「あめふりくまのこ」 065

NHKみんなのうた」の前身の、「うたのえほん」で放送され、小学校の教科書にも掲載された名曲です。4小節単位のフレーズは、付点8分音符と16分音符のスキップのリズムのみで構成され、最後の音だけ4分音符や2分音符で伸ばすという、リズム的には全く同形の3個のフレーズで完結しています。音域としては、1オクターブより少し広めで無理なく構成され、また同音が続くスキップも多用されて、スキップのリズムのみでの構成ですが、いたずらに高揚感や動きの激しさを狙うものではなく、むしろウキウキとした中にも、落ち着いた物語の展開を感じさせます。1個目のフレーズは、低い主音から始まり中低音を推移し、2個目のフレーズでは13個の音符の始めの4個と続く6個はそれぞれ同じ音で、全部で4つの中音域の音だけでできています。3個目のフレーズは、初めて出てくる高い主音から始まり、低い主音で終わります。1番から5番まで、こぐまが、山の小川で、魚を探している情景を、優しく描いた歌詞を、まさに絵本を読み聞かせるように歌うことが、意外に難しく、もっとも大切です。([E:#x266D]Ξ)

リズミックなテンポからレガートに歌う箇所が出てくる発声のためのトレーニングにはいい教材です。付点のリズムをリズミックに跳ねたり、逆に長めに歌ったりと、歌い手によって変化が起きやすい曲かなと思います。
レーニングのための教材として扱うなら跳ねる部分よりもレガートな部分。ロングトーンの部分でしっかりと声を維持して支えられることをメインに練習なさるとよいでしょう。また、跳ねすぎても日本語のニュアンスや発音が聴き取り辛くなることもあるのでちょっとしたセンスが問われる曲でもありますね。5番までありますから、同じように歌うと聞いている人も飽きてきますので長さやニュアンスを変えて飽きさせない曲の作り方を考える必要があります。
上級者の方はこのような考えで取り組んでもいい曲ですね。初心者の方はしっかりと声をだすこと。跳ねても体でしっかりと音が跳ねるようトレーニングしましょう。([E:#x266D]Σ)

幼少期に幼児番組で聴いたり、幼稚園などで歌った経験のある人もいるのではないでしょうか。内容としては、降った雨が小川のようになり、そこに魚がいないかとのぞくクマの子供の様子が描かれており、非常に穏やかな情景が歌詞になっていると思います。旋律もシンプルで音域も広くないので、初心者の方の練習曲として用いるのにもいいのではないでしょうか。優しい気持ちで歌うように心がけると、内容に沿った表現で歌うことができるのではないかと思います。同じ旋律を用いながら、5番までお話が展開していくので、ひとつひとつ情景描写を丁寧に行うことを心がけながら歌うことが大事になると思います。音楽的・発声的な面では、できるだけ滑らかに穏やかに歌うことを大事にし、表現としては、何がどうなっているかということを説明するような状態で歌えると、声と表現が融合し、子供っぽくなく、大人としてこのような曲を、まるで絵本の朗読をしているような穏やかさで歌うことができるようになると思います。そういう意味では、初心者から上級者まで使える練習曲になるかもしれませんね。([E:#x266D]Я)

曲の内容としては、非常に純粋無垢で、「くまのこ」は人間の子供であるかのようにも思えます。まずは詩だけを読んでみると、様々な情景が思い浮かぶと思います。また、何度か詩だけを読む練習をしていくと、後に歌うときに歌いやすくなると思います。音楽を見てみると、リズムは付点八分音符と十六分音符のリズムが多用されていますが、この付点のリズムを跳ねすぎてしまうと、詩の内容とマッチしなくなってしまうと思います。それぞれの音符を十分保って歌う事を心がけましょう。
4小節でひとまとまりになっていますので、それぞれのまとまりをたっぷり歌う事を心がけるとよいでしょう。例えば、「おーやまーに あーめが ふーりまーしたー」の部分は、最初の「おやま」から僅かにクレッシェンドをかけるようなつもりで歌う事によって、音楽の推進力を失わなくなると思います。その後の「あーとから あーとから ふってきてー」も、徐々に膨らませるように歌うと良いでしょう。特に、「あとから」は二度出てきますので、一度目との差が表現として表れるようにしましょう。以後は、伴奏譜にクレッシェンドが書かれていることと、mf(メゾ・フォルテ)が書かれているので、それにしたがって歌うように心がけましょう。([E:#x266D]Я)