「おかあさん」070

作曲家中田喜直の作品です。テンポが[E:#x2669]=96くらいとなっていますが、90以下の少しゆったりとしたテンポで歌われることも多いようです。母と子の歌い分けの形式で作られていて、実際に、子供と女声でそれぞれのフレーズの指定通りに歌い分けられることもありますが、女声ひとりで、声色を変えたりして歌うことも少なくないようです。ピアノ科出身の作曲者ということもあるのか、音の進行がなだらかではなく、隣り合っていない音程に進むことが多くなっています。楽譜のとおりに、少し躍動気味に歌うのも、作曲者の本来の意図に沿っていて、ほほえましく楽しい親子の語らいが表現できてよいでしょう。その場合には、各フレーズの終わりが、4分音符だったり8分音符だったりと、書き分けられている意味を、うまく活かして表現しましょう。特に、曲の最後が、8分音符で最高音なので、音程をはめるために長めになり過ぎたりしないように、十分に練習する必要があるかもしれません。([E:#x266D]Ξ)

歌詞の内容は可愛らしいのですが、音程が難しい曲ですね。おそらく歌詞の内容を重視して歌うと、音程があいまいになりやすいのかもしれません。しかし、音程を意識しすぎて固くなると、歌詞の内容とかけ離れて怖くなるかもしれません。
「おかあさん」という言葉は「おかーさん」となりやすいのですが、「おかあさん」と、「あ」を大事にうたわないと音程が定まらないことになるかもしれません。
最後の「においでしょ」で急に音程が上がるので注意しましょう。この歌詞を「においでしょう」と最後を立派に歌い過ぎると、怖くなるのであくまでも母と子供もうたですから、最後は軽く切るくらいのイメージがいいでしょう。([E:#x266D]Σ)

歌うよりも語るくらいの表現の方が曲にあっていると思います。題名からも想像できますが、非常に穏やかな詞と曲調で書かれています。歌詞を見ても、「洗濯していたにおい」、「シャボンの泡のにおい」、「お料理していたにおい」、「たまご焼きのにおい」など、とても柔らかい表現で書かれています。また、ほかの曲にはあまり見られない構成で、親子の言葉の掛け合いで全体が作られています。
声を変えることで親子を区別して表現するのではなく、「子」だったらどのような気持ちでその歌詞を言うのか、「母」だったらどのような気持ちでその歌詞を言うのかという、表現の工夫で区別して歌えるといいと思います。そのような表現の練習の曲として用いるのもいいと思います。親子の会話のように歌えると理想ですね。
たとえば、最初の「おかあさん」という呼びかけを、3~4歳くらいの子がおかあさんに呼びかけているようなつもりで歌ってみたり、それに対するレスポンスをおかあさんの「なあに」で表現するといいと思います。その後の会話も同じような掛け合いでできると理想です。
([E:#x266D]Я)

童謡として、幼いころに耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。穏やかな曲です。この曲の特徴としては、母と子の会話で成り立っているということだと思います。きれいに歌うことよりも、母と子の穏やかな、温かい会話の様子を表現として出せることが大事です。
最初の子供の「おかあさん」という呼びかけに、どのような気持ちが込められているのか。子供の呼びかけに対して、母親の「なあに」はどのような気持ちなのかを考えてみるといいでしょう。それぞれの気持ちがあると思いますので、一辺倒にならないよう、表現の工夫してみましょう。全体的には穏やかに歌うことが好ましいと思われます。優しい気持ちをもって、歌うといいでしょう。
もう一つ、この曲の特徴として、日本語の音価に対して忠実に音楽が作られているということです。日本語のアクセントの位置や、リズム感、音の高低などが比較的取り入れられており、自然な会話の雰囲気を引き立てています。音楽の助けとともに、優しい会話のような歌唱を心がけましょう。([E:#x266D]Я)