2020-01-06から1日間の記事一覧

菅原洋一とムスタキ

ショルジョ・ムスタキという神様のような容貌と声のシャンソン歌手がいました。京王プラザで会ったときの写真(私はそういうものは遠慮しているので数少ないアーティストとの写真の一枚)が研究所に飾られていますが、私にとってはムスタキ―バルバラ、ムスタ…

「上を向いて歩こう」

日本中を明るくし、やがて世界へと広まっていった日本人にとって大切な歌。1961年、689コンビと親しまれた、作詞永六輔、作曲中村八大、歌い手坂本九の作品。日本人でただ一人、アメリカビルボード100では数週間にわたり1位となり、日本語であり…

ニコラ・ディ・バリ「Chittara suona piu piano ギターよ静かに」

静かに語りだした瞬間、その世界の中に聴き手は入っている。何かしらの偽りを感じるような事なく、ただ自然にいつの間にか聴き手の心もその世界につながっている。歌おうとしない、ただ降りてきたことを声に、言葉とメロディに託すというようなことを改めて…

クラウディオ・ヴィッラ「Non Pensare A Me 愛のわかれ」

別れのどうしようもない悲しみを歌に空に太陽に託したような曲。スケールの大きいメロディがそのどうしようもない思いを解放していくように、1967年サンレモ祭、クラウディオ・ヴィッラによって大きく豊かに表現し、深い感動を与えた。 原詞をさっと読むと…

Manh・ de Carnaval  カーニヴァルの朝

熱くにぎやかなカーニヴァルが始る前の夜明け。まだ薄暗い静かな中、愛しい人への思いをいっぱいに夢見心地で朝をむかえる主人公の姿がある。 一度聞くと、忘れられないほどの美しいメロディ。映画のサウンドトラックとして作られたが、スタンダートとなり、…

「Dona Dona ドナドナ」

かわいそうな子牛の話に胸が痛み、暗いメロディが怖くて聴くことができなかった幼い頃。先日、この歌が、ユダヤ人の過酷な運命が重ねられているという記事を読み、この歌の背景を初めて知った。日本語詞は薄められて書いてあるが、原詞はユダヤ人の作家によ…

ブルース・スプリングスティーン  1984「Born in the USA」

祖国への歌。 長く活躍し続ける世界的なアーティストたちをみているとよくそれを感じる。 Bornと上にあるみえない壁を打ち壊そうとするように、突き上げるようなスプリングスティーンの迫力あるシャウトが印象的だ。そのひと声の中に聞き手は真に存在するな…

John Lennon Joshua Ledet 「Imagine」

心臓の音、大地を踏む音のように安定したピアノの低音のイントロ。この伴奏が大地であるとしたら、メロディはその上を通り抜ける静かな風だろうか 空から降ってきたインスピレーションがJohn Lennonによって、素直に曲として描かれこの世に作品の命を授けた…

「ベサメ・ムーチョ」

メキシコの名曲 ラテンらしい熱い情熱がメラメラと感じられる1940年のスタンダートソング。歌詞の頭から“キスして、たくさんして”と切実な始まりで、ぴったりとその想いと重なるようにメロディラインもマイナー調でドラマを感じさせる作りとなっている。最初…

ダニー・ハサウェイ「A Song For You 」

一人の歌い手の人生が重ねられた歌詞と共に、その深い愛情をゆったりとしたバラードが、最初から最後までほとんどのフレーズに1オクターヴが使いながら、大きく豊かなスケールの中で描いている。刻々と流れている時の中で光や影、その想いを感じさせる。と…

荒井洸子(シャンソン歌手)

ミュージカルの舞台を連日同じテンションで続けること自体があの年齢になってくると体力が必要とされること。彼女は続けてきた。例えば38年間「屋根の上のヴァイオリン弾き」に出演し続けてきたらしいが、年齢を経て配役されるポジションも変化してきた。ミ…

カレン カーペンターズ 「Yesterday Once More」

しっかり深いが、軽やかでやわらかい。もしくは軽やかでやわらかいが、深くしっかりしている。とくに何も考えず、さらりと自然に感じるままに歌っている印象を受ける。あまりに簡単そうにやっているが、声の質だけでなく、バランスが心地よく巧みで、ずっとA…

エディット・ピアフ 「愛の賛歌」

ピアフ自身が作詞を手掛けた曲。彼女自身の大切な讃美歌であり、そこには彼女が強く信ずるものがある。愛のように、メロディと歌詞の結びつきの強さ、深さ、そしてその歌は、いつ何度聞いても胸を打たれる大作である。 表現者にとって自分自身が何を信じてい…

メルセデス・ソーサ

「風の中の魂を歌おう 自由の雨を歌おう」―風の魂(Almas En El Viento)―より 彼女の歌を聞くと生命というものを感じる。尊く深い言葉の数々が、つねに彼女の歌に託されてきた。―パチャママ― 大地の母と呼ばれラテンアメリカで今も絶大な人気を誇るアルゼン…

エラ・フィッツジェラルド「マック・ザ・ナイフ」

わくわくするような動きのメロディにミュージカルらしいコミカルな歌詞がついていて、天性の弾けるような明るさで自由に歌い、いつも場を新鮮に盛り上げるエラにぴったりの曲だと感じた。1960年に行われたベルリンのライブ録音。ドイツ出身の作曲家人気…

