリウッドの役者が歌手なのかと思うぐらい、すごいエンターテインメント性の高い演技力の高い舞台で驚いた

 

「モネ連作の情景」(美術展)

モネの作品だけが展示されている美術展でした。芸術家というと才能というイメージでしたが、自分の描きたいものをとことん追求する姿勢や世間に認められるための努力など並大抵ではないと改めて感じました。

V049「死ぬほど愛して」 アリダ・ケッリ

1.歌詞と曲と演奏など

(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)

2.歌手のこと

(声、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと)

3.歌い方、練習へのアドバイス

 

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1.低い第5音から第5音までの、1オクターブとそれほど広くない音域の曲で。さらにアリダ・ケッリの歌うオリジナルでは、女性の地声には、それほど無理のない範囲の音を使っています。

最初のメロディは、低い第5音から始まり、主音へ跳躍しながら始めの「アモーレ」を歌い、第2音で2回目の「アモーレ」を、そして調性を確定する第3音で3回目の「アモーレ」を歌ったあと、だめ押しのように、主、2、3、2、主音で「アモーレミオ」と歌い、短調感を確定しています。始めの跳躍以外は、順次進行なので、下手に歌わない限り、印象に残る美しいメロディになります。

 

2.アリダ・ケッリは、エッジをうまく使った無理のない発声で、息混じりの声でもエッジをうまく活かして、声の統一感を出しています。また、暗い音色で、映画中の曲のイメージにマッチした表現になっています。少し残念なのは、充実した強い高音域(中低音域でもよいのですが)は、なさそうな点です。これがないと、曲の種類や表現が、少し限定されてしまいます。

 

3.エッジヴォイスをうまく使いたい人は、是非、繰り返し聞いて、真似をするとよいでしょう。ただし、高音域などでの、充実した声は出せないので、そこは、しっかりわけてトレーニングしていきましょう。(♭Ξ)

 

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1.比較的ゆっくりな曲で、抒情的なメロディ。何度となく歌われるamore mioという言葉がとても印象的な曲です。イタリア語としては初級でつかわれるような言葉が多いので、意味を理解しやすい楽曲です。

 

2.しゃべるように歌うという言葉がぴったりな歌手です。フレーズの最初の音が力まず、しかし声門閉鎖がしっかりと行われて息漏れがないしぜんなアタックで歌いだせる素晴らしい歌手です。フレーズの最初のアタックというのはとても難しいのですがそれを難なく行っています。そして発音がとてもしぜんで美しいので聞く努力をしなくていいのがとてもありがたい歌手です。台詞のように歌うというまさにイタリアの歌手といった印象でしょうか。

 

3.アの母音を明るく発音することからはじめてみるといいかもしれません。アという母音を浅くなく、しかし明るく身体から離すということをイメージして訓練してみましょう。まずここから始めるとイタリア語がクリアになります。日本語のアとイタリア語のアは明るさが全く違います。深さも違います。深いけど明るいというイタリア語を台詞のレベルまでトレーニングするとこの歌が比較的楽に歌えると思います。(♭Σ)

 

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1.歌詞は女性目線で書かれた内容で、死ぬまで一緒にいたいほどの愛は遂げられなかったその想いをイタリア語で歌っています。旋律の動きは大きくないですが、短調の中でテンポが前気味に進んでいくことで歌詞の内容やその切実さがより引き立っているのではないかと思います。

 

2.ケッリはシンプルな旋律の中でも上手く緩急をつけて、1オクターブ程の音域でもこぢんまりとせずにダイナミックさのある歌唱になっています。それにより歌詞の言葉ひとつひとつがより際立って、結果的に曲全体が印象に残るような歌唱になっているのだと感じました。

 

3.旋律も歌詞の発音も比較的歌いやすい曲だと思いますが、それがゆえにただ音をなぞるだけでは単調な歌になりやすいです。歌詞だけの練習をして、アクセントを大げさにつけて発音してみると、シンプルな旋律の流れにより動きが出てきます。ケッリの歌唱は恐らく実際のリズムよりも揺らしていると思いますが、フレーズの運び方や発音の感じを掴む意味では模倣してみるのも勉強になると思います。(♯α)

 

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1.2分弱の短い曲ですが、同じ単語を何度も繰り返すように歌い、訴えかけるような印象を与える曲だと思います。

 

2.表現的な意味での語り方と、滑らかに歌うような語り方という二つの意味で、この曲を印象的に歌っていると思います。同じ単語を繰り返しても、それぞれに色の変化があるように聞こえる歌い方をしていると思います。

 

3.レガートな歌い方を基本としながら、何度も繰り返す単語にどのような変化をつけるかを、自分の感性で語れるように表現しながら歌うとよいでしょう。同じ言葉を繰り返し歌う場合、同じように歌うだけだと、聞き手は退屈してしまいます。こういう場面でどのような変化をつけられるのか、どのような感性を出せるのかというのが、歌い手としての力量の一つです。ただきれいに歌うだけではつまらない曲になってしまうと思いますし、劇的に激しく歌いすぎても荒々しくなってしまうと思います。劇的でありつつ、滑らかさを失わずに歌える歌い方というのを研究してみるとよいでしょう。(♭Я)

 

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  1. 映画「刑事」の主題歌でヒットした曲です。ラテンのリズムの伴奏が絶えず刻んでいる上で演奏されます。4小節からなる5つの似たようなフレーズの連なりで成り立っています。この5つのフレーズの連なりが1コーラスを形成し、全体としては2コーラスで編成されています。ギター、ストリングス、アコーディオンなどを伴奏に迎えています。

 

2.ややハスキーな声で、声の中にもの悲しさを感じさせる音色を持っているように感じます。音と音のつなぎ方でうまく聞かせており、レガートでありながら、言葉の抑揚が非常にうまくついているので、歌いまわしがのぺっとしていない、メリハリのある表現が可能になっています。

 

3.言葉と譜面だけ見ると、ベターっと歌ってしまいがちですが、この歌手がやっているような音と音のつなぎ方を研究してみるといいと思います。「アモーレ」で少しディミニエンドして、「ミーオ」の「ミ」に重きを置きながらコブシのようにトリルを回します。このようなコブシを聞かせたいときには太い声で歌うとうまくいきません。細く、圧力を鋭くかけるような感じで歌うといいでしょう。ホースの先を絞ると、水の勢いが強くなるようなイメージです。(♯β)

 

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1.シンプルなリズムパターンに乗って行く、暗い曲想。ヨーロッパの片田舎がイメージに合う。あまり日の当たらない少し湿気た匂いのする石造りの建物。スーパーマーケットはなく、昔からの量り売りで野菜や果物、肉を買う。

このように、よくわからない言語の曲を聞くときは、はじめから歌詞を調べたりはしないで、勝手なイメージで構わないので、どっぷりと曲のイメージに浸ってください。できるだけ具体的に、色や匂いが現実的に感じるようになるまで。この曲はシンプルであるがゆえに、そのような練習に適しているように思いました。

 

2.長いフレーズの線を意識して聞いてみてください。はじめの「アモーレ…」3回言うごとに少しずつ盛り上がっていき、「アモーレミオ」で一気に解放される。フレーズの作り方が見事です。次のフレーズは「インブラッチョアテ」1回目と同じメロディですが明らかに「高い」フレーズを作っています。1回目ほどフレーズの終わりに開放感がなく、ある程度の緊張感をもって「ヴォイロ」の3フレーズ目に進みます。こうして、フレーズそのものの緊張と弛緩、フレーズの間の関係を何とか聞き取ろうと努めてください。

 

3.初めのフレーズを取ってください。フレーズにうまく頂点が作れたか、それがしぜんに終わったか。フレーズの終わりをふしぜんに急がせなかったか。できたと思ったら次のフレーズに進みます。音域が広くないため、この曲はフレーズを音楽的に組み立てる練習に最適です。

(♭∴)

 

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1.「ビギン」というカリブ海マルティニーク島発祥のダンスリズム(ゆったりとした2拍子。ツタータ・ツタタタ)に乗せて、しっとりとエキゾチックに歌われるのは「愛するあなたとずっと一緒にいたい」というストレートな愛の言葉です。

 

2.ケッリの歌声は大人の女性の魅力溢れる情感豊かな音色です。同時に、どこか男性の庇護欲を掻き立てるような危うさも感じさせます。レガートが美しく、傷ひとつない歌唱と言えるでしょう。

 

3.音域が狭く、リズムも単純なため、さほど演奏が難しい曲ではありません。こういう曲で極めて優美なレガートで歌う練習をしましょう。お勧めしたい練習方法は、ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器を演奏する真似をしながら歌ってみることです。弦楽器を全く触ったことがない人は演奏動画を見てみるといいです(スローテンポの曲にしましょう)。ゆっくり弓を動かす感覚や、音が変わっていっても弓は細かく動かさず、一定方向にすすめるだけだという知見が、きっと歌でのレガートに役立つはずです。(♯∂)

 

おすすめアーティスト・作品 No.391

「ばにらさま」山本文緒(本)

6つの短編小説が収録されています。どの物語も日常にありそうな風景が思いもよらない方向に進み、葛藤する登場人物について描かれています。なんかなぁ、と思いながらも自分なりに引き受けて生きていかなければならない、誰もが少なからずそんな思いを抱いて生きているんだ、と感じられる小説です。

