No.274

CD

 

S'wonderful

ヘレン・メリルはハスキーヴォイスでセクシーに、アニタ・オデイはスゥイング感、ケイト・スミスはアメリカ的な明るさと力強さがある、クリス・コナーは素直に歌ってシンプル。今の自分が歌うならクリス・コナーをお手本にしたい。

 

Lover man

サラ・ヴォーンは穏やかな気持ちで聴ける、ビリー・ホリディは独特の声の強さで印象的な切ない歌い方、ケイ・スターはカントリーの雰囲気で。今の自分ならお手本はサラ・ヴォーン

 

 

Our love is here to stay

カーメン・マクレエは音域の広さを生かしたフェイクと同音でどこまでも押し通して引っ張る歌唱力。シャーリー・ホーンのフェイクはナチュラルで楽しい。ブロッサム・ディアリーはつぶやくような歌い方がキュート。クリス・コナーはバースから歌って、声を繋げてゆったりとリズムに乗っている。今の自分なら、この曲はブロッサム・ディアリーの歌い方で。

 

As time goes by

ジュリー・ロンドンは柔らかな低い声をやや抜いて雰囲気で聴かせる歌い方。低いキーなのに、高く聴こえる。イヴ・ボスウェルは叙情的な優しい歌い方。映画で歌ったドゥリー・ウィルソンは弾き語りでさらっと、さりげなさが魅力。この歌のメロディをフェイクしているのはキャロン・スローン。お手本に勉強しよう。

 

昭和53年放送の時代劇「風鈴捕物帳」石ノ森章太郎・原作

主題歌「誰も知らない」西郷輝彦・歌 いずみたく・作曲

東日本大震災から3年、YouTubeでこの曲を聴いていて、ふと被災者の方々のことを思った。

人々の心の奥底には、自分以外「誰も知らない」悲しみ、傷跡の痛みが、今も重々しく沈んでいる。

味わった人でなければわからない。

あの日、それまでの色々な思いで全てが、津波というドス黒い濁流に飲み込まれ、失われてしまった。

それでも、後ろを振り向くわけにはゆかない、今まで歩いてきた道はもう戻ることができない。

大切な思い出が失われ、大切な人々までもが失われ、後に残るのは心の傷跡の痛み。

それでも、人は前に向かって歩き続け、生きてゆく。

今まで3年間、心の痛みを抱いて生き続けている方々へ、

幸せを掴むまで、諦めないで生き続けて欲しい。

(注意)この曲は劇中主題歌として作られたものであり、シングル又はアルバムのレコードとしての発売はされなかったとのことです。

 

DVDCINEMATV

 

「バックコーラスの歌姫たち 」

バックコーラスを仕事にする女性たちの生きざまを描いたドキュメンタリー。原題は「スターから20フィートの距離」。バックコーラスの女性たちはみな、ものすごく歌がうまい。楽譜なしでコーラスができ、回りの声と溶け合っていくのが最高という耳の良さ。幼少時から教会のゴスペルで養ったノリの良さで歌えて、踊れる。けれど、ソロシンガーとしてCDを出しても成功は難しい。実力以外のもの、性格の強さ、容姿、そして運もある。また、ソロとして成功することが幸せにつながるとも限らない。出演者の一人の「歌うことは分かち合うこと。競うものじゃない」という言葉にコーラスの魅力が語られていると思った。私自身は合唱・コーラスの経験は中学の授業くらいしかなく、他者と声を合わせて作品を仕上げることに恐怖感がある。歌とは分かち合うもの、と語る女性は音楽の本当の楽しさを知っているのだと感じる。

 

 

「スイッチインタビュー達人達」超人気声優・山寺宏一×ものまね王コロッケ

豪華な2人の声に関する秘技を披露。山寺さんはボードを見せて十字の線の左は「こもる」右は「ひらく」上は「高い」下は「低い」と書いてあり、「こもる」から「ひらく」まで、たどって声を変化させていった。これだけでも1つの立派な芸だった。

