おすすめアーティスト・作品 No.387

「介護のうしろからがんがきた」篠田節子(本)

お母様の介護が大変な時、自身ががんになったのにとても明るい筆者に逆にこちらが励まされました。

 

「運び屋 円十郎」三本雅彦・文藝春秋(本)

託されたものを指示された場所に運ぶ、運び屋という稼業がある。安くない金を払って運ぶような依頼ゆえ、中身は尋常ではない。また、それをぶんどっていく引き取り屋という稼業もある。両者は仕事が絡めば戦うが、仕事以外は出会ってもお互いに何もしないというドライな間柄だ。運び屋の円十郎は、先祖伝来の柳雪流躰術を仕事に生かし、難しい仕事を松竹梅の松グラスの仕事を任されている。円十郎は志や夢は人を不幸にすると考えている。そのわけは、彼の父親にある。が、物語の終盤、その志は、円十郎が思っていたものを越えるものだと分かる。運び屋の仕事には強敵が現れ、素手では戦いきれないと知った円十郎は、剣術習得のために街の道場に入門するが、そこで出会うのは幕末に活躍する人物たちだ。柳雪流の奥義でもある小刀術は、最強の相手なればこその力を利用する、想像外の技だった。読後感はクール。著者は30代と若く、時代のクールさかもしれない。続編を待ちたい。

 

マティス展」(美術展)

東京都美術館で開催しているマティス展に行きました。マティスというと赤いイメージでしたが、常に試行錯誤しながら作品と向き合い、生涯の中で描き方が変わってきたりしている点が印象的でした。