Anuna

1987年に作曲家、マイケルアクグリンによって結成された、アイルランドの音楽を現代に蘇らせようというコンセプトで、男女混合の合唱団。合唱団であるものの、すべての曲が合唱されているわけではなく、ソロのパートも曲ごとにあったりなかったり。日本…

ベニー・モレー

シルクハットに杖をもって踊りながら、パワーある声ががっちりと舵をとる。自らのオーケストラに自己流の指揮をとりながら、自由に優雅に歌う。ピアノのソロ、そしてサックスのソロ、全員が入るところ、すべて彼がタイミングを決めて楽団を心のままに描き動…

美空ひばり「りんご追分」

ひばりさんの歌の才能に3歳頃から両親は気づき、6歳くらいになると美空楽団が結成され、巡業を始めたそうだから、15歳で歌ったこの歌の仕上がりは、もうすでにベテランの域に達していたと感じられる。無意識で自然でありながら、とても丁寧な仕上がりだ。メ…

水木一郎 アニソンの帝王

僕が以前所属していたレコード会社には、アニメ・特撮ヒーローなどのテーマソングや劇伴(ドラマの挿入音楽)などのCDを専門に制作・販売する「学芸部」というセクションがありました。そこは、基本的に我々ポップス部門や、演歌部門とは交流がなく、結局…

ノロヴバンザド

モンゴルの歌姫 落雷が落ちたかのような衝撃を、彼女の歌声を初めて聞いた時に受けた。天と直接つながっている場所で歌ってきたのが感じられる。こんなに類まれな声、超人的な歌唱があるのかと驚いた。光が雲の隙間からさす時に、神の存在を感じるような感覚…

KALISIA

1994年にフランスで結成されたプログレッシブデスメタルバンド。このバンドを知り、あまりに衝撃的な内容に驚かされましたので、今回はここで歌う女性Voと、デスヴォイス担当の男性Voについて書きたいと思います。今回13年の歳月をかけて出来上がった壮…

ジャック・ブレル「Quand on n’a que l’amour」(「愛しかない時」)

どれだけ人生を問い、社会を問い、その思いや精神に対して、生涯を通して向き合い続けることができるか。おんぼろギターによれよれのスーツを着て、雨にぬれたように汗だくになりながら、独自の言葉で歌い続ける無二の詩人の姿に胸を打たれた。情報がここま…

Riverside

ポーランドのワルシャワ出身のRiversideというバンドは、まだ日本のウィキペディアに載っていないという、日本では知られていないバンドですが、ヨーロッパではとても有名なバンドです。アルバム一枚を通して、一つの曲としての完成に持っていける作品作りを…

フランク永井

僕は男性の低音の響きがとにかく好きなのです。と言っても、クラシック的な「ベース」の、地面をビビらせるような「重低音」じゃなく、パートでいえば「バリトン」くらいの、甘さを含んだ低音、いわゆる「オスの声」と言う奴ですね。ナット・キング・コール…

クミコ「哀しみのソレアード~最後の恋」「祈り」「麗しき恋の物語」

3.11石巻で被災したあと、再出発。彼女とは銀巴里で会った頃、元気な若い女性というイメージしか残らなかった。それはその頃、私の求めていたものと違っていたせいで、彼女の実力とは関係ない。松本隆が見いだした詩を歌う心、私は、日本人が日本語を使って…

エディット・ピアフ 「La Foule(群衆)」

1957年に発表されたLa Foule(邦題:群衆)。晩年の映像をみながら、彼女には、スポットライト1つあればいい、その他の舞台演出など必要ないと思った。それほどに、一人の歌い手として完全な存在であると感じられた。CDでは、オーケストラの演奏も絶妙で味…

セルジオ・エンドリゴ 「Adesso si(去り行く今)」

“人ごみの中へ消えていく。見知らぬ世界へと去っていく愛しい人。” 原詞は相手を想う、悲しく切ない美しい詩である。課題としてこの曲を練習する人も多いと思うが、ただリスナーとして聞いていれば何気なく流して聞いてしまうが、最初のフレーズ“adesso si, …

水原弘

子供の頃、白土三平・原作の「忍風・カムイ外伝」(1969年放送)と言うアニメが好きで、日曜日の夜6時半には必ずテレビ(白黒)の前に座って見ていました。そのテーマ曲「忍びのテーマ」と言うのがあって、 忍びがぁ~とおぉぉるぅ~ けものぉ~みぃ~…

アミ族の歌い手ディファン「老人飲酒歌」

明朗で自由な歌声が空間を駆け抜けていった。聴き手も、自然の中に戻っていくような開放感を与えられる。アトランタオリンピックのテーマソングとして、エニグマのreturn to innocenceという曲に、このディファンの老人飲酒歌がサンプリングとして使われた。…

アレサ・フランクリン「THINK」

イントロで、think,think,think,thinkと例えば曲のキーをCとすると、ド、ド、ド、ドとその後もメインとなってくる主音のドがひたすら続くが、試しにこの部分だけやってみれば、thinkと体で言い切ること、ましてやそれを歌の中で連続してやるということが本当…