 

「青い壺」有吉佐和子(本)

ある陶芸家が作った青磁の壺が、贈り物、盗難などで様々な人の手に渡り最後に陶芸家の目の前に現れる、という話です。

13の短編からなり、登場人物の年代や家庭環境、職業は多種多様。青磁の壺は必ずしも物語の中心とは限らないのですが、思わぬところで登場し存在感を示し、また世の中の繋がりを感じられます。

青磁の壺は物なのにまるで生き物のように人の心に入り込むところが印象深かったです。

 

「さくら」西加奈子(本)

主人公は5人家族の次男。優しい両親と人気者の兄と美人だが性格に難あり、の妹。一見幸せそうだが、それぞれが生きづらさを抱えている。そして家族全員の癒しになっている愛犬サクラ。

兄の死、妹の引きこもり、母のアルコール依存、父の失踪と家族が崩壊しそうになるが、サクラが支えてくれる。

この物語の主題は世の中に馴染めない人、世界の片隅に追いやられている人だと思う。

家族が世界の片隅に追いやられそうなとき、サクラを介して生きる場所を見つけている。

物語の最後の言葉「僕らのボールを今か今かと待っている誰かがいる。どんな悪送球でも、ばっちり受け止めてしまう、大きくて暖かで、かけねのない何かがいる。」という言葉が心に響きました。

V048「そして今は」 ジルベール・ベコー

1.歌詞と曲と演奏など

(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)

2.歌手のこと

(声、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと)

3.歌い方、練習へのアドバイス

 

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1.大失恋の曲です。クラシック好きなら、「ボレロ」に伴奏が似ていると感じますが、意図的にそのような作りにしたようです。

 

2.ジルベール・ベコーは、他の曲では、なかなかツヤのあるよい声をしていますが、この曲に限っては、気持ちを込め過ぎてツヤをなくした声を使っています。他の録音では、それでも少し控えめに使っていますが、特にこの録音では、多く使っているようです。普段のベコーをよく知っている者には、むしろ同情や感銘を与えるかもしれませんが、声を犠牲にした表現は、少しもったいないと思います。歌詞に思いを込めるあまり、とても子音が強く発音されているのも、聞く者の、声そのものへの意識が薄くなる原因でしょう。結局、熱唱するあまり、力が入り過ぎて、声にブレーキをかけることになっているようです。

この曲をカバーして大ヒットしたシャーリー・バッシーは、堂々と、声の力でこの曲を歌いあげています。

 

3.この曲のオリジナルのベコーに影響されて、力んでしまうカバーが多いですが、シャーリー・バッシーなどを参考にして、力み過ぎないように気をつけて練習しましょう。(♭Ξ)

 

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1.ボレロを連想させるような打楽器のリズムとその上で歌われる、フランス語。規則的なリズムと会話のような歌の調和が楽しい一曲。

 

2.カンツォーネのように歌いあげるわけでもないのに、シャンソンでありがちな息漏れが少ないのが特徴だなと感じました。せりふに音程がついていて、そのせりふがよくなる声で素晴らしい。

 

3.まずは歌詞をしっかりと胸でとらえられるように喋るといいと思います。胸で言葉をとらえられると基礎力があがっていきます。(♭Σ)

 

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1.歌詞はフランス語で、恋人と別れてしまった後の喪失感や切実な心境を歌っています。ですが短調で悲しみにくれた感じではなく、長調でむしろ切実さを強く訴えているような印象を受ける曲です。旋律は短めで休符も多く、想いを語り始めるといった歌い出しではありますが、ボレロのリズムがあることで心は穏やかではないと感じさせます。

 

2.ベコーの声は伸びもよく聞きやすい声ですが、それ以上に表現力がとても豊かであることが聴衆を惹きつけるのだろうと感じました。仮にフランス語がわからない人がこの曲を聞いたとしても、何か切実な思いを訴えているという感情の動きはちゃんと伝わると思います。大げさかもしれませんが、曲を聞き進めるうちにまるでベコーと曲が一体化しているような感覚になりました。

 

3.全体的に短い旋律が続くので、表現や気持ちの部分が途切れ途切れにならないように気をつけたいです。いったん音程を外して、歌詞だけの発音練習をしておくと効果的です。詩の朗読のような感じで滑らかに発音ができるようにしておきましょう。歌詞を全体的に把握しておくと、音程をつけた際にも休符で流れが止まることなく(音楽的に途切れることなく)先を捉えて歌い進めていけます。(♯α)

 

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1.愛する人を失った気持ちを、単なる喪失感というよりも、熱く悶々と歌い上げるような曲に仕立てられていると思います。オケのリズム感などは、ラヴェル作曲のボレロによく似ており、このリズムを鼓動や熱き血潮に見立てているのかもしれません。

 

2.ベコーの歌い方は、悶々とした気持ちを表現するような歌い方が印象的ですが、やや攻撃的な表現が勝っている印象を受けます。ことばを立てる際に子音を固く立て、顎も固くしているような印象です。これはこれでひとつの形なのだと思いますが、歌い癖を参考として真似するというのは、あまり歓迎できるものではないかもしれません。

 

3.子音を立てたり、感情をむき出しに歌うような印象を受けましたが、必ずしもそれだけが正解の歌い方とは思えません。ほかにも歌い方はあると思いますし、歌い手が変われば、十人十色の歌い方があってよいのではないかと思います。この曲はフランス語で歌われていますが、ことばのアクセントの位置や母音をもう少し重視してもよいのではないかと思います。朗々と歌うなかに怒りや悶々とした気持ちがあると、ただ怖いだけではなく、もっと奥深さが表現できるようになるのではないかと思いますし、声そのものも無駄に消耗せず演奏に効果的に活かせるのではないかと思います。(♭Я)

 

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1.ボレロのリズムが終始一貫して力強く流れている伴奏です。さらに、力強い声に呼応するかのように、鋭い刻みの音型で合いの手のようなリズムを入れているため、とても迫力のある激しさ表現することにつながっています。AABB’AABB’Aという構成で成り立っていますが、最後のコーラスAの部分では、半音上に転調して、そのままアッチェレランドで終わるというアレンジで締めくくります。

 

2.息のスピードが速く、そのスピードに乗せて発音しているため、言葉の立ち上がりがとても鋭く、聞く者を魅了し、力強い表現が可能になっています。叫んでいる感覚で声を出しているようにさえも思えます。そのため、フランス語がとても明確に発音されていて、とても聞き取りやすく、日本人の歌うシャンソンと明らかな違いがあります。時々シャウトの声を入れながら表現しているので、非常に切実な訴えが表現されています。

言葉の頭に着目してみると、[p]は破裂音なので言わずもがなですが、[m]や母音までが破裂しているかのような音に聞こえるほど、発音も爆発的に歌っています。

 

3.この曲を練習する際には、この歌手の息のスピードや、語頭の子音や母音の爆発力を意識して真似てみましょう。このような爆発的な発音や息の流し方は、日本語にはないので、日本人には得にくい感覚かもしれません。しかし、このようなスピード感のある音の立ち上がりを訓練することで、表現の幅が広がり、お客様に訴える強さを培うとてもよい練習になると思います。(♯β)

 

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1.勢いのあるアレンジです。ボレロのリズムパターンが単調に聞こえるかもしれませんが、よく聞くといろいろな工夫があります。イントロのハーモニーにも意外性があるし、憂いのあるヴァイオリンのメロディも聞こえます。それに、ユーモラスな金管、太鼓の音。とても「大げさ」で「楽し気」ですよね。そして、歌手も本当に一生懸命歌っている。情熱的に、何かを伝えようとしている。この裏に、何とも悲しい歌詞があり、ストーリーがあるのです。それがこの曲の魅力です。

 

2.言葉を一つずつ投げるような、一見乱暴な歌い方に聞こえます。しかし、よく聞くと、言葉が何個かでフレーズになっています。説明しているところと、感情が正面に出ているところに大きくわかれるようです。感情の中でも「怒り」と「悲しみ」を表現し分けているように感じます。歌詞がよくわからなくても、何度か聞いて、感情を考えてみましょう。

 

3.冒頭のEt maintenantをまずは練習してみましょう。フランス語はふにゃふにゃ、ぼそぼそ話すと誤解している日本人が多いですが、このベコーの歌唱をよく聞いてみましょう。歯切れよく、大きくはつらつと発音します。(イタリア語と同じラテン語系です)冒頭を何度か練習したら、単語ごとに聞こえやすいので、曲すべてを歌詞を見ながら片言でも構いませんので、フランス人に(ベコーに)なり切った気持ちで、曲を通して、録音と一緒に歌ってみましょう。(♭∴)

 

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1.大切な人が去っていき、ひとり残された徒労感や無力感を嘆く詞とは裏腹に、音楽は行進曲のように強引に前進していきます。この音楽(4拍子)がラヴェルボレロ(3拍子)を下敷きにしていることは、和声進行や、けたたましい管楽器の使い方からも明らかです。自暴自棄なのか、空元気なのか、このちぐはぐさが皮肉で面白いと感じました。

 

