セルジュ・ゲンスブール

入り口は少年ふうで、幼くもどこか一片だけ妙に成熟している。
ロリータ風のジェーン・バーキンが写っているジャケットがオシャレ。
これを見れば、ゲンスブールがカリスマ的存在であろうことは伺い知れる。
アメリカは娯楽で軽薄で、ヨーロッパの方が奥が深いという人も多いけれど。

アルバムの曲は、一枚でひとつのオムニバスというか、ストーリーになっている。
前面に表出されているのは、ギターの調べに載せて流れるゲンスブールの”語り”。
歌なのかもしれないけど、歌ではなくて、やっぱり“語り”。
叫ぶ詩人の会”じゃなくて、”ささやく詩人の会”。

語りだけど、それにオーケストラがかぶさって、合唱がかぶさって、
それが鋭くて、油絵みたい、ミュージカルみたい、セルジュワールド。
やっぱしこゆい、深い、沼ってる・・・。
ジェーン・バーキンが、セルジュの「君の名は?」って問いかけに対して、
「メロディ」って答えるくだり、もう抱きしめたくなるくらい、かわいい。

ゲンスブールの人相も独特。イタリア語が、フレーズを持つ“音楽”なら、
フランス語は“詩”(愛撫)なのかなぁ? 英語はたて乗りの“リズム”?

日本語は“吟ずる”?・・・やーめた。


彼は詩心、構成力に加えて、BB(ブリジット・バルドー)や、バーキンを世に出す
プロデュース力があり、さらに音の構築(イメージ)の中に、“絵画感覚”がある。
コミック感覚もある。これがすごく世間の評価を長らく受けてるのか。
いやカルチャーショック、ヒット、いろいろアリやなあ・・・。
これくらいインパクトや、揺さぶり(なんかちゃうぞーっていうような違い)
新しいもの、刺激を与えてもらえると、値打ちがある。
インスピレーションがわく。