2020-01-06から1日間の記事一覧

レイ・チャールズ

今回はソウルミュージックの巨星、レイチャールズです。1930年生まれ、こちらも昭和一ケタ世代ですね。アメリカ南部、ジョージア州生まれ。代表曲に「我が心のジョージア」がありますが、まさにこれ、「ご当地ソング」なわけですね。幼い頃に緑内障で失明し…

ミルバ 「Da Troppo Tempo(愛遥かに 1973)」

芸術性を重視するイタリアの歌い手の1973年の曲。熱く大きく強くありながら、彼女の歌の中にある冷静さを思っていた。1930年代終わりに生まれ、イタリアの独裁政権の下で、人々は苦しく貧しい生活を送っていた。過酷な激動の時代の中で様々な出来事を子供時…

マヘリア・ジャクソン 「Silent Night」

先人たちの教えを自分自身の血を通して感じ、少しでも書こうとするならば、マヘリアの歌は、一人の人間が歌っている以上に、巨大な不動の岩のように、洪水のごとくあふれだす湧水、または深い地低層から吹き上げて来るエネルギーのように、何か大きなものの…

長谷川きよし

長谷川きよしを聴く度に、まだまだ自分もやれるのではないかという人間としての基本的な希望と、やはり持って生まれた才能が表現の種類を左右するのであり、才能がない者はどうしようもないのだという、人間としての基本的な絶望、この二つを一度に感じてし…

U2

U2はアイルランド・ダブリンを出自とするバンドだ。ドラムのラリーが高校の掲示板にメンバー募集の紙を貼り、ヴォーカルのボノなど、それを見て集まった校区内の少年たちだけで始動した。初期のライブは教室で行っていたというのだから、極めてローカル、そ…

ウイリー・ネルソン

今回はカントリーミュージックの巨星、ウイリー・ネルソンです。日本人はアメリカではやったものは大概日本でも流行らせるんですが、僕の見るところただ二つ、アメリカで超メジャーなのに日本ではイマイチなのがアメリカン・フットボールとカントリー・ミュ…

ジリオラ・チンクウェッテイ「アネマエコーレ」 (アルバム ベスト オブ ジリオラチンクェッティ)

イントロにギターの美しい旋律が入り、そこにふっとやさしく艶やかに奏でる美声に、一気に引きつけられる。最初のnuje ca perdimmo~を聞いただけで、聞き手を既にその心の空間の中へおく。なんとも言えないこの印象。その繊細さ、可憐さ、そして瑞々しさは、…

トニー・ベネット「fly me to the moon」

しっとりと切なく、温かく歌う。曲そのものがもっている表現、伝えようとしていることを思うと、トニー・ベネットのものは、そこのところを駆け離さずに、スケール大きく豊かに、しっくりと伝えている。また哀愁が彼の歌の中に、自然と漂い、他にはない魅力…

ジャニス・ジョプリン

耳にした瞬間に誰の魂にも届くジャニス・ジョプリンの声を、その聞こえ方を、今ここで言葉を駆使して形容する気持ちはない。血を噴くような優しさ。炎のような哀しみ。もちろん言葉はいくらでも並べられるのだが、それはつかみようのない奔流から離れたとこ…

アレン・ギンズバーグ

卵が先か鶏が先かは、生命科学のなかで永遠に答えの出ない命題なのだという。では、歌というものを考えるに、メロディーが先か言葉が先かという問い掛けはどうだろう。現代の歌環境ではなく、あくまでも古代の、人類がマンモスやムースを追い掛けて大陸に散…

ナット・キング・コール

バイオグラフィには1919年、アメリカ・アラバマ州生まれ、とありますから、ご存命ならば大正生まれの後期高齢者のおじいちゃんであります。 そのミュージシャン暦は古く、1930年代にはもうバンド活動を始めていたようです。 40年代からはソロ活動になり、50…

ナットキングコール モナリザ(ライブバージョン)

モナリザ、モナリザとゆったりと滑らかな入り。聞き手も無駄なテンションが抜けていく。ナットの歌の魅力、その不思議さを改めて思う。ふとしたところに、心にやわらかい羽根を置くように、繊細に心に触れ、聴き手の中でいつまでも印象が残る。ダビンチがモ…

アンドレア・ボッチェリ Somos Novios

一枚の印象派の絵をみているような、どこか抽象的な美しい繊細なメロディー。ボッチェリの天性的な魅力、そして声とイメージのやわらかさ、大らかな温かさ、ふくよかさがこの曲に美しく反映され、聞き手に安らぎを与えている。 滑らかに息の延長でSomos Novi…

