「うれしいひなまつり」068

とても有名な雛祭りの歌です。「リンゴの唄」や数々の童謡の作詞でも知られる、サトウハチローの作詞ですが、雛人形に関する間違った記述などで、ご本人は晩年まで嫌っていたそうです。
曲は、国民学派に傾倒していた河村光陽のおかげで、とても日本的な音楽になっています。特に、メロディはほとんど8分音符で構成されていて、子供にも口ずさみやすくなっているのに対して、伴奏部分は、リズムも音もとても日本調な作りになっていて、これまでずっと歌い継がれてきた理由の大きな部分を占めているでしょう。
子供が口ずさむのには容易な8分音符の羅列ですが、大人が人前で歌うのには、とても難しい8分音符の羅列です。
いろいろな部分で声に気を付けて歌わないと、あらぬところで声が響いたり、部分的に声が聞こえ難くて歌詞が判りづらくなったりしてしまいます。耳をしっかり使って、声の粒が不揃いになりやすい部分を、きれいに修正して、日本の伝統的な音の進行を、うまく活かすように歌いましょう。([E:#x266D]Ξ)

シンプルすぎて、リズムが複雑な現在の曲に慣れ親しんでいる人には難しい曲になると思います。レガートの訓練としてもとても適した曲です。
音の起伏は激しくありませんので勢いで歌うことも難しいです。4小節で一つのフレーズと捉えて大きなメロディのかたまりと思って歌っていきましょう。子音を立てすぎると子供っぽくなりますので子音と母音のバランスを考えることも重要になってきます。
中音域から低音域のバランスをとるのにはいい曲です。女性にはちょうど声のチェンジの位置が多いので難しい音域の曲だと思いますが中低音のトレーニングとして扱ってみてもいいでしょう。
持っている声がとても高いひとは音域そのものを上げてもいいと思います。自分の弱点を訓練するためにメニュとして加えてみてください。この手の曲は歌い方次第で子供歌にも、大人っぽい曲にも変化しますので色々なやり方でトレーニングしてみるのもいいかと思います。
([E:#x266D]Σ)

この曲は、子供のころに歌った経験のある方も多く、また、ひなまつりの時期になるとよく耳にすることが多いのではないかと思います。曲の平均的な音域の高さが、五線譜の真ん中よりも下であり、全体的に音域が低めに感じられます。強弱記号はmp(メゾ・ピアノ)およびmf(メゾ・フォルテ)であり、曲調や詞の内容からも、それほど大きなダイナミクスは必要としていません。がんばり過ぎないようにしましょう。
4小節をひとまとまりとして、最初の4小節は、2小節目のドの音だけが高く感じられるかもしれませんが、その音だけを特別扱いせず、4小節のまとまりを感じながら歌うようにしましょう。
「おはなを~」からの4小節間は、相対的に、この曲では低い部分なので、がんばり過ぎない、大げさにしゃべり過ぎないという点を特に心がけて、しっとり歌うことを心がけるといいと思います。
「ごーにんばやしの~」の部分の4小節は、この曲で唯一mfの記号が書かれている部分です。また、この曲で最も音域が高い部分になります。たっぷり朗々と歌うことを心がけましょう。最後の4小節は、結論の部分のように、しっとりとしながらも、ポジティブな気持ちで歌うといいでしょう。([E:#x266D]Я)