ブラッド・ピットのアテレコをやる時は表情を見て息つぎを合わせる。口の形、目と表情、芝居が合うよう、ブラッド・ピッが日本語を喋っているかのように思わせる。空気感を伝えたい。毎回、オーディションのつもりでやっている。

コロッケは顔の前が押す歌、後ろが引く歌。押す人が美川憲一だったら引く人はピーター。押す人が細川たかしだったら引く人は五木ひろし。これはロボコップに発展して効果音も「契り」に合うものを探すのは苦労したそうだ。五木ひろしも中途半端に物真似されると嫌だけどあそこまでいっちゃうと許せると言っていた。2人共通のお題を出しイメージの声を出していた。「成金」「武田信玄」「武田鉄矢」だった。それぞれオリジナリティがあって笑わせた。

 

 

「それでも夜は空ける」

アカデミー賞作品賞ということで見に行った。黒人の人種差別の残酷さをこれでもかとしっかり描いた映画。スティープ・マックイーン監督とあったのが最初、あの俳優かと思ったら黒人の別の人だった。白人の主人が使用人を物として扱う所は容赦がない。お仕置きとして仲の良い仲間に鞭を打たせる所は芝居とはいえ正視出来なかった。木に首をつって綱を爪先立ちになってようやく立てる長さにしたり。途中退場するお客さんも。(別の理由かも知れないが)自由黒人(証明書がいる、そういう制度があるのを初めて知った。)ソロモンはバイオリン奏者として妻子と幸せに暮らしていた。仕事をくれた人が裏切り、彼に酒を大量に飲ませて売り飛ばしてしまった。そこから何をやらせても有能な彼の凄惨な苦しみが始まった。絶望仕切ったぎりぎりのところ、家を建てる労働をしている時に今回、制作者として名を連ねるブラッド・ピット演じる黒人差別徹廃止を唱えるカナダ人労働者が現れ、彼を救いだす。余談だがクリント・イーストウッドトム・クルーズも監督や制作者をやると皆、格好良い役をやる。自分で役を決めるわけではないでしょうけれど、本人ならへりくだって、地味な役をやるのに、これは英雄等が好きなアメリカ人の特徴だと思う。

黒人が労働歌(彼等の音楽の始まりはここだった。)を歌う時、ソロモンが加わると厚みが増す程、低くて良い声だった。

 

ソチオリンピックフィギュア女子 」

オリンピック真っ最中だったので。浅田真央選手のショープログラムの16位、ミス連続の演技から翌日6位まで追い上げたトリプルアクセル成功、力強い演技。魂がなくなってしまったようなショートプログラムの翌日の公式練習で浅田選手の覇気のなさに危機感を覚えた佐藤コーチは彼女を叱り飛ばし30数年前のある選手の話をしたそうだ。その選手は高熱で2日間寝込んで本番の日、気力を振り絞って会心の演技をしたそうだ。テレビでその時の映像を流していたが演技を終えて帰って来たその選手は若き日の佐藤コーチに崩れるように抱き付いていた。それを聞いただけではないでしょうがフリーの浅田選手は甦ったかのような気力あふれる演技をして日本、世界の人々を感動させた。同じ人間が地獄から天国へと心境も、回りに与える影響も変わっていく力は何なのか、何処からくるのか、とても興味を持った。彼女が語ったところによると緊張により心と体を動かせなかった、ということでミスの演技にショックを受け、何が起きたかよく掴めていないようだった。翌日はそんな自分に腹がたってきて「何をやっているんだ」と思ったそうだ。その後の目覚めた演技でホッとしたが、振り付けのローリー先生が何故あの子だけがあんな試練を受けなければならなかったのかと言っていたがのが気になった。(なってしまったものは仕方がないのだが)もう、辛い体験はして欲しくなかった。私の中では良かった良かったで終わらなかった。

 

BOOK

 

