ジュリエット・グレコ

絞首刑にされようとする女の人の歌がすごい迫力で、
客席も入り込んでいるのがわかった。
それと「行かないで」のフレーズ。黒のシンプルなワンピース。
20分の休憩のあとも衣装がえなし。バックのセットもなし。

ずーっとスタンドマイク。ピアノにアコーディオンに超シンプル。
バンドの人の名前を紹介したとき、歌っているかのようで歌詞かと思ったら、
ドラムの人の名前を呼んだんだと判明。

ああ、憧れのパリだ!この言語の差は何だ??
70過ぎても声って出るよなあ。それもかさかさしてなくて潤ってる。…うらやましい。
歌詞の中に「人はすぐに忘れるんじゃなくて、すぐに慣れてしまうのさ」って。ドキッ。

シャンソンは結構思想的というか、哲学的というか。
最後はすごい底までずーんと入り込んでいるのがわかった。
客席の50代の人たちはたぶん、1970年前後によく聞いていた人たちだろう。
グレコは昔サルトルたち実存主義者の思想家、詩人、文化人の溜り場であった
パリの地下酒場「タブー」のマスコット的存在だったらしい。

70過ぎた今も、所作や雰囲気に可愛らしさは残っている。
ひとくちに洋楽だの、ジャズだの、シャンソンだの、
西洋人だの言うけれど、アメリカとは全然違うやん。
シャンソンってなんか哲学やん。
すごい、わび、さび利いてるやん。(M)