2.ベコーは「神の思いのままに」などをしっとり真摯に歌い上げるときの声とは全く異なる声でこの曲を歌っています。瞬発的な力強さで吐き捨てるように、棘のある歌い方でやるせない怒りを表現しているようです。殊にpourqui? pourquoi? (誰のために?何のために?)などといった場所の刺々しい言い方にはドキッとさせられます。終始話すように、あるいは文句を言い続けているようで、「歌っている」という感じはしません。それでも音楽になっているのが凄いところです。

 

3.とにかくしゃべる練習が95%だと思います。歌おうという意識は捨て、いかに言葉をバシッと言い切れるかが鍵です。(♯∂)

おすすめアーティスト・作品 No.390

君たちはどう生きるか吉野源三郎(本)

4、5年前に一度読んだのですが、最近ジブリの映画で話題になったので、また読んでみました。15歳のコペル君の日常生活の中での出来事や悩みに対して叔父さんが答えをノートに記す、という形で物語は進みます。叔父さんはコペル君にいろいろ指南しますが、一番言いたかったことは自分の頭でしっかり考えて自分なりの答えを出すこと、そしてそのために精力的に勉強しなさいということだと思います。
この本は戦前に書かれたものですが、SNSに頼りがちの今の時代にも通ずることばかりで、15歳の主人公だけでなく私たち大人にとっても大切なことだと思いました。

 

「TRUTH」スーザン・バトソン(本) 

それぞれの人が持つ欲求についての説明と、演技でキャラクターに取り入れるための本ですが、人生の生き方にも影響を与える考え方・行動の仕方だと思いました。

 

「MAKING The CUT」(Amazonプライム

制限時間の中、自分の技術で表現するだけでなく、マネジメント力やコミュニケーション力など様々な要素が必要だということが学びになります。

 

昭和記念公園」(公園)

郊外にあり、とにかく広い公園で、人出多くても広いのであまり気になりません。普段スマホやパソコンの画面を見ていることが多いので、自然に囲まれるとホッとして、癒されます。

 

「ジルベルト・ジル」

観客と相互のエネルギー効果がすごい、そこに感動した。

声は歌ううち後半にむけてどんどんつやがよくなっていったのも印象に残った。

 

「砂月凛々香(さつきりりか)」

彼女はとてもハスキーヴォイスのため、息が漏れて仕方がないが、それをうまく生かして歌っている。悲しい曲がハマっていて、まるで泣きながら歌っているよう。ちょっとやりすぎ感はあるが、個性的な歌声で、ハスキーヴォイスが羨ましくなった。

V047「愛遥かに」ミルバ

1.歌詞と曲と演奏など

(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)

2.歌手のこと

(声、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと)

3.歌い方、練習へのアドバイス

 

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1.「愛遥かに」は、ミルバの他の楽曲に比べると、息混じりの弱めの声を多用していて、抑えた表現が中心になっている点で、ミルバの声を聞きたいファンには、少し物足りなさを感じさせるものではと、思ってしまいます。

 

2.ミルバは、太めで艶のある、無理のない立派な声を基本にして、マイクを活かした息混じりの声もうまく使いこなしていますが、やはり、その声を存分に活かした「タンゴ・イタリアーノ」や「カンツォーネ」・「さらば恋人よ」などで、その声の美しさとパワーを味わうのが、「声」を聞くものとしてはお勧めです。

「リコルダ」あたりからは、息混じりの声も、3~4割ほど使うようになっています。

おもしろいのは、「ウナ・セラ・ディ東京」では、弱く小さな声も、極力艶をなくさないように歌っていることです。

 

3.ミルバを真似することは、悪くありませんが、自分の声域に無理をしないように、気をつけましょう。(♭Ξ)

 

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1.イタリアンポップスの代表的な曲ですが低音から高音まで幅広くロングトーンも多いので声の技術が見えやすい曲だなという印象です。リズムやメロディそのものは特に難しいとは思いませんが、歌いこなすのは難しい印象です。

       

2.私がイタリアで勉強するときによくテレビ番組などで聞いていたポップスの歌手達よりも、もっと個性的な声と表現で歌っている印象です。あえて唸るような声の使い方やか細く歌う表現など表現の幅がダイナミックで、より土の香りがするような歌手の印象です。

 

3.胸に当てる声から頭声への移行がとてもスムーズです。しかし基本的には胸の音の強さが凄いので胸の一番高い骨に声をあてるようなイメージの訓練が必要です。

勝手な印象では、この曲とミルバの声がとてもよくあっています。あまり真似しようと思わず自分の声で歌うようトレーニングしてください。(♭Σ)

 

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1.別れた恋人への心情を語った女性目線による内容の歌詞で、原語はイタリア語です。曲の旋律自体は、ほぼA-B-Aという構成ですが、同じ言葉の繰り返しではなく状況や心情を次々と語っていくような歌詞になっています。演奏にあたってはしっかりと歌詞の内容やその背景を把握することが必要です。

 

2.ミルバは女性としては、やや低めの声だと思いますが、自身の歌いやすい音域で伸び伸びと歌っているという印象を受けました。中間部で音域が上がって旋律が盛り上がる際も、ただ張り上げて歌うような感じの強い声ではなく、歌詞の内容から感情が高ぶって自ずと声量が上がったというような自然な歌声に聞こえます。

 

3.歌詞や旋律の構成からも、サビ以外は語っているような歌い方になると思います。ただし、最初からミルバのような歌い方をすると息の流れが停滞しかねません。息が停滞したままサビに入るとフレーズの盛り上がりで息が足りなくなり、喉まわりが力んでしまいます。まず譜読みの段階では、出だしからしっかりとした声で練習し、音程やリズムに慣れてきた後で歌詞やフレーズの表現に入ってください。(♯α)

 

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1.本当は愛しているのに、うまくいかなくなってしまった。その気持ちを整理したいのか、相手に訴えかけつつ終わりにしようとしているような、哀愁漂う歌ですね。

 

2.イタリア語の発音・発語がわりと的確に行われているように聞こえ、イタリア語の発語によって、表現を効果的に活かしながら歌えている印象を受けます。全体的な滑らかな言葉裁き、二重子音の明瞭さ、アクセントの的確な歌い方など、参考になる部分が多いと思います。声そのものは、低音域をやや押し気味に聞こえます。

 

3.ミルバの歌い方を参考にしてみるとわかりやすいかと思いますが、アクセントの位置や二重子音などを的確に発音することによって、表現も活かしやすくなると思います。イタリア語ならではの滑らかな言葉裁きはレガートに歌うことにつながりますし、相反するようですが、二重子音の明瞭さも重要な要素です。それらを意識して語り、その要素を活かして歌うように心がけていくと効果的に歌えるようになるのではないでしょうか。(♭Я)

 

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1.A メロ、Aメロ、 サビ、Aメロ、サビ(インストゥルメンタル)、Aメロ、サビ(インストゥルメンタル)という構成です。劇的な余韻を持たせる効果を狙ってか、インストゥルメンタルのメロディで終わりを迎えます。

 

2.ミルバは、30年前くらいに日本でもNHKや、コンサートでよく歌っていました。ピアソラとの共演も好評を博しました。少しハスキーな声と、圧倒的な表現力、言葉のさばき方が絶妙で、クラシック歌手がその表現方法を学びに行くほど、幅広く感動を与えた歌手です。言葉の入り方、抑揚、語り方、息交じりだったり、息のスピードなど参考にできるのではないでしょうか。一見暗い声のように聞こえますが、よく聞くと明るさも混じっていて、これがイタリアの声の魅力で、人々を引きつけている要素ではないかと思います。迫力のある声ではありますが、低い声も高い声も頭声で、決して胸声を張っているわけではありません。見た目も赤毛のロングヘア―を振りながら歌うので、インパクトが大きいうえに、ものすごい集中力で一曲を表現をするため、聴衆も曲が始まったら、終始、目が離せません。

 

3.ぜひミルバの演奏から、言葉の表現を盗んでみましょう。日本人が歌うとどうしてもカタカナの羅列のようになってしまいかねません。どのように抑揚がついているのか、どこで抜いているのかなど参考にしてみましょう。冒頭ですとtrascuro(uの母音)  questo(ueのしならせ方) anch'io(iの流れ方) quasi(aの高音の抜き方) colpa(aの終わらせ方の息)  sei tu(uの終わらせ方の息)  son(o母音) cambiate(a ia の母音) perche(上向する高音の抜き方) contro te(上向する高音の抜き方)  tu sei forte(上向する高音の抜き方) io (iの流れ方)vorrei(上向する高音の抜き方) fatto(上向する高音の抜き方) l'impossibile(上向する高音の抜き方)

「上向する高音の抜き方」で表現しているようなやり方は、バッハやモーツアルトを歌うときにもよく用いる手法で、とてもクラシカルな表現ではありますが、万人が心地よく受け取るものなのでしょう。棒歌いにならない方法でもあります。彼女の歌唱は、どの母音も、同じではないことがわかると思います。

歌唱時とても大きな口を開けるのも彼女の特徴的です。身体からエネルギーを放出せんばかりの歌唱です。おなかから「ア~」と叫ぶつもりで(喉をつぶしてはいけません)歌ってみてください。(♯β)