「成功したい女(ひと)は、「結婚」を捨てなさい 」笠井裕予

衝撃的なタイトルです。でも読んでみると、ただ結婚を否定しているのではなく、仕事に対する姿勢や自立することなどについて書かれた、男女問わずお勧めの一冊です。

 

「目標を『達成する人』と『達成しない人』の習慣」嶋津良智

「『仕事が速い人』と『仕事が遅い人』の習慣」山本憲明

違う2人の著者によって書かれたこの2冊の本は表題からして対照的ですが、実際に中身を読んでみると共通している箇所が見つかります。

それはあたかも同一人物によって書かれたかのようです。これを図式にすると、以下のようになります。

目標を達成する人、即ち仕事が速い人。

目標を達成しない人、即ち仕事が遅い人。

なぜこうなるか、そこがこの2冊の本の共通点です。例えば、以下のような点です。

1.明確な目標があるから、その目標に必要な仕事しかやらない。

2.目標を達成する時間を決めてしまうから、時間内で仕事が終わるように工夫をする。

3.必要なものだけを手元に残し、その他の要らないものはさっさと捨てる。

だから、仕事が速くて、目標を達成できる。

別々の人でも、できる人の考え方には、やはり共通点があるようです。

 

「偽悪のすすめ」坂上忍

子役からの叩き上げ俳優であり、無類のギャンブル好き、他人の迷惑顧みず自分の人生論を延々と語り続ける「ウザイ芸能人」としても定評のある俳優、坂上忍さんの人生論を一冊の本ににまとめました。

1.バクチをやるなら有り金全部かける。負ければドン底、勝てば一年遊んで暮らし、金がなくなればまた仕事をして稼げば良い。

2.「いい人」にはならない。「空気」は読まない。「仏の顔も三度まで」の諺通り、3度目までは笑って許しても、4度目は鬼の顔に豹変すれば良い。

3.自分にだけは言い訳をしない。

など、天邪鬼とも言いたくなる程の「坂上イズム」は、テレビでウザがられている坂上さん自身のイメージさえ飛び越す程、強烈にして痛快。

他人の目が気になって自分を見失いがちな人の良い方、

自分の人生に行き詰まりを感じて悩んでいる方、

新しい人生を切り開きたい方

などに、ぜひお勧めしたい一冊です。

 

EVENT・その他>

 

中村紘子モーツァルトピアノ協奏曲第24番 」

フレーズのおしまいの弱音での納め方が本当に素晴らしいと思いました。美しくきれいに、というより、そこにそっと置くのは次の一歩のため、というか。置いた瞬間には次の一歩が始まっている感じ。歌もそうかなぁ、と思います。フレーズをうまく納めることだけでなく、その先のために納めるという視点、これがレッスンでトレーナーのおっしゃった、「息の流れを止めない」ということにつながるかもしれません。大きく出してもうるさくなく、大・中・小の音の使いわけ。やや絞った中音が多く、ピアノを技術で弾くというより、音楽の流れの中を生きているという感じがしました。

 

 

 

「東京交響楽団:モーツァルト交響曲41番ジュピター」ミューザ川崎

モーツァルトマチネで聴きました。指揮のユベール・スダーンは今月で10年の契約満期終了。最後という思いは指揮者も楽団員も強かったと思います。ユベール・スダーンは自分の体と呼吸を使ってオーケストラを導こうとし、演奏者たちはその思いに応えようとしていたのを強く感じました。指揮者の腕とオーケストラの腕が一体化しているように見えた瞬間があり、客席の私も心から応援しました。最後の指揮者のお辞儀は本当に心がこもっており、アンコールはなし。なくて良かった。アンコールなんていらない。素晴らしい演奏に立ち会えて、幸せな気持ちでホールをあとにしました。

エリック・クラプトン来日公演2/28 」前からファンだったわけではなく、たまたま「Over the rainbow」の音源を図書館で探していて彼のCDに行き当たり、たまたま最後の来日公演の宣伝を駅の看板で見て、ブルースを生で聴いてみようとチケットを買いました。私は日頃のYWレッスンでリズム系の出来が悪いので、外国人のビート感も聴いてみたかった。実際のコンサートは楽しかった。どうやったらもっと軽く乗れるかな、お腹で曲のうねりに乗っかる感じで聴いたらとても楽しかった。日頃聴かないいろんな音楽にも生でもっと触れて、自分の世界を広げたいと思いました。

