「いつも何度でも」066

アカデミー賞にも輝いた宮崎駿アニメ「千と千尋の神隠し」の主題歌です。かなりヒットした曲ですが、なかなか歌いにくく難しい曲です。作曲者みずから竪琴を弾きながら歌ってヒットしたことも、その要因のひとつです。楽譜は6/8拍子で書かれていて、一部分に3/8拍子が出てきますが、全く難しそうには見えません。ただ、曲頭に「Allegretto espressivo(やや早めに、感情を込めて)」とあり、テンポも、付点4分音符が約44(8分音符が約132)と、細かい音符が上下することも少なくないこの曲では、やや速めに設定されています。そして本当の難しさは、拍節が楽譜通りではないことです。曲頭の2小節目と3小節目の部分(12拍分)で、歌い出しの部分が6/8拍子の6拍目から始まり、6/8拍子の1小節が続いていますが、実際には、5/8拍子のイントロの後に4/8拍子のメロディが続き、3/8拍子が続いて(合計12拍分)、通常の6/8拍子につながっていくと感じると、違和感なく歌うことができます。このように、曲は6/8拍子で統一されて書かれていますが、作曲者の意図は、歌詞との絡みもあり、実際には複合拍子や変拍子になっている部分が混在しているため、特にリズム感のよい人にはとても歌いにくく感じられます。小節線を気にせず、グレゴリオ聖歌のように、横の流れのリズムだけを追うようにしていくと、日本語の流れにも助けられて、レガートにこの曲のよさを、歌うことができるでしょう。([E:#x266D]Ξ)

難しい曲ですね。音程の上下が激しい曲なので歌う箇所の持っている音域で難しさのレベルが変わりそうです。一般的な女性の音域だと、頭声と胸声の音域をいったりきたりするので音色が色々に出てきそうで、うまくコントロールしないと難しいかもしれません。
もしくは全て頭声で歌うか、全て胸声で歌うかでも乗り切れるひとはいるかもしれませんね。曲の雰囲気や原曲の歌手のイメージからいくと頭声の方がのりきりやすいのかもしれませんが、ボイストレーニングの教材として使用するなら頭声と胸声の移行のバランスをとるようなトレーニングとして扱っていけるといいかなと思います。
木村弓さんの声のイメージを一度外して、自分の声でトレーニングすることをお勧めします。もし、トレーニングとしてうまくいかないときはもっと難易度の低い曲をしっかりとトレーニングしてから再チャレンジしてもいいと思います。女声の声には難しい曲です。([E:#x266D]Σ)

この曲を細かく見てみると、拍子が8分の6拍子が大部分を占めています。しかしながら、トリッキーなことに言葉のアクセントと8分の6拍子の強拍が必ずしも一致しません。そのため、音楽の雰囲気にのせて歌おうと思うと、日本語のアクセントが崩れ、聞いている側にわかりにくくなります。また、ブレスのタイミングもつかみにくくなってしまうと思います。
この場合、歌詞の内容をしっかり把握して、どちらかというと、朗読に近いイメージで歌われるとまとまりとして良くなると思います。ブレスのタイミングは、文脈を途切れさせない部分で吸うことを心がけたいですね。拍感としては、8分の6拍子を大きな2拍子ととらえて歌うと歌いやすくなると思います。また、この曲は「ウ」母音が多く出てくるので、浅くならない「ウ」を用いて歌う練習にしていくと良いと思います。そういう意味では、ちゃんと歌おうと思うと少し難しい曲かもしれません。([E:#x266D]Я)

この曲は単調な伴奏の上に旋律がかかれていますが、この旋律は、歌詞の日本語のイントネーションと違う部分にアクセントが来るように書かれています。8分の6拍子なので、1拍目と4拍目にアクセントがつきやすいのですが、歌詞をみると、例えば、冒頭の「よんでいる むねの どこか おくで」の部分では、「で」、「ね」、「こ」、「で」にアクセントがつきやすくなります。この部分にアクセントをつけすぎてしまうと、日本語のニュアンスが崩れてしまうので、何度か歌詞を読む練習をするとよいでしょう。そういう意味では、この曲は非常に難しい曲といえると思います。中間の8分の3拍子を挟んでから8分の6拍子になった部分では、比較的日本語のニュアンスが出しやすいと思いますが、冒頭部分はほぼ、アクセントと無縁に書かれていますので、注意して歌うようにしましょう。日本語のニュアンスが伝わらないと、聞いているお客さんは、何を歌っているかわからなくなってしまいます。歌い手がしっかり理解して歌うように心がけましょう。([E:#x266D]Я)