 

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1.印象的なアカペラで始まります。アコースティックな伴奏なので声と息がよく聞こえてきます。不安定なコードに注目して下さい。はじめのコードはセブンスです。その後ずっと続く不安定さは1回目のAメロが終わったときにやっといったん安定します。この「不安定な感覚」は歌詞の内容によるものです。何と直接的で情熱的な歌詞でしょう。「外出もしなくなったし、何を食べてもおいしくない。あなたのせいなの。」日本の歌でこんな情熱的な歌詞を歌えるでしょうか。テクニック的には、上への跳躍音型が多いです。簡単そうに聞こえますが、抜いているようで身体から離さないで歌うことが必要です。難しい技術が要求されます。

 

2.息がよく聞こえるアレンジなので、まずはよく聞いてみてください。声の強さに応じてさまざまな息が聞こえるでしょう。歌いだしの「Da troppo tempo」母音の置き方、ストレスのかけ方をよく聞いてみてください。また、同じ歌詞ですが、サビからAメロに戻るところの息も絶え絶えの「Da troppo tempo」の歌い方です。声の使い方、感情移入、すべてがこの一言に入っています。

 

3.「Da troppo tempo」歌いだしと、サビの後。この2か所をフレーズコピーしてみましょう。歌いだしはあまり弱く歌いすぎると(アカペラでもあるし)かすれてしまいます。ミルバもほんの少しアクセントを置いています。サビの後は、感情移入の練習に使ってください。まずは極端に。その後でコントロールを学んでください。(♭∴)

 

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1.かつての情熱が冷めてしまった二人の歌。主にギターによる静かな伴奏による諦念のAメロ、6度の跳躍が印象的なメロディックなサビ。

 

2.ミルバの歌は低音まで色彩豊かでしっとりとした艶を湛えています。大声を張り上げるわけでもないのに、きっと生で聞いたら会場の隅々まで染み渡る声であろうことが想像に難くありません。ファドを思わせるような繊細な襞が美しい声です。

高音へ向かっての跳躍で後ろをスッと抜くように歌うのは非常に高い技術です。どこを切り取っても陰翳に満ちており、それが押しつけがましくないので、いつまでも聞いていたいと思わせる歌です。

 

3.Aメロは歌おうと思わず、語りを少し揺らすという発想で練習するといいと思います。サビはレガートで歌えるように母音唱などでよく練習してから歌詞で歌うといいでしょう。半音階の進行は和声をよく味わって感情の揺らぎを表現しましょう。(♯∂)

 

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「福島英のヴォイストレーニングとレッスン曲の歩み」より(https://www.bvt.co.jp/lessonsong/

 

14.ミルバ 「愛遥かに」「タンゴ・イタリア―ノ」

 

 ミルバは、私が最後に会ったときのステージを、感謝を込めた詩をサイト※に載せています。歌としてもヴォイトレとしても、私に最大の影響を与えたアーティストの一人です。

 「タンゴ・イタリア―ノ」には、3つのリズムが入っています。「タララ、ラーラララー」のフレーズだけで、私はその才能に驚いてしまったのです。

 カンツォーネで学ぶ意味は、これまでも述べてきました。メロディの美しさ、構成、展開の確かさ、歌でなく、歌唱、いえ声での演奏なのです。

二流で終わる人は、技術ばかりを求めてきますが、一流になるには、精神を、そして、一流の作品の紹介や聞き方、学び方を得ていくことです。

 

「愛遥かに」

 カンツォーネの女王、日本の歌は、「ウナ・セラ・ディ東京」に「昴」、「夜明けのスキャット」など多数。

 来日するごとにテーマを変えたステージを、「エル・タンゴ」ピアソラの「リベル・タンゴ」ほか、「カルーソ」「泣かないでアルジェンティーナ」ピアフの曲をイタリア語でカバー。

 「ミルバ日本を歌う」

 「谷村新司を歌う」

 「新カルメン」「リリー・マルレーン

 「エンニオ・モリコーネを歌う」

 「ミルバ・カンタ・ブレヒト

 「ナポリターナを歌う」

 あらゆる歌を、いろんな言語で歌っています。

 ミルバについては、聞きこむしかありません。聞くだけなら、ミーナの方が楽しいでしょう。

 

[参考]

オルネラ・ヴァノーニ

オルネラ・ヴァノーニにスケールの大きさを学びましょう。「素敵なあなた」「生命をかけて」「カーザ・ビアンカ」「チェルカミ」(「逢いびき」は、2004年「オーシャンズ12」にも使用)

 「ローマよ今夜はふざけないで」「アモーレ・ミオ」

 「強く抱きしめて」「リトルネライ」

 「エ・ヴェーロ」最初のエ・ヴェーロの6回くり返しのところです。

 似たフレーズで、アリダ・ケッティの「死ぬほど愛して」(1960)のところ、「アモーレ・ミオ」最初のアモーレの4回のくり返し「…アモーレ・ミオ、やさし君に…」、「生命をかけて」のサビ。

 

https://www.bvt.co.jp/prof1-1/

 

おすすめアーティスト・作品 No.389

「ありのままに、自分らしく生きる岡本太郎の言葉80」桑原晃弥(本)

背中を押してくれる本。1フレーズごとに読みやすくなっているので、忙しい中でも少し時間ができたなと思った時に、パラパラと開いて気ままに読んでいます。

 

「冷めない紅茶」小川洋子(本)

中学の同級生の葬式でK君と再会した主人公はK君夫妻の家にたびたび遊びに行き、とても心地よい時間を過ごす。

しかし、K君夫妻との時間は現実的でなく、不思議なことがおこる。物語のなかではっきりと示されてはいないが、K君夫妻はこの世にいない人たちなのかと思われる描写があり、何か落ち着かない気持ちになりました。

想像力によっていろいろな解釈が出来る不思議な小説でした。

 

揚羽蝶が壊れる時」小川洋子(本)

祖母に育てられた主人公だが、その祖母が認知症になり施設に入ることに。認知症の祖母の奇怪な行動を見るうちに、祖母は正常で、異常なのは自分かもしれない、と思うようになる。普段私は自分の側が正しいし普通だ、と思いがちだが実はそうでもないのかもしれないと思えてきた。

「正常と異常、真実と幻想の境界線なんてあやふやで、誰にも決定できるものじゃないんじゃないか」という言葉がとても印象的でした。

 

夏川りみのコンサート」

生の声はスマホで聴く声よりとても綺麗で美しかった。トークも含めて、歌手の人はエネルギッシュだなといつも感じる。歌手によってまた曲によってリズムの取り方はちがうが、今回のコンサートでは身体の重心を左右にゆらしながらリズムをとっていた。熱烈なファンもいて、会場は盛り上がった。

 

V046「エ・ヴェーロ」 ミーナ

1.歌詞と曲と演奏など

(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)

2.歌手のこと

(声、オリジナリティー、感じたこと、伝えたいこと)

3.歌い方、練習へのアドバイス

 

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1.音域は、1オクターブ余りで、始まりは低い主音辺りをウロウロしながら、やがて主音、第2音、第3音、第5音、第6音、第7音と上がって行くのが特徴的な進行で、その後も、第6音から徐々に下向しながらも、高い主音で終わりを予感させ、最後は低い主音から、2音、3音と、中盤で見せた特徴的な進行をそのまま繰り返して、高い主音のロングトーンで終わっています。とても健康的な愛の賛歌のようです。

 

2.ミーナは、女性には少し高めのキーで、最高音では、高い地声を使いこなして、余裕のある声を出しています。曲の最後のロングトーンに、少し余裕がないのが残念ですが、それは、表現としているだけかもしれません。

同じくミーナの「砂に消えた涙」のイタリア語と日本語の録音は、大ヒットしたおとなしい曲ですが、きれいな声でうまく歌いこなしています。

「L’eclisse twist」と「月影のローマ」では、いずれも、パンチの効いたしかもきれいな声で、本領発揮とも言える活き活きとした演奏で、思わずリズムに乗ってしまいます。

 

3.女性には最高音がやや高めなので、キーを下げてうまく取り組む必要があります。ミーナは、声にも無理がないので、真似をするのも悪くないでしょう。(♭Ξ)

 

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1.イタリアンポップスらしい軽く、そして明るい曲です。声の明るさがないと成立しないような曲の印象です。

 

2.イタリア語を軽く発音する部分としっかりと発音する部分とで表現を変えていてそれが結果として曲の表現として成立している素晴らしい歌手です。しゃべっているように歌っている。結果として息が漏れずに息が声になっています。しゃべっている要素が強いままでも高音域までいけるので言葉に説得力があります。ただ、声が前すぎていてビブラートの要素が少ないので、後ろの引っ張りもあるとまた違った要素が生まれてくるイメージです。

 

3まずはしっかりとイタリア語をしゃべる訓練でしょうか。決して力まず、しかしクリアに喋ってほしいです。慣れない人はまずは胸がしっかりと響くようなイメージでしゃべってみるとよいでしょう。(♭Σ)

 