 

「オルケスタ・チェ・タンゴコンサート3/5

一年前にも聴きましたが、今回は本当に素晴らしかった。バンドネオンの醸し出す音楽のうねり、自分が歌って行く時にも、こういうらせん状のうねりみたいなものを作っていきたいと思いました。それから、今年気がついたのは、曲の中のブレイク、無音になる部分は、無音という音楽が進行しているのだということです。私もいつか、無音が歌える人になりたいです。

 

 

<店>

 

「代々木商店」

代々木駅徒歩1分のラーメン屋です。ラーメン好きの方なら想像つくと思いますが「家系」です。簡単にいうと濃厚豚骨スープです。一番食べに行く店ですね。まぁ私が太ってきた原因の一部では間違いなくありますが…。

家系のラーメン屋は一歩間違うと豚骨臭い店もあるのですがこの店は全然臭くありません。そしてリーズナブル。普通のラーメンでも海苔3枚、ほうれん草、チャーシュー、うずらの卵がついて650です。私が一番食べるのは850円の代々木スペシャルというメニュ。

麺の固さも調節可能ですし、油、味の濃い薄いも調節してくれます。18:00まではライスも無料です。ちなみに私がラーメンとご飯を一緒に食べるのはこの店だけです。

それくらい合います。お勧めです。

でも初めての人は店員さんの元気のよさにちょっと驚くかもしれません。

 

Q.E.D. CLUB (フレンチ)」恵比寿

恵比寿駅から少し歩くので、あまり立地がいいとは言えない。ただ、駅前では作れない雰囲気を作るために、雑踏から離れ、敢えて繁華街から距離を置いたんだという堂々とした空気感がある。さらに外観や内装同様、お料理も丁寧に作られていて、拍子抜けさせることがない。変り種や驚きのようなものこそなかったけれど、地に足のついた、王道料理の中のひとつレベルの高いものが味わえる。シャラン鴨といった扱いの難しい食材も一切の臭みなく処理されていて、かといって肉々しい鴨らしさも失われていない。

ワインの品揃えも圧巻で、ボトルで数十万円する五大シャトーのワインなどが名を連ねている。ワインリストに載っているということは、お店のセラーに常に用意されているということなのだろうけれど、そういった品々を常備できるというだけでもお店の力が窺えるように思う。デザートの種類も豊富で、しれっとケーキ屋さんより美味しいケーキが出てくる。有名店にはドルチェ専門のパティシエを置いていることも多いと聞くので、こちらもそうなのかもしれない。客層はマダムが多く、きっと誰もが訪れるお店ではないけれど、長く続いていくお店のひとつの形なのだろうと思った。

 

little kong (イタリアン)」神楽坂

十席程度しかない全席カウンターのこじんまりとしたお店。店員さんも二人しかおらず、料理は店主一人が全て行っている。ワインとイタリア料理を売りにしているが、創作料理の要素もある。品数は少ないものの、リガトーニやオレキエッテといった少し珍しいパスタも扱っていて、無難なイタリア料理屋という感じではない。メニューに載っているオレキエッテのソースはぺペロンチーノだったけれど、注文した際、直前にオイル系の料理が続いていたことから、パスタのソースをオイルベースではなくトマトやクリームベースにもできますよ、という提案を頂いた。こうした気遣いと融通も、大箱のお店でできないことではないはずなのだけれど、実際にできている店舗は少ないだろう。味は本場のものに基づいた正統派というより日本人好みにアレンジされたものが多いので、和風パスタなども置いてあり、万人受けする味付けがされていると感じた。ワインの品揃えも、店の規模にしては豊富なのだと思う。オーブンで焼くオムレツの火入れ加減が絶妙。