No.285

<CD>

「 XXXV」ONE OK ROCK
新しいアルバムです。今までの曲より、ストリングスを入れたりするなど、完成度が高い曲が多い。日本人離れの歌唱力があり、日本語の発声をどのように処理するのかを学ばせていただきます。

 

<CINEMA>

「ビッグアイズ」
アメリカで実際にあったゴーストペインターの話。夫が妻の描いた絵を自分が描いたと偽り富を築く。偽りに絶えきれなくなった妻が告発し裁判になる。どちらも自分が描いたと譲らずその場で両者がスケッチして決着をつけた。
日本にも同じような事件があったがもっともめたらその場で作曲させて決着をつけることが出来ただろう。
どちらもされる方はおとなしく弱い。する方は強くて脅す。真実を告発する時は勇気が必要だったと思う。弱くても積もり々ると強い力を発揮する。

 

<BOOK>

「民間防衛」スイス政府編(原書房
今、日本は狙われている!
尖閣諸島を中国が、竹島を韓国が、虎視眈々と狙っている。
一方では1945年の敗戦以来、国軍を失った日本を守る名目で進駐していた在日米軍の撤退まで囁かれている。
加えて、近々発生すると言われているのが首都圏直下型地震東海大地震
では、日本は誰がどのように守るのか?
この課題を政府に任せきりにするのでは不十分である。
民間でできることはないのか?
スイスでは、国軍(政府軍)と民間人の力を一つに統率して国土を守る伝統が古くからあるという。
そのうちの民間人に割り当てられた防衛活動の具体的マニュアルとしてスイス連邦内閣が編集したのが本書である。
戦時や災害時など緊急時の行動指針のみならず、平時の平和と安全の維持についても、具体的かつきめ細かに説明されている。
これはかつて、大切な家族や奉公人及び土地や財産を守るために武装した日本の武士の心得にも通じることである。
今この時代だからこそ、一読しておきたい一冊である。

 

<その他> 

「シンガーソングライター 松山千春さん」
人生で初めて聴いた千春さんの歌は、「季節の中で」でした。
1978年、グリコ・アーモンドチョコレートのCMソングに採用され、これを機に千春さんの人気は急上昇してゆきました。
その他に、可愛い歌だなと思った曲に、「七つ違い」という曲があります。
「七つも年下の女性に愛を感じるなんて、俺、おかしいんじゃないか?恥ずかしいな。」
「俺のせいで辛い思いをさせているのに、いつも笑顔でいてくれるのが悲しい・・・」
「気づくのが遅かったけど、やっぱり俺、お前を愛している!」
そんな、不器用ながらも純粋な愛情の描写が大好きです。
高い音域と「千春」の名前が女性と見紛うような印象がありましたが、気性は激しく、侠気に熱いタイプで、歌い方も雄大な雰囲気を描き出します。
後には任侠映画でも活躍するようになりましたが、やはり歌い手としての活動をベースに、数々のCMソングやドラマのテーマ曲を多く残しています。

 

「活劇一家の兄弟 長門裕之さんと津川雅彦さん」
巨匠牧野省三監督を祖父に、マキノ雅弘監督と俳優加東大介さんを叔父に、歌舞伎出身の俳優澤村國太郎さんを父に持つ、文字通りの活劇一家に育った兄弟。
故・長門裕之さんと津川雅彦さんは非常に仲が悪い兄弟だったと言います。
二人とも子役から叩き上げてきました。弟の雅彦さんは学校を卒業したらジャーナリストになるつもりでしたが、兄の裕之さんから「この映画一本に出て、けじめつけてから俳優を辞めろ。」と勧められて石原慎太郎さんの原作映画「狂った果実」に主演し、一躍大人気を誇るようになり、俳優としての道を進みます。
しかし、その後この兄弟は業界からはっきりと差別をつけられて評価されるようになりました。
「兄は顔も良いが演技も上手い。弟は顔が良い分演技が下手だ。」
さらに、二人ともフリーランスになった途端、裕之さんは雅彦さんから映画の仕事を奪い取るなど露骨な対抗心を示しますが、「生き残るためにはそれくらい貪欲に自分で仕事を取りに行かなきゃいけない」というプロの厳しさを教えてくれる弟への愛情だったのかも知れません。
新境地を開拓しようとしていた矢先の雅彦さんにスキャンダルが持ち上がり、芸能界の嫌われ者になったときに「必殺シリーズ」の悪役を勧められ、雅彦さんは美男俳優のプライドを捨てて挑戦することで実力をつけてゆきました。その影には叔母沢村貞子さんの「お前のような顔の良い俳優は人の4倍上手くないと認めてもらえない」という叱咤激励が活きていたとも言います。
晩年、裕之さんが脳梗塞で倒れたとき、口の聞けない状態で、見舞いに来た雅彦さんに、目で「後を頼むぞ」と訴えてきたと言いますが、その直後雅彦さんも心筋梗塞で倒れます。幸い雅彦さんは一命を取り留め回復しましたが、その身代わりになったかのように裕之さんは息を引き取りました。
「敵対しながらも同じ時代を共に生きて、役者としてのあり方を教えてくれた。兄貴はそんなかけがえのない人だった。」
涙ながらに語る雅彦さんの姿が印象的でした。
今は俳優の他にも、拉致被害者救出運動など国事にも奔走するようになった津川雅彦さん。
彼を支え、鍛え、育ててくれたのは好敵手でもあった兄、長門裕之さんだったのかも知れません。

