団塊の世代からヤンキーの走り屋までを魅了したニッサンのスカイラインシリーズ。幾度かのモデルチェンジを経たが、人気はやはり72年発表のケンメリモデルであろう。車の性能やフォルムもさることながら、これはなんといってもCM戦略の勝利であった。「ケンとメリーの愛の世界」を車のキーワードにし、ハーフのカップルを登場させることで脱日本的ロマンスを視聴者に刷り込んだ。加えてその音楽ではこれまた非日常的ハイトーンヴォイスで歌うフォークデュオ「BUZZ(バズ)」を起用、爽やかさと切なさの入り混じった声と曲調で聴く者の心をつかんだ。
BUZZとしての活動が先なのか、それとも企業宣伝ありきのグループ結成であったのか、当時小学生だった私にはわからない。わからないが、とにかく何かを感じた。10歳の少年がうっとりし、大きくなったらメリーのようなエキゾチックな女の子を連れて海岸を歩くのだと誓ったのであった。こんなふうに感じ入ったのは私だけではないようで、今や福山雅治さんも山崎まさよしさんもケンメリのカヴァーを歌っている。
あまりにニッサンのイメージが強くなってしまったせいか、ご本人たちはあまりメディアには出られなかったようだが、それぐらいBUZZは衝撃的だった。CMソングとなった「ケンとメリー 愛と風のように」を歌ったのは小出博志さん。といってもお名前を知ったのはネット検索が可能なこの時代になってからであって、作曲が高橋幸宏さんの実兄である高橋信之さんであるとか、ケン役だったハーフのモデルがバイクで事故死していたなどということはこれまでまったく関知せず、ただ時折テレビやラジオからこの曲が流れる度に「夢多き70年代」へとタイムスリップし、当時のうっとり感を蘇らせていたのである。
さて、今はYou Tubeでお宝映像を楽しめ、U-streamで生映像さえ配信できる時代である。うっとりしたい私は当然ケンメリのCMシリーズをYou Tubeでまとめて見るようになった。亡き初代ケン、CMが変わる度に大人になっていくメリー、そしてBUZZの小出さんの若きハイトーンヴォイスに思いを馳せ、ついにはギターで伴奏まで企てるようになった今年の春、ついに見つけてしまったのであった。2007年のBUZZのライブ映像を。動いている本物のBUZZを見るのは私にとってこれが初めて。
BUZZとしての活動が先なのか、それとも企業宣伝ありきのグループ結成であったのか、当時小学生だった私にはわからない。わからないが、とにかく何かを感じた。10歳の少年がうっとりし、大きくなったらメリーのようなエキゾチックな女の子を連れて海岸を歩くのだと誓ったのであった。こんなふうに感じ入ったのは私だけではないようで、今や福山雅治さんも山崎まさよしさんもケンメリのカヴァーを歌っている。
あまりにニッサンのイメージが強くなってしまったせいか、ご本人たちはあまりメディアには出られなかったようだが、それぐらいBUZZは衝撃的だった。CMソングとなった「ケンとメリー 愛と風のように」を歌ったのは小出博志さん。といってもお名前を知ったのはネット検索が可能なこの時代になってからであって、作曲が高橋幸宏さんの実兄である高橋信之さんであるとか、ケン役だったハーフのモデルがバイクで事故死していたなどということはこれまでまったく関知せず、ただ時折テレビやラジオからこの曲が流れる度に「夢多き70年代」へとタイムスリップし、当時のうっとり感を蘇らせていたのである。
さて、今はYou Tubeでお宝映像を楽しめ、U-streamで生映像さえ配信できる時代である。うっとりしたい私は当然ケンメリのCMシリーズをYou Tubeでまとめて見るようになった。亡き初代ケン、CMが変わる度に大人になっていくメリー、そしてBUZZの小出さんの若きハイトーンヴォイスに思いを馳せ、ついにはギターで伴奏まで企てるようになった今年の春、ついに見つけてしまったのであった。2007年のBUZZのライブ映像を。動いている本物のBUZZを見るのは私にとってこれが初めて。
人によって感想は色々だと思う。21歳でケンメリを歌った小出さんも56歳である。正直に言うと、これまで勝手に抱いてきたイメージとご本人の様相に少なからぬギャップがあった。年齢は隠せない。ハイトーンもかなり無理がある。そこを突けば幾らでも何でも言える。しかし、何だろう? この鳥肌が立つ感じ。この有り難さ。思わず手を合わせたくなるような。
デビュー以外はさほどヒットがない人生。決して楽ではなかっただろう。それでも巡り合ったその歌を、ずっとずっと歌い続けてくれた。死んじゃったケンだけが映像の中でいつまでも若く、生きているBUZZは歳をとっていく。老いていく。だけど、まだ歌っている。そして小学生は四十八歳になり、まだ聞いている。そこに好きな歌があるからだ。
デビュー以外はさほどヒットがない人生。決して楽ではなかっただろう。それでも巡り合ったその歌を、ずっとずっと歌い続けてくれた。死んじゃったケンだけが映像の中でいつまでも若く、生きているBUZZは歳をとっていく。老いていく。だけど、まだ歌っている。そして小学生は四十八歳になり、まだ聞いている。そこに好きな歌があるからだ。
ひとつの歌を愛する。その歌とともに日々を生きていく。その歌とともに老いていく。それは、歌なしに枯れていくのとはまったく違う人生だと思う。いまだケンとメリーなBUZZに、私はあらためて感謝しているのだ。
逆に言えば、自分の持ち歌があるということは何て幸せなことなのだろうとも思う。生きていく上での救命ブイのように、そこに歌がある。
逆に言えば、自分の持ち歌があるということは何て幸せなことなのだろうとも思う。生きていく上での救命ブイのように、そこに歌がある。