「お正月」071

明治の西洋音楽の黎明期を代表する音楽家滝廉太郎が作曲した、日本人の作曲によるもっとも古い童謡の一つです。軽快なテンポで、主音を中心に、上に5度、下に4度と、合わせて1オクターブ以内の無理のない音域の幅で作られているので、これも、子供はもちろん、多くの人に歌いやすく親しまれているのでしょう。
歌の始めの4小節は、2分音符の主音で始まる歌い出しと、それに続く、跳躍が少なく4分音符の多い進行で、音がとりやすく(分かりやすく)考えられているかのようです。それに続く4小節は、打って変わって8分音符の連続になっていますが、音の跳躍は少なく、同音の連続も多くて、音は分かりやすいのに、楽しい躍動感に溢れています。最後の4小節は、始めの4小節を模しているので、無理なく簡単に歌えるように作られています。童謡ですので、楽しく歌えればよいのですが、歌を学ぶ者としては、始めと終わりのそれぞれの4小節は、レガートを基本に、中間の4小節は、歌詞に合わせることを基本に、8分音符の粒が適度にそろうように、しっかり練習しましょう。([E:#x266D]Ξ)

誰しもが、一度は耳にしたことがある曲かと思います。この歌は「歌おう」と思うとうまくいかないと思います。うまく息の流れでしゃべれると勝手に歌いやすくなるでしょう。滝廉太郎の曲は、音符一つに言葉が一つ入ってくることが多いので、 歌おうとし過ぎると歌いづらいです。むしろ丁寧に言葉を紡ぐイメージでしょうか。この言葉の音の高低と、音楽が自然と聞こえるよう作曲してありますので、言葉のイメージをしっかりともって喋るとしぜんと音楽とあってくると思います。
ブレスの際に、お正月の楽しいイメージが聞いている人に伝わるようなブレスだといいですね。呼吸の方法だけを考えて呼吸してもその後に出てくる声は決してうまくいきません。歌詞や音楽のイメージをブレスから具現化できるとよいですね。([E:#x266D]Σ)

いわずと知れた、お正月の定番曲であり、幼稚園などで歌うことも多い作品だと思います。短くシンプルな曲ですが、ゆったりとした部分と細かい部分に分かれています。
この曲は伝聞のようにただ単に歌うだけでは、歌詞が伝わりにくかったり、聴いていて面白くないこともあります。この曲を聴いている人に伝わりやすく効果的に演奏する方法を細かく勉強したいのであれば、一度、歌詞を文節で切って取り出して、何が歌われているのか、何を歌っているのかを確認するところから始めてみるといいでしょう。特に名詞の部分は少しはっきり伝えるイメージを持つといいと思います。その上で、長めの音符で書かれている部分は少し歌いこんで、細かい音符の部分は少し喋りの要素があると効果的に歌えると思います。
表現としては、全体的にはお正月を待ち望んでいる気持ちが表れること、ワクワク感や希望が見えたいです。冒頭は、「早くお正月にならないかなぁ」という気持ち、「お正月には~」からは、「過去のお正月で遊んだときのイメージ」、「早く来い来い」からは、「お正月で遊んだイメージを思い出してしたので、より待ち遠しくなった」という気持ちが出せるといいですね。([E:#x266D]Я)

年末年始になると、巷で耳にすることの多い曲ですね。子供のころに歌われた経験のある人も多く、この曲を知らない人は、少ないのではないでしょうか。新しい年を迎える気持ちや、正月遊びを待ち焦がれる気持ちが描かれています。子供心のワクワクした様子を表現しながら歌えると、理想的だと思います。
この曲は音域的にはあまり高くなく、どちらかというと比較的低めです。ですので、音域のあまり広くない人への練習曲として用いることもいいでしょう。
4小節をひとまとまりとしたフレーズが3つという構成で書かれています。最初の4小節間は、期待を込めてワクワクする気持ちをもちながら、たっぷりと歌うことを心がけるといいでしょう。次の4小節間は音符が細かくなりますが、一語一語をしゃべり過ぎずにたっぷりと歌うことを心がけ、その中に、どのような遊びをしたいのかを具体的に思い描きながら歌うといいと思います。最後の4小節間は、前の部分で具体的なお正月のイメージをしたことによって、お正月を待ち焦がれる気持ちがたかぶる状態を表現できるとよいと思います。([E:#x266D]Я)