「チューリップ」088

昭和7年の作品で、全国の保育園・幼稚園で歌われている曲なので、誰もが一度は歌ったことがあることでしょう。この曲を、大人として歌うには、子供の頃の歌ったイメージを、しっかり修正しなくてはいけません。まず歌い出しですが、「咲いたー、咲いたー、」の4分音符の「た」を、子供の頃のように乱暴に発音したり、短く切ったりせずに、綺麗に程よく伸ばさなければいけません。そして、それに続くフレーズ末の8分音符の「花が」の「が」も、ていねいに、しかし伸ばし過ぎず、短くなり過ぎず、綺麗に切ることも忘れないようにしましょう。2フレーズ目の4分音符と、末尾の8分音符の処理も、3フレーズ目の4分音符の処理も同様に、ていねいにしましょう。また、2フレーズ目の「並んだー」ですが、声楽的には、「なーらんーだー」と「んー」で伸ばさずに、「なーらーんだー」と、「だ」の直前に「ん」を入れてもよいですが、日本語なので、「なーらんだー」と、「ら」と「ん」を16分音符に分けるのも、悪くないでしょう。([E:#x266D]Ξ)

難しく考えず元気に声を出してほしい曲ですね。音域も狭く、曲全体も短いので単純な声出しにもよいかもしれません。しかし、短い曲というのは使い方によっては案外毎日のメニュとしてとても効果が高いです。例えば進学校などで多く行われている100ます計算やミニドリルなどもそうですが、難しい曲、難易度の高い曲をたくさんやればいいというものでもなく、 毎日できる曲で新鮮さを保つというのも重要です。難易度の高い曲をひたすらできるまで訓練しようとされる人もいますが、案外うまくいかないことも多いです。
それよりも歌いやすい曲、毎日できるレベルの曲を多くレパートリーとしてもっておくことはとても重要です。いろんなパターンの曲を数多くこなしていると、いつのまにか苦手なパッセージや出しづらい音域が改善されていることがあります。たとえば「さいたさいた」のアの母音を明るく、しかし支えられた声にするのはとても難しいことです。この意識で歌うだけでかなり発声の基礎力の向上につながります。([E:#x266D]Σ)