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1.歌詞はイタリア語で、曲名の「エ・ヴェーロ(「È vero」)」は、「それは本当です、真実です」という意味になります。歌詞の中に「È vero amore」(それは本当の愛です)や「amore sei tu」(あなたが愛なのです)とあり。「È vero」を何度も繰り返すところを見ても曲全体が熱烈なラブソングであることがわかります。歌い出しがアウフタクトになっていますが、始めは情景描写なので、強調した感じではなく前奏に乗ってスッと歌が入ってくると、歌詞の雰囲気が活きてきます。高音域で声を伸ばす部分もありますが、決して苦しそうに聞こえてはいけません。愛や喜びに満ちた歌として聞き手に届く演奏にしてください。

 

2.ミーナは癖のない伸びのある声で、高音域の声の張りもよく聞いていて気持ちがよいです。ゆっくりめの歌い出しから前に進むテンポに変わる際や、音域の行き来・フレーズの歌い方を見ても息の流れがとてもよくコントロールできていると感じます。

 

3.この曲は音域が高めなので、もともと声の高さが合わない人は無理をせずに始めから調を下げて練習してください。高音域が続く中でイタリア語を発音する箇所は息を消耗しやすいです。子音のちょっとした遅れが息の流れを邪魔してしまいます。まずはリズム読み(音程をつけず、リズムに合わせて発音する)で子音の入れ方を整えましょう。さらに、歌詞の母音部分だけで歌う練習をして、そのフレーズに必要な息の流れを確認します。例えば「amore sei tu」ならアオエーエイーウで旋律を歌います。いったん子音を全部省くことで、何の妨げもなくひとつのラインでフレーズに声を乗せることができます。その感覚を維持したまま、子音を入れ、本来の歌詞に戻すととても歌いやすくなります。(♯α)

 

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1.「È vero」と何度も繰り返し歌う部分が印象的ですね。これまで見つけることのできなかった真実の愛を、ある日、見つけられた喜びが歌になったような曲です。

 

2.全体を通して表現力が豊かだという印象を受けます。「È vero」と繰り返す部分で、語り方をすべて変化できているのが印象的です。声も歌い上げる部分で効果的に持ち声のよさを活かせていると思います。発音も非常にクリアですね。

 

  1. 「È vero」と何度も繰り返し歌う部分で、愛する人に出会えた喜びを上手に表現できるとよいですね。これまで見つけることができなかった真実の愛。ついにその人に出会えた喜びを「本当なの!」という意味合いを繰り返し歌うので、ただ繰り返すだけではなくて、それぞれにいろいろな色が見えるとこの曲のよさが引き立つと思います。冒頭はやや暗い印象かもしれませんが、今まで見つけられなかった頃を語っていますから、派手にならず、苦悩の時期を表現できるとよいですね。「Ma un giorno~」からは、ポジティブになっていくのでその変化がつけられるとよいと思います。(♭Я)

 

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1.イントロでは、いわゆるレチタティーヴォのような語りで始まり、「È vero」でティンパニとともに歌い、「È vero」の繰り返しの後のメロディが6/8のリズムで刻まれます。途中、インストゥルメンタルの間奏を挟み最後に再びティンパニのバンバンという派手な刻みで終わります。

 

2.冒頭語りの中低音は、ネガティブな詩の内容をあえて張りのない声で表現し、サビの部分の高音になると、非常に張りのある声で歌います。まるで高音に胸声のような張りがあるかのようです。

「Indireizzi~È vero」をノンブレスで歌う、ちょっとクラシカルな表現をしていますが、これはブレスの長さと、身体の支え、しっかり声帯が閉じられているなどの技術がないとできないことです。「amore sei」までは胸声に近い声で、tuからは頭声を混ぜて柔らかめにロングトーンを歌っています。最後の「È vero」の入り方は少し息を混ぜて「へヴェーロ」と聞こえますが、切迫する思いを乗せた表現なのでしょう。そしてだんだん息もれを減らし、声の張りを強めて歌い終えます。

 

3.イントロの声の出し方と、サビの出し方を区別して練習しましょう。

特に高音を高らかに響かせるには、声を額や胸に当てる感覚が必要です。そして声帯がぴちっと閉まっていなければなりません。そのためには、身体を使ってしっかり声を出すトレーニングが必要です。息を吸って胸郭を広げ、息を止めて無呼吸の状態で身体がキープできるように訓練してみましょう。(♯β)

 

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  1. 歌詞には「1000のアドレス」「天使」「奇跡」など、大げさな言葉が並びます。熱烈な愛の歌です。同じ言葉の繰り返しも多く、効果的に使われています。豪華な弦楽器のイントロから始まります。このまま盛り上がって派手な曲なのかと思いきや、意外なほどすっと静かに歌が入ってきます。語るような歌と、シンプルなアレンジの伴奏。はじめは淡白に言葉を重ねているようですが、「niente niente」と言い続けるうちに感情がいっぱいになってきて何とも言えず悲しく感じます。サビは突然入ってくる太鼓の音とともに「È vero」の繰り返しが印象に残ります。

 

2.ミーナの歌唱は、短い曲ですがシーンに合わせて声色が全然違うところが凄いと思います。言葉を聞かせるところ、感情を聞かせるところ、リズムを聞かせるところ。特に後半、打楽器の3つ割が入ってアレンジが軽快になるとともに、歌はリズミカルな歌い方に変わります。また、「luce felice」と明るい意味の言葉に対応するかのように透明感のある明るい歌声も印象的でした。

 

  1. 「È vero」と重なっていくサビをフレーズコピーしましょう。単純な繰り返しに聞こえるかもしれませんが、一言ずつ、言い方を変えてきています。まずはよく聞いてみて、違いがわかるようになったら、自分でもやってみましょう。(♭∴)

 

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1.群衆の中から唯一無二の人を見つけ出し、真実の愛で崇めるというストレートな恋の歌。「È vero」は「(それは)真実です」という意味。しっかりとしたメロディラインですが、伴奏が三連符なので羽が生えたような軽やかさもあります。最後のブリキのおもちゃみたいなドラムがご愛嬌。

 

2.ミーナは声を張った際の金属のような光沢のある声が特徴的です。硬いということではなく、ブレのないツルンとした質感が金管楽器の音のように輝かしいです。あまり大きな声で歌わない箇所では、むしろエアリーな繊細さを感じさせます。この相反する要素を兼ね備えているところがミーナの魅力だと思います。

 

3.幸福感いっぱいで歌ってみましょう。最後の昇り詰めていくところはオクターブの上行です。喉と身体が緊張しないよう、オープンにした状態での上行ができるように研究しましょう。(♯∂)

 

おすすめアーティスト・作品 No.388

「らんまん」(NHK朝ドラ)

植物学者牧野富太郎とその妻をモデルにしたドラマ。主人公はもちろん魅力的ですが、その周りの人々にも必ず見せ場があって、どんな人にもそれぞれの人生があり、社会の中で役目をはたしている、と感じられるところが素晴らしいです。

 

練馬区牧野記念庭園」

現在放送中のNHK朝ドラ「らんまん」のモデル牧野富太郎博士の自宅を庭園として公開しています。私の家から徒歩10分ほどのところにあるので、行ってみました。

大きな庭園のようにたくさんの花が咲いているわけではないのですが、一つひとつの花が可愛らしく、ホッとするひとときでした。

 

夏川りみ」(コンサート)

身体がとても安定していた。リズムをとるので、身体全体でみると動いているが、肩とか胸とかは全く動いていなかった。とてもとても聞き惚れた。

V045「愛は君のよう」 サルヴァトール・アダモ

1.歌詞と曲と演奏など

(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)

2.歌手のこと

(声、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと)

3.歌い方、練習へのアドバイス

 

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1.少し不安定な第3音から始まり、低い主音回りも使いながら、少しずつ上行して、高い主音回りで歌い上げる愛の讃歌です。テンポやリズムもそうですが、一つ一つの音符の長さも、奇をてらったりせず、自然な落ち着いた長さで、曲想を後押ししています。

 

2.サルヴァトール・アダモは、1960年代に「雪が降る」などで日本でも大ヒットした男性歌手です。この曲では、まるで女性ヴォーカリストかと勘違いするような仕上がりになっています。まず、曲の音域が、女性がミックスを使って普通に出す高音から、女性の低音と同じ辺りを、強い地声にせずに息混じりで優しく出しています。そのせいで、まるで低音域の得意な女性が、優しく歌っているように聞こえるからでしょう。高音域の得意な男性なら、高音から低音まで、立派な艶のある地声で出せる音域を、全て息混じりで出していて、きっと女性シンガーと勘違いさせようという意図が有ったとしか思えません。また、「インシャラー」などとは違い、曲想のせいか、ちりめんヴィブラートはあるのですが、表立って目立ってはいません。

 

3.ミックスの得意な男性や、ミックスを練習したい男性は、ぜひ、アダモを真似してみるとよいでしょう。女性は、日本人女性シンガーなどもカヴァーしているので、そちらを参考にしてみましょう。(♭Ξ)

 

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1.語りの要素が強い曲という印象です。シャンソンらしい愛を語る歌ですがメロディが美しいのでメロディラインを崩さず語る要素をいれていくという意味ではおもしろい曲です。リズムをたてるような曲ではないと思います。

 

