「あめふり」 064

中山晋平(作曲)の童謡で多く見られるピョンコ節の曲ですが、当時の簡易的な書法(8分音符の羅列で「はずみをつけて」と冒頭に指示)ではなく、しっかりと付点8分音符と16分音符で書かれています。比較的落ち着いたテンポに惑わされず、緩いスキップのリズムではなく、はつらつとした喜びを表現することが求められているようです。授業中に期せずして降ってきた雨の中、お母さんが傘を持ってお迎えに来てくれたことへの、主人公のあふれんばかりの喜びを、うまく表現しましょう。
4小節単位のフレーズ、3個の構成です。歌詞の1番から5番まで、ストーリーが展開して行きますが、常に3個目のフレーズは同じ歌詞で、主人公の嬉しさをあらわす擬音語・擬態語になっています。
また、1つ目と2つ目のフレーズではほとんど出てこなかった最高音で、3個目のフレーズは始まり、その最高音の2連続で終わります。曲の音域は、ちょうど1オクターブなので、移調さえすれば、無理なく歌える曲ですから、楽に高音が出せるように移調して、決してがんばったり詰まった高音にならないように、気をつけましょう。([E:#x266D]Ξ)

この歌は、発声法を捨てるべき歌だと考えます。むしろいかに自分の持っている生の声をだせるかということでしょうか。いい発声というよりもどれだけ子供のように歌えるかという曲だと思います。
レガートやジラーレ、マスケラ、響き、支え、腹式呼吸、鼻腔共鳴などなにも考えずこの言葉、リズムだけをいかそうと思って言葉が切れてもいいので明るい声で歌うことをお勧めします。
イタリアのベルカント発声の考え方の一つに、赤ん坊のような声で歌うという考え方があります。考え方によってはとても重要です。赤ちゃんはまだ骨も筋肉もしっかりとしていない時期から大きな声で泣きます。お母さんのお腹からでてきた瞬間から大きな声で泣きます。しかし彼らはいくら大きな声で泣いても、泣き続けても声が嗄れるということはありません。未就学児位まではこの現象は続きます。
泣きすぎて声が嗄れている赤ちゃんや幼稚園、放生演じを未だかつて見たことはありません。彼らのレベルで声をだしていると大抵の大人は声嗄れるでしょう。このように赤ん坊や子供の声には学ぶべき点がたくさんあります。
このあめふりもそのような視点からみて、むしろ子供が歌っている様子を観察するだけでも学ぶべきことが多いかもしれません。([E:#x266D]Σ)

この曲は多くの人が、こどもの頃に耳にしたことがあるのではないでしょうか。と言っても、最も有名なのは1番の歌詞で、2番以降を知る人は少ないかもしれませんね。楽譜を見ていくと、付点のリズムが特徴的で、お母さんが傘を持って迎えに来てくれることがうれしいという気持ちが、音楽として表現されていると思います。
全体をレガートに歌う感覚を底辺に置きながら、お母さんが迎えに来てくれることに対する喜びやワクワク感を、この付点のリズムを使って表現していくといいでしょう。
4小節を1フレーズととらえて、各フレーズが1小節目から2小節目、そして3小節目へと推移していく中で、どんどんうれしい気持ちやワクワク感が増していくようなイメージをもって歌うと、この曲のよさが表現しやすくなっていくと思います。また、歌詞として書かれている部分を、想像しながら歌ってみると、より具体的に表現しやすくなっていくと思います。純粋なこどもの気持ちを思い出し、素直な気持ちで歌えるといいですね!
([E:#x266D]Я)