テッド・ロス

不慮の死から一年、マイケル・ジャクソンの人気はいまだ衰えずといった感がある。いや、むしろああいう去り方をしたからこそ、美しい記憶のみをファンはつなぎとめ、彼を天空に留まらせ続けているのかもしれない。 一方、主役ではなかったがために人気とは無…

BUZZ

団塊の世代からヤンキーの走り屋までを魅了したニッサンのスカイラインシリーズ。幾度かのモデルチェンジを経たが、人気はやはり72年発表のケンメリモデルであろう。車の性能やフォルムもさることながら、これはなんといってもCM戦略の勝利であった。「ケン…

美空ひばり

初めてコロムビア本社に行ったのは契約する前だったと思います。 当時は赤坂に自社ビルを持ち、「ポップスから演歌まで(演歌からポップスまでか?)」幅広い制作ジャンルをカバーする日本最古のレコード会社である、と言うくらいしか知識がなかったのですが…

パティラベル Patti Labelle 「Over The Rainbow」

彼女の歌を聴いていると、曲そのものを超えて、背後にある長い歴史の歩み、黒人霊歌やそれ以前の民族がもっている音楽や声が聞こえてくる。莫大な時間の中で積み重ねられた民族の基盤。一人の大歌手の歌の中に、多くの人間の叫びが聞こえてくるような霊的な…

ジャクソン5 I want you to back

わずか10歳くらいの頃の歌。ミクロからマクロまで、研ぎ澄まされたあらゆる感覚、その吸収力と発信力、その歌と踊り、体の動きがとても直結している。その計り知れない才能と共に、人間が生まれ持った自然なままの可能性、そのすばらしさに感動する。 Uh~…

クイーン

もう二十年以上も前の話だが、深夜のテレビ番組でUKのヒットチャートが流れた。久方ぶりに出されたローリング・ストーンズのアルバムが堂々の1位で、その直後にどういうわけか日本のスタジオでは松本伊代が歌い出し、別にボクは松本伊代を嫌ってはいないし…

グレン・クローズ

映画で名を馳せてしまったがために、歌い手としての凄みを意外と知られていない俳優はいるもので、グレン・クローズはその代表格の一人だ。もちろんアメリカ本国では、彼女がトニー賞の主演女優賞を三度もとっている舞台俳優であり、場を圧倒する歌手である…

ビリー・ジョエル

私はポップスの歌手である。ポップスとは、要するに「流行歌」である。「流れ行く歌」、時代の上を吹き抜ける風、である。ある時代を生きる(た)人の「ファッション」であったり、「暇つぶし」であったり、デートのときの「演出」の一部であったり、「癒し…

トム・ジョーンズ Tom Jones Fly Me To The Moon(1972)

全体を聞いた後に、もう一度出だしのフレーズを聞いていて、まさかこんなに後半が展開しすごいことになっていくとは予想がつかないと、張りや肉感のある頑丈な声の上にある、大歌手がもっているスケール、イメージの大きさ、そしてそこから飛びでてくる音や…

ブレンダ・リー(Brenda Lee)

彼女が歌うJambalayaジャンバラヤは、とてもユニークで面白い。ハスキーな特徴ある声で、田舎の男が嫁を連れて故郷へ帰るという内容のこのスタンダート曲を細かいところまで小回りを利かせ、すばしっこく、さまざまな色に変化する。とくに跳躍があって高音を…

シャーリーバッシー

海辺のウェールズにある小さな田舎町で、ナイジェリアの船乗りとイギリス人女性の間に生まれた。時代を考えると、かなり複雑な状況で大変だったのではと思うが、そのような環境、血も、この不屈の歌声を生んだともいえる。貧しい家庭の中、幼い頃から工場で…

レナード・コーエン

レナード・コーエンに憧れるボクは歌が下手だ。ハンサムではない。言葉に自信がもてない。いまだ恋に焦がれる。社会では異端者だ。電車に乗っているだけで窒息しそうになる。誰かを憎んでいるわけじゃない。でも時折消えたくなる。どうにもならない自分。ど…

パティ・スミス

不幸や混乱を受け入れられるかどうかというのも一つの才能で、澄んだ空を見るために片足を地獄に突っ込むぐらいの覚悟がなければ、人の胸を打つような歌は歌えないのかもしれない。パティ・スミスは修羅の道を歩む詩人であり、ロック・シンガーだ。二十歳の…