2.声にざらつきがあり、芯のある声というよりは、その歌い回しで勝負する歌手です。芯のある強さや輝きではないところに表現力の強みがある歌手だと思いました。

 

3.この録音を聞いて声の基礎力という部分ではもっと聞くべき歌手がいるなという印象です。しかし、言葉のさばき、息遣い、脱力や声の甘さという部分を考えると表現力という部分では参考になる部分が多い歌手なので、その点を抜き取ってトレーニングしてみてはいかがでしょう。この曲のいろんな歌手を聞き比べしてどんな表現をする歌手がいるのか。同じフレーズでどんな表現があるのかを実験的に学んでみるのもよいと思います。

(♭Σ)

 

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1.前半は短いフレーズが続き、サビに向かって段々とフレーズが長めになることで気持ちの盛り上がりをうまく表現していると思います。また、歌い出しの歌詞とサビに入った始めの歌詞がまったく同じなのも特徴的です。歌い出しは静かに語るように歌うのに対し、サビではフレーズの感じから想いが溢れるような表現に自然となります。演奏する際に歌い手の気持ちが乗せやすい曲になっていると思います。

 

2.曲作りや表現者としてのアダモは素晴らしいですが、声では決して美声とは言えません。サビでしっかり声を張るときはよいのですが、それ以外では歌声に掠れ音が聞こえてきます。日常的に声の掠れがある中で、それも個性の一部分として活動していたのでしょう。

 

3.前半部分とサビのメリハリをつけて歌うことで、この曲の表現がよりダイナミックになります。サビに向かって少しずつクレッシェンドしていくさまは、アダモの演奏を参考にしてみるのも勉強になります。前半部分はフレーズが短く休符も多めですが、ゆとりがある場所ほど遅れが生じやすいものです。ちゃんと拍感を持ち、フレーズの音入りや歌詞の発音に意識を向けてください。

(♯α)

 

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1.「愛は君に似ている」という内容であらゆる比喩で例えながら歌っています。

 

2.冒頭の部分などは女声の低い声のようにも聞こえるかもしれません。声としては決して美声というわけではなく、冒頭はやや吐息交じりが多いように感じます。表現から来ているものだと思いますが、ことばの出し引き(ことばの頭は出すが、語尾は引くような歌い方)が目立つように感じます。このように言うとネガティブな印象を与えてしまうかもしれませんが、人々を魅了する理由のひとつは、語り方を含めた表現方法なのかもしれません。

 

3.アダモの歌い方や語り方は、参考にしつつ、それをただマネをするのではなく、歌う人それぞれの感性と語り方によって表現できるようになるとよいですね。声の温度感、甘さや緩急など、いろいろ工夫してみるとよいでしょう。冒頭の部分は、音域的に低めだと思いますので、声をがんばりすぎないで、甘く語るくらいが、ちょうどよいかもしれません。歌い上げる部分は朗々と歌えるとよいでしょう。(♭Я)

 

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1. Aメロ、Bメロ、サビ 、インスト間奏、Aメロ、Bメロ、サビ、コーダの構成で成り立っています。オーケストラは、オーボエのオブリガードが美しく重なり、ハープやピアノのアルペジオの刻みが効果的に感動を盛り立てます。

 

2. ハスキーな声でありながら、力強く伸びやかにサビから最後にかけて歌いあげています。音と音の移行をしっかり支えられた声で移動させており、よく息が流れています。特にラストの声の伸びが素晴らしいです。伸びきったフレーズ終わりの音と、次の始まりのフレーズにほぼ間がないのも息の長さのなせる業です。冒頭は息から声、言葉にしていく特徴がありますが、息の音はスピーカーによって聞きづらいかもしれないです。

 

3. 息の長さを重点的に練習しましょう。1小節単位の音楽にならないよう、せめてAメロは一つの流れでフレージングできるようにし、それを次のBメロやサビへとつなげていってください。フランス語の語感、単語の色合いを感じないとただのカタカナの羅列になってしまうので、しっかり歌詞を読み、この歌手が行っているような息から言葉を紡いでいくように練習してみましょう。(♯β)

 

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1.先入観なくこの曲を聞いてみてください。爽やかでソフトなイントロに美しいメロディ。何の変哲もない軽い曲だと思うでしょう。歌い始め「toi」の声の置き方、つや。歌のうまさに感動しながらも、何かただのムード音楽のように感じると思います。ところがサビに入るあたりから、やけに熱っぽく歌っているな、とお気づきになると思います。それもそのはず、これ以上ないほど情熱的な歌詞なのです。興味がある人は調べてみてください。3拍子系のリズムにも特徴があります。よく聞いてみましょう。

 

2.音域がそんなに広いわけでも高いわけでもないのに、すごく音域の広く高いキーの曲のように聞こえると思います。実際、音域はオクターブと少し。一番高い音は1度当てるだけの「ソ」です。これがアダモの凄さです。

 

3.歌いだしの「toi」をフレーズコピーしましょう。自分で10パターンほど作ってみましょう。母音の長さ、声の強さ。語る要素が強いものから、息の力が強いもの、弱いもの、など。また、3拍子系のリズムに慣れるためにも使えます。伴奏のリズムに合わせて手を叩いてみましょう。(♭∴)

 

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1.男性から女性へのあこがれを歌った歌。「トルバドゥール(吟遊詩人)」という言葉が歌詞に出てきます。中世のフランスやドイツを中心に流行した「ミンネ」という概念があります。騎士が見返りを求めることなく貴婦人に賛美を捧げるのがカッコイイとされた文化のことです。そういった騎士道的恋愛を歌ったのがトルヴァドールです。「愛は君のよう」からはミンネの香りがします。

 

2.アダモの歌唱は自然体で、楽に素直に話す声がそのまま歌になったかのようです。がんばらなくても素敵な歌が歌えるというのは実に羨ましい境地です。鼻腔によく響く声で、しかし殊更、響かせようとはしていないと感じました。

 

3.重くならないように歌いましょう。難易度はさほど高くないと思いますので、まっすぐ歌えるように練習するのにうってつけの曲です。(♯∂)

おすすめアーティスト・作品 No.387

「介護のうしろからがんがきた」篠田節子(本)

お母様の介護が大変な時、自身ががんになったのにとても明るい筆者に逆にこちらが励まされました。

 

「運び屋 円十郎」三本雅彦・文藝春秋(本)

託されたものを指示された場所に運ぶ、運び屋という稼業がある。安くない金を払って運ぶような依頼ゆえ、中身は尋常ではない。また、それをぶんどっていく引き取り屋という稼業もある。両者は仕事が絡めば戦うが、仕事以外は出会ってもお互いに何もしないというドライな間柄だ。運び屋の円十郎は、先祖伝来の柳雪流躰術を仕事に生かし、難しい仕事を松竹梅の松グラスの仕事を任されている。円十郎は志や夢は人を不幸にすると考えている。そのわけは、彼の父親にある。が、物語の終盤、その志は、円十郎が思っていたものを越えるものだと分かる。運び屋の仕事には強敵が現れ、素手では戦いきれないと知った円十郎は、剣術習得のために街の道場に入門するが、そこで出会うのは幕末に活躍する人物たちだ。柳雪流の奥義でもある小刀術は、最強の相手なればこその力を利用する、想像外の技だった。読後感はクール。著者は30代と若く、時代のクールさかもしれない。続編を待ちたい。

 

マティス展」(美術展)

東京都美術館で開催しているマティス展に行きました。マティスというと赤いイメージでしたが、常に試行錯誤しながら作品と向き合い、生涯の中で描き方が変わってきたりしている点が印象的でした。

 

 

V044「涙のさだめ」 ジャンニ・モランディ/ボビー・ソロ/イヴァ・ザニッキ

1.歌詞と曲と演奏など

(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)

2.歌手のこと

(声、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと)

3.歌い方、練習へのアドバイス

 

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1.切ない片思いの恋の歌ですが、暗く悲しい曲調ではなく、むしろ前向きで攻撃的とも言えるほど、発散し続ける曲です。特に、前奏が順次上行していく力強さは、爽快感さえ覚えます。

 

2.ジャンニ・モランディは、イタリア人らしい、前のめりで情熱的な歌い口で、切実さを感じさせます。エッジヴォイスを随所で使っていることもありますが、輝かしい音色ながら、ずっしりと踏みしめるような伴奏を、半歩先取りして、待ちきれないように歌い出す部分が、さらにパッションを叩きつけるようです。高音域も、張りのある強い声で、無理がありません。

それに比べてボビー・ソロの場合は、同じ曲かと思うほど暗く太めの伴奏なのに、テンポは重くなく、淡々と進んでいきます。また、同じイタリア人なのに、落ち着いた歌い口で、むしろ甘い声色も使っていて、プレスリーを感じさせるスタイルです。高音域は、まったく張りがなく、低音域をやや強調する程度です。歌詞の内容を考えると、どちらかといえば、弱々しい性格の男性の歌のようにさえ聞こえますが、当時の歌い口の流行りなのでしょう。

イヴァ・ザニッキは、女性風の味つけで、うまく歌いこなしています。

 

