チャーリー・チャプリン

人を愛し、人生を愛し、世界に光を与えた、喜劇王 チャーリー・チャップリン

映像は何時見ても、斬新で人に深い幸せを与える。

ドキュメンタリーは究極の芸術を苦闘し追及し続けた巨匠の形跡を追う。

19世紀末、イギリス・ロンドンの貧民街で生まれた彼は、
いつも口の中に小石を入れて、ひもじさに耐えていた。
「ぼろをまとっていても上品でありなさい。」
かつて役者であった母親から、チャップリンはパントマイムや演技を自然と学んだ。
貧しいが幸せな一家であった。しかし14歳のとき、母親が精神病院に入院。
劇団に入りパントマイム、演技を鍛え磨きながら家庭を支えた。そしてアメリカへ渡る。

どんな世界にも響かせられるためにと、言葉を使わずサイレントにこだわった。
多くの名作をつくっていく中、転ぶシーン、歩くシーンなど一つ一つの動作から、
綱渡りなどの困難なシーンまで、何度も時間をかけ工夫をこらし、
厳しく自分が納得いくまで練習をし、撮り続けた。

機械中心の社会で多くの労働者の心身が病んでいくのを描いた「モダンタイムス」。
迫力の問題作「独裁者」は、大戦中に製作に脅しをかけられながらも、
ヒトラーのあらゆる映像から彼の動作や演説を研究し、
立ち向かうために声を入れて完成させる。

しかし、映画は不評を受け上映禁止となり、国外追放に。
1970年になるまで、アメリカに戻れることはできなかった。
そして77年に88歳で亡くなるまで、作品を意欲的につくり続けた。
進歩のない同じ過ちを繰り返す人間の社会。
「独裁者」でチャップリンが残したメッセージは、時代も国境も超え語りかけてくる。

「人類は互いに助け合うべきです。
他人の不幸ではなく、幸福によって生きたいのです。
悩みあってはいけません。地球は豊かで全人類を養うことができる。
人生は自由で美しいはずなのに、私たちは道を見失いました。
貧欲が人の魂を毒し、憎しみをもたらし、悲劇と流血をもたらした。
独裁を排し、自由のために戦おう。神の国は人間の中にある。
すべての人間の中に。みんなの中に。あなた方は幸福を生み出す力を持っている。
人生は美しく、自由であり、素晴らしいものだ。」(A)