No.288

<映画>

「リトル・マーメイド」
ディズニー映画が全部大好きです。この映画の中の曲はどれも好きですが、『Part of Your World』が特に好きです。思春期の女の子の気持ちが描かれていてすごくうっとりとしてしまう映画です。

<BOOK>

「ねずさんの日本の心で読み解く百人一首」 小名木善行・著
日本人としての誇りを取り戻すために起こしたブログ「ねずさんのひとりごと」で人気を博する国史研究家、小名木善行さんが、上っ面だけの解釈ではなく、その奥に秘められた歌意を探り出し、百首の歌で日本人の心を綴る一つの叙事詩として仕上げられた「百人一首」のなぞを解いてゆく最新作です。
小名木さんは、歌の順番にも意味があると考え、まずはトップの2首がなぜ日本国家草創期の二人の天皇なのか?という理由について論じます。
1.天智天皇:秋の田の 刈り穂の庵の 苫を粗み わが衣手は 露に濡れつつ
2.持統天皇:春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山
この2種には、庶民と同じように家族のために働く天皇の本来の姿が描かれ、天智天皇の歌には家族を思う父性愛が、持統天皇の歌には先に亡くなった夫天武天皇への純粋で力強い夫婦愛が秘められているというのです。
現代の日本人が失った素直で強い心を取り戻させてくれる一冊です。

 

<その他>

江戸東京博物館 特別展「大関ヶ原展」
徳川家康公没後400周年を記念し、415年前に勃発した天下分け目の関ヶ原合戦を偲ぶ特別展示が、江戸東京博物館にて開催されます。
参戦した東西両軍の武将所用の武具の他、開戦までに武将同士の間でやりとりされた書状など、スリリングな展示も多数用意されておりました。
今回は歴史の勉強というより、当時の武具の技術調査を目的にしました。
というのは、自分は小田原にある「手作り甲冑教室」に所属しており、最近新作を作り始めようと考えていた折しもこのような特別展があることを知り、展示されている武具を参考にしようと考えたのです。
実際、展示物の中には歴史の本でもよく掲載される以下の武具が間近で見られました。
徳川家康所用:大黒頭巾兜付黒塗鎧具足(歯朶具足)
本多忠勝所用:大鹿角兜付黒塗鎧具足
井伊直政所用:大天衝兜付朱塗鎧具足
池田輝政所用:黒塗頭形兜
加藤嘉明所用:富士山形兜
石田三成所用刀:名物石田政宗
本多忠勝所用槍:名物蜻蛉切 他
いずれも素晴らしい出来栄えの品で、見栄えと実用性が両立しています。
各部ディテールを見ていると、昔の職人というのはすごい仕事をしていたことが想像できます。

 

ロイ・ヘインズライブ 」
90歳の現役ドラマー、ロイ・ヘインズのライブ。70年以上、ジャズの世界で生きている人を見たくて行った。彼のステージの感想を一言で言うと、ああいう歳になると何しても許される?という感じだ。まさに長生きしたもん勝ち。ステージまで歩く時は本当にヨレヨレじいさん、でもステージ上では元気、タップを踏んで見せたり、聴衆にクールだと文句言ったり。一曲目はドラムセットが気に入らないようで  演奏しながらずっとあちこちいじっていた。三曲目だったか、サックスの人が楽器を持ち替えて待っているのに、ドラムソロに突入して、そのまま曲が終わった。ドラムの技術的なことはよくわからないが、彼は回りのミュージシャンのお尻叩きながら突っ走って行く、回りの若手がじいさんの暴走をセーブしつつ、立てている感じ。でも、その自由さはたくさんの経験と技術の積み重ねで手に入れたものに違いない。彼は煙草も麻薬もやらなかったという、その自制の結果の長寿でもある。私はジャズ初心者なので、ウッドベースを頼りに楽しく聴いた。ベースの音の動きは本当に楽しく、CDなどよりもはっきり聞こえて、ライブはいいなぁと感じた。私は音楽に取り組んだのが遅いから、90歳とは言わなくても80歳まで歌えたら楽しいだろうと思う。

 

<店>

「AWエレメンツ(イタリアン)」六本木
昨年オープンした、AWキッチンの気鋭店。バーニャカウダを日本に広め、それが全国で人気を博する中、今もそれを最大のウリにして見事に成立し続けているこのお店。今度は「バーニャカウダブッフェ」なる試みを始めたということで伺ってみた。元来、決して広くない店のスペースの中で、オシャレな屋台のようなワゴンを中央に置いてそこにバーニャカウダ用の野菜をディスプレイしている。置いている野菜は十種で、金美人参などの比較的馴染のある野菜から、ロマネスコなどのイタリア食材、江戸菜といった農園野菜まで幅広い。新鮮な野菜は、どれも尋常ではなく美味しい。さらに、どうしても茶系の野菜が比率を増しているはずのこの季節にも関わらず、鮮やかな彩りの野菜を揃えていたところも、さすがにAWキッチンというところ。ただ、人気店ゆえの悩みだろうか、ピーク時には補充待ちの野菜が続出。店内はあまりにも慌ただしく、スタッフも滝のような汗を流していたので、急な欠勤による人手不足など不測の事態があったのかもしれない。今回は時期的なこともあり根菜に偏っていたが、夏などは野菜が瑞々しさを増して風合いも変わる。常に旬を取り入れて違った顔を表現することのできるバーニャカウダに死角はなく、加速していく健康志向や野菜ブームを、このお店はまだしばらくは牽引していく存在となるのだろうと思った。

 

「ミッシェルトロワグロ(フレンチ)」新宿
ミシュラン二つ星を獲りつづける名店。エントランスから席に案内されるまでの間にガラス張りのキッチンの前を通る。そこから覗けるキッチンは広すぎるほどに広く、スタッフは驚くほどに多い。チーフシェフのギヨーム・ブラカヴァル氏の姿も確認できる。サービスのスタッフは全員が当然のようにソムリエバッジを着けており、店内は格式高い雰囲気が漂っていた。ただ、その動きはスマートさに欠けている。髪に白髪の混じったベテランウェイターが担当してくれたが、グラスに水を注ぐ手はひどく震えており、料理説明の際にはテーブルに手をついていた。一方で料理も、どこか冴えない。温菜のフォアグラのヴェロア、ペーシェのトラウトのコンフィは美味しかったけれど、他は今一つ。何より、 期待していた料理の盛り付けやソースの配置などに、工夫も驚きもなかったことが残念だった。普通に美味しいけれど、特別には印象に残らない。感動を提供してくれるレストランというイメージが先行していたが、その通りのお店というわけにはいかなかった。