 

<店>

「カリシファーズ・グリル・アラ・トスカーナ(イタリアン)」銀座
山形牛を使った肉のコースなど、独自の素材で工夫した料理を廉価で提供してくれる。「セレクトコース」は、前菜3品を15種から、パスタやメインは1品を8種から、と嬉しいチョイスがあって5,000~6,000円で済んでしまう。安いばかりでなく、工夫して力を入れた中身のある料理を賞味出来ること。本質追求で頑張っているこういったお店はいつまでも大切にしたいと思っている。

 

「川豊(鰻)」成田
成田山の表参道に位置する鰻屋さん。店頭で八人もの職人さんが鰻を捌いている姿に、通りすがる人々の視線が集まる。写真を撮って去っていく人もいれば、興味を惹かれて店内に足を踏み込む人もいるが、その手数で延々と捌き続けている鰻を売り切るというお店もまた凄い。立地もよく、元来有名な歴史あるお店なので放っておいても客足は伸びるのだろうが、味がなければ長くは続かないだろう。店の前には行列ができていたが、一人であることを告げると割かし早く案内してもらえた。うな重の上と、肝吸いを注文したが、やはり美味しい。外は芳ばしく焼き上げてあるが中はふっくらと柔らかく、焼き方も大事だろうけれど、肉厚の身を使わないとこうはならないだろうと感じた。ただ正直、それが他の
鰻と特別に違うかといわれると、自分の経験の少なさからか、よく分からない。鰻屋というのは「鰻」一本に特化したお店ばかりで、成田という鰻の名産地にあることもあり、同業が多く差別化は難しいところ。知名度と立地で、お客さんは来る。鰻という食材自体がそもそも美味しく、味が他店とそう変わらなくとも満足させることはできる。そこに特別な努力のようなものがあまり見えてこなかったのは、少し残念だった。

 

「兜(肉料理)」恵比寿
恵比寿の表通りから一本路地に入ったところに佇む、一軒家店舗。一階と二階と半地下という三フロアからなるお店は、外から見るよりも随分と広い。焼肉屋、というよりは洒落たバーのような内装で、なんとなく料理の味に不安を覚えるが、これは良い意味で裏切られる。佐賀牛1頭買いをしているお店で、牛を丸ごと捌いているので希少部位などもメニューとして扱うことができるのが強み。メニューには数ページにわたり、ひたすら肉が並ぶ。牛の部位を表すイラストや、味について丁寧に説明が記載されており、不慣れな人でも食べたいお肉を注文できるような工夫がある。牛肉についてはある程度の知識はあるつもりだったが、聞いたことのない部位が幾つもあった。牛の種類によって、同じ部位でも呼
称が変わることがあるらしい。味は、どれも間違いがない。佐賀牛という質のいいブランド牛を扱っていること、また人気店ゆえに常に鮮度の良いお肉を仕入れ、それをすぐに売り切りまた仕入れるという好循環の中にある。ただ、手入れ不足なのか、炭の真上にある吸気口があまり役を果たしていないように思われた。そこを除けば文句のつけどころはなく、サービスもスマートで、いかにも恵比寿らしいという印象のお店。多少趣の違う系列店があるようだが、そちらにも興味が湧くほど、素敵なお店だった。