3.ジャンニ・モランディのように歌うには、エッジヴォイスはもちろんですが、強く張りのある楽な高音域がないと歌えないので、難易度が高くなります。低音域の強い人は、ボビー・ソロをまねてみるのもよいでしょう。イヴァ・ザニッキは、張りのある高音域をあえて強調していませんが、その裏づけが有った上での歌いまわしなので、意外に難しいかもしれません。(♭Ξ)

 

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1.難しいメロディではありませんが、声を聞かせるイタリアンポップスの典型的な甘いメロディの曲です。男性が歌う歌詞なので、基本的には男性が歌った方がしっくりとくるのでしょうが、イヴァ・ザニッキのように女性でも歌い方次第で、男性が歌うのとは違う魅力的な曲になると思います。

 

2.ジャンニ・モランディは、この歌の録音だけを聞くならば、あえて喉への圧迫がつよいフレーズの歌いだしをする癖がある歌手という印象です。あえて表現としてやっているのかもしれませんが、つよく圧迫したあと声門閉鎖が緩むので息漏れも起こっています。息漏れが多いのであえてフレーズの最初を圧迫を強くする出し方をしているのかなという推測も立てられるような歌い方をする歌手です。

ボビー・ソロは、イタリアンポップスの歌手の典型的ともいえるあまく響きの高い声を出す歌手という印象です。この声がベルカントと言ってもいいほどの響きの高さとレガートです。喉へのストレスや過度な力み、何か特別なことをしているような雰囲気がまったくない。どのジャンルの歌手であっても聞いてほしい歌手だと思います。

イヴァ・ザニッキは、声のバランス、音色、どれをとっても一級品の歌手だと思います。低い喉頭と息のスピードの速さで、声の立ち上がりがとても鋭いです。そして明るい声と暗い声のバランスも美しい。

 

3.イタリア語を読むことから初めてほしいです。そしてイタリア語を胸の響きでとらえて、レガートでしゃべることができたらメロディをつけましょう。浅い声で発音してもこの曲に負けてしまうかもしれません。(♭Σ)

 

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1.原語の曲名「Zingara」はジプシーという意味で、ジプシーに手相を占ってほしいという歌い出しから、別れた恋人への叶わぬ想いを歌っていきます。曲は長調なので暗い旋律ではないですが、フレーズによっては陰りが感じられます。曲中に何度も出てくるZingaraで儚い想いが表現できると味わい深い歌唱になると思います。

 

2.ジャンニ・モランディは、声を張ってしっかりと歌い上げ、音をアレンジしてZingara(ジプシー)を強調している場面があるのですが、歌詞の内容からするとしっくりこない感じがしました。

その点、ボビー・ソロは、ゆとりを持たせた歌い方で歌詞が聞き手に届きやすく、その内容をイメージしやすいと感じました。歌を向ける相手はZingaraではなく、別れた恋人へ気持ちが向かっていることがしぜんと感じられます。

一方でイヴァ・ザニッキは、女性の声なので、それだけで既に違う印象の歌になります。個人的には、彼女の個性や歌い方から、3人の中では一番かっこいい歌唱で男前になっているという印象を受けました。

 

3.何か小技を効かせるとか声の見せ場を作るとかではなく、シンプルに歌詞がそのまま聞こえてくるという歌い方がいいでしょう。例えば、曲中に何度も出てくるZingaraはアクセントが1音節(Zi-)にあるのですが、語尾では音は上がります。もし音に任せて声を張り上げると3音節にアクセントがあるように聞こえてしまいます。ですので、声は張り上げずにやわらかく歌う(息を保って歌う)のがよいです。それによって1音節にアクセントのあるZingaraがそのまま聞き手に届きます。

(♯α)

 

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1.パッと歌詞を読んだだけではわかりにくいと思うのですが、ジプシーに、「自分の運命を占ってほしい」という内容の曲です。

 

2.ジャンニ・モランディは、持ち声のパワフルさを感じますが、ジプシーっぽさを出そうとしているのか、歌い出しをはじめ、ところどころやや表現に走りすぎて雑な印象を受けます。

ボビー・ソロは、やや言葉が跳ねた印象の歌い方が多いように聞こえるのが気になります。一方で、語るように歌っている部分もあるので、その部分は美しく聞こえます。

イヴァ・ザニッキは、この3人の中では、一番しぜんな語り方で歌っているように聞こえますが、ヴィブラートではなく、中音域で声が揺れている印象を受けます。

 

3.ジプシーの占い師に己の運命を占ってもらうという内容のため、「~して」というような命令形で書かれている部分が多くあります。その部分の訴えかけるような語り掛け方を大事にすることや、自分のことを語る部分での語り方の差を表現できるとよいと思います。どちらにしても、言葉を刻んだり、跳ねたりするよりも、切々と朗々と語り掛けるほうが、声の面でも表現の面でも効果的になるのではないかと思います。(♭Я)

 

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  1. A A B A+インストゥルメンタル間奏 B Aの構成です。楽器編成は、弦楽オーケストラ、ギター、ベース、マリンバ、ドラムで構成されていています。伴奏群にマリンバが入るのは少し珍しいかと思います。マリンバは、細かいトリルをしながら演奏するので、常に鳴っている振動が、人の心を揺さぶるというような効果をもたらしています。

 

  1. ジャンニ・モランディは、明るい響きの美しい声です。言葉も非常に明瞭です。高音は音程が見事にはまり、煌びやかに響きますが、低音で音程がはまらないのは、低音で身体が抜けてしまっているのかと思われます。意外と高い音域の持ち主なのかもしれません。語尾にヴィブラートと共に音をポルターレして下げるのが特徴的な歌い方です。

 

  1. 声の張り、明るい音色を意識して歌うと、この曲の雰囲気がよく出ると思います。頬骨をあげるイメージとともに、軟口蓋に音を当てるようトレーニングしてください。このとき、目も見開き、耳も開けるかのようなイメージが役に立つでしょう。胸郭のひろがりも意識しましょう。息を吸って広がった胸郭を保持しながら、胸に当てて声を響かせる意識も効果的です。表現としては、語尾、フレーズの終わりにかけてディミニエンドしながら、ポルタメントをかけながら降りてみましょう。(♯β)

 

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1.日本人の苦手な3拍子系です。 コード進行が斬新です。誰もが「Zingara」と歌うときのコードにびっくりするのではないでしょうか。このような仕掛けがいっぱいあります。特に、サビでコードが「セブンスが2度上のセブンスに行く」という面白い進行をします。

 

2.ジャンニ・モランディは、インパクトのある絶叫から始まります。タイミングがやや早いのでハスキーな喉声と相まってとてもインパクトがあるのです。しかし2回目は、逆に、やや遅れて入ります。この辺、しぜんになさっているのか、考え抜いているのでしょうか。声もそうです。喉声と「よい発声」を使いわけているようです。「Zingara」を繰り返しのとき(サビで出てくるとき)に高く歌っていますが、その発声はオペラのテノール歌手のように喉の開いた美声で透明です。ちなみに3人のうち、ここで高い声を出しているのはジャンニ・モランディだけです。最後のささやくような歌い方も素晴らしい。

ボビー・ソロは、言葉をていねいに伝えます。1つずつ言葉を区切って歌います。音域によらず一貫した発声、一貫した歌い方をします。

イヴァ・ザニッキは、軽く抜いているように聞こえますが、身体に芯が通って深い息です。

 

3.まずはリズムの教材として、3拍子を意識してよく聞いて慣れましょう。特にジャンニ・モランディのアレンジは、裏リズムも含め複雑なので繰り返しよく聞いてみてください。歌いだしのフレーズコピーをしましょう。視点は2つ。prendi questa mano そのものの歌い方とZingaraへのつなげ方です。(♭∴)

 

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  1. 原題の「Zingara」はロマ(ジプシー)の女性のこと。おそらく占いを生業にしている彼女に「手を取ってください=手相を見てください」と、歌の主は冒頭で語りかけています。占ってほしいのは想い人の心。藁をも縋るような思いで占いに頼るところからして、あまり分はよくなさそうです。畳みかけるような3連符のリズムが必死さを感じさせます。

 

  1. ジャンニ・モランディは、要所要所にロック歌手のようなワイルドな声の使い方も交えつつ、朗々と、しかし切なく表現力たっぷりに歌い上げています。

ボビー・ソロは、ソフトな当たりの声で、余裕たっぷりに甘く歌っています。

イヴァ・ザニッキは、よく伸びる明るい声で、都会的で洗練されたカンツォーネに仕上げています。

 

  1. 冒頭が印象的な曲です。「Prendi(手を取って)」で一気にどういう風景なのかを見せるつもりで歌ってみましょう。具体的には、話しかける相手との距離感を意識するといいと思います。頻出する3連符はあまり流れないように歌った方がこの曲らしいと思います。最後の方にある「speranza(希望)」という言葉には7度の跳躍が充てられています。7度の跳躍にはある種の痛ましさがあります。ここはキモですので外さないようによく練習しましょう。(♯∂)

おすすめアーティスト・作品 No.386

タイタニック」(映画)

昔見たのですが、覚えていない部分が結構多いものですね。

最近起きたタイタニック号の潜水艇事故の直後の放送で話題になりましたが、映画の冒頭がまさにタイタニック号を潜水艇で探索する場面だったので驚きました。

日々いろいろな事故のニュースがありますが、小さな綻びや警告気づかなかったり、気づかないふりをしている、面倒なことにフタをしていることから大きな事故、災害が起こるものだと、改めて感じました。

 

「首(KUBI)」北野武(映画)

前作まで「登場人物全員悪人」をキャッチコピーとしたバイオレンス映画「アウトレイジ」シリーズに続き、今度は北野武監督が時代劇バイオレンス(?)に挑みます。

原作は北野監督が4年前に出版した初の時代小説「首」。

舞台は戦国時代末期、織田信長が非業の死を遂げた本能寺の変をテーマにしており、横暴な天下人信長とその家臣たち、同盟者徳川家康などを巻き込んで繰り広げられる抗争が鮮やかな映像で凄まじく描かれてゆきます。

自分はYouTubeで予告編の動画を観ましたが、日本史の通説では比較的善人と思われている人物までも一筋縄では行かない曲者に描かれており、「戦国武将なんてヤクザと同じ」という前提のもとに綺麗事一切なしのドロドロした人間の欲望がむき出しにされます。

特にビートたけしさん(=北野武監督本人)が演じる羽柴秀吉の悪賢さは恐怖を通り越して爆笑するしかないくらいの印象を持ちました。

公開は11月23日(なぜか勤労感謝の日!)、楽しみです。

 

コクリコ坂から」(映画)

 

1963年頃の横浜の港の見える丘付近を題材とした映画。ちょうど私が生まれた頃で横浜出身の私には風景が非常に懐かしかったです。

食事の支度や掃除など日常の事をきちんとする様子には心が洗われる感じがしました。

 

V043「ガラスの部屋」 ペピーノ・ガリアルディ

1.歌詞と曲と演奏など
(ことば、ストーリー、ドラマ、情景描写、構成、展開、メロディ、リズム、演奏、アレンジなど)
2.歌手のこと
(声、オリジナリティ、感じたこと、伝えたいこと)
3.歌い方、練習へのアドバイス

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1.短調なので、基本的には悲しい曲ですが、歌手によってかなり表現が違います。主音がメロディの高めの位置にあるため、歌い上げる感じにしやすいというのもあるでしょう。また、低い第2音から高い第4音までの音域なのももちろんですが、始まりが、上から3割ほどの高さの主音から始まる上行型の強い山型で、メロディの開始音は下がって行くものの、同じ上行型を踏襲していくということも、大きく関係しているでしょう。さらに、曲の終わりも、もちろん中央より高い主音で終わるので、どうしても、暗く低く落ち込む感じにはなりにくい構造です。それでも、やはり悲しみを前面に出して歌いたいという歌手も少なくないようです。

2.ペピーノ・ガリアルディは、イタリア人らしい明るく強い声なので、無理に強く明るく歌っているわけではないのに、歌詞や曲の内容にうまく合っていて、悲しみ一辺倒ではない微妙な感情を、うまく表現しています。

3.日本人歌手も、多くカバーしているようなので、自分の好きな表現をしている歌手を選んで、真似をするのもよいと思います。(♭Ξ)

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1.イタリアンポップスによくある失恋の歌の代表曲です。
甘い言葉と甘いメロディで最初から最後までいきます。また、一度聞いたら耳からはなれないオーケストラもとても秀逸な曲です。

2.美声というよりも語り方がとても甘いといった印象です。クリアなイタリア語とレガートがその甘さをより引き立てています。本来なら息漏れというのは基礎発声では推奨しませんが、息漏れがこの甘さを引き出しているともいえます。これがレガートで歌えているのですからすごいです。

3.イタリア語の基礎的なさばき方がとても重要な曲です。単語と単語をつなぐ子音の連結がとても難しい。前の母音の口形を崩さず舌の動きだけで単語をつなぐというのは言葉でみたり、頭で理解するよりもずっと難しいです。しかし、これがイタリア語のレガートであり、ここにベルカントの基礎があります。(♭Σ)

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1.歌詞の内容は別れた恋人への想いを歌っており、短調でゆったりとしたテンポですが、静かな歌い出しではありません。出だしから「Che voule questa musica stasera」と曲名で始まり、旋律から見てもしっかりとした歌い出しが求められます。前奏のときから拍感を持ち、第一声の1拍前で1拍分の時間をかけてブレスをするよう準備をすると出だしから落ち着いて演奏できます。

2.ガリアルディの歌い方は息がよく流れて声が前に出ているので歌詞がとても聞き取りやすいです。また歌詞を歌うというより、言葉を喋っているように(アクセントのある音節はやや長めに)発音しているので、旋律の大きな動きはあるのにまるで語っているようにも聞こえます。そういった歌い方や彼の声質も含めてこの曲をとてもうまく表現していると感じました。

3.母音が2つ以上続くような発音では、歌唱時になると後ろの母音が聞こえにくくなる傾向があります。例えば、che vuole(ケ ヴ"オ"ーレ)、del tuo amor(デル トゥ"オ" アモール)、se nei miei (セ ネ"イ" ミエ"イ")などです。曲のテンポはゆっくりめであっても、発音が込み入っている箇所では機敏に発音を進めていかないと時間が間に合いません。歌いにくさを感じる人は、是非リズム読み(音程をつけずにリズムに合わせて歌詞の発音をする)を行い、子音・母音の入れるタイミングをていねいに確認してください。(♯α)

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1.一言でいえば、失恋ソングです。もう終わってしまった恋人に対する自分の気持ちを、情熱的に語っています。この曲は音域的にそこまで幅広くないので、語るような声の音域を中心に歌えると思います。

2.決して美しいような声という感じはありませんが、語り方など、表現が伝わりやすいように感じます。悲哀に満ちた語り方や切々と訴えるような歌い方の参考にしてみるといいかもしれません。

3.基本的には言葉をブツブツ切らずにレガートに語れる要素を大事に歌いたいですね。表現としては、日本人的なコンパクトで内向きな悲哀に満ちた歌い方はつまらないので、イタリア人のように、ときに切なくときに情熱的に失恋の気持ちを訴えかけるような歌い方ができると演奏効果が高くなると思います。仮に内向きに語りたい部分でも、それを魅せるような外へ向けた工夫が必要です。情熱的に歌う部分でも、あくまでもレガートなラインを切らずに、滑らかに言葉さばきができているうえで、聞き手に情熱的に聞こえるように工夫してみてください。(♭Я)

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1.a、a、b(サビ)、a、間奏+b’、a’の進行で構成されています。簡易的な楽譜だと4拍子で記譜されているため、4拍子の曲なのかと思いきや、ドラムやピアノのリズムを聞くと完全に12/8拍子のリズムの曲です。

2. イタリア語が明確に聞こえる歌唱です。そもそもイタリア語は母音が優勢な言語なので、音と言葉が両立して聞こえやすいため、歌に適している言葉だと言われる所以なのです。台詞を聞いているかのように聞こえてくる歌唱なので、離れた恋人を思う寂しげな歌詞の内容がダイレクトに伝わってきて、切なさを歌い上げています。

3. ドラムが刻んでいる3連符のリズムに乗って歌いましょう。そうすると楽譜通りの均等なリズム感では歌えないと思います。少し言葉の間を伸び縮みさせるかのように意識すると、イタリア語らしく聞こえ、それをやらないと日本語的な歌唱になります。高い音は喉で押さずに、伸びやかに歌えるよう、しっかり息を流して身体で支える訓練をしてください。(♯β)

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1.前奏を聞いているといきなり入ってくる歌です。間奏からの歌の入りも唐突な印象です。だから音楽と歌が絡まりあって一体感として聞こえるという点はあると思います。テンポもゆっくりめだし、フレーズが長い。Aメロ、Aメロ、サビ、Aメロ、間奏(サビ)、Aメロ、のシンプルな構成で、コードも通常よく使われる進行になっています。

2. 叫んでいるかと思うと、優しくささやいたり、声のヴァリエーションがたくさんあります。かすれた声、喉にかかる声も含めて、使い方が考え抜かれていると思います。サビが長く、音形が下がってくるので、多くの日本人は盛り下がって歌っているように聞こえますが(そう習うのか)、さすがに盛り上がりをキープしていますね。この「下がる音形で盛り上がりをキープ」は日本人は苦手なのでよく聞いてみてください。参考になります。

3.ゆっくりの曲は難しいです。声はじっくり聞かれるし、フレーズが長くて持たないし、そもそも息が「もたない」です。歌ってみると「もたない」ことを実感できると思います。この曲で一箇所練習に使うなら、最後の「un poco di te」をおすすめします。この1フレーズにいろいろな声色を聞き取り、フレーズコピーしてみてください。
(♭∴)

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1.感傷的な失恋の歌。Aパートは、長い休符に耐えられないかのように歌い始めるリズムパターンが特徴的です。順次進行の単純なメロディラインにもかかわらず、切羽詰まった心情を如実に現わしています。

2.ガリアルディの歌は言葉が明瞭で、一度聞くだけで歌詞が全て書き取れるほどです。声に迷いがありません。

3.メロディはほぼ上がったり下がったりの順次進行だけで書かれていますので、奇を衒わず素直にメロディに声を添わせてみましょう。それだけで音楽になるはずです。(♯∂)