A.コンコーネは練習曲なので、歌いやすさ、親しみやすさとは、真逆のメロディーやフレーズになっていることが少なくありません。これは3拍子のゆったりと歌う曲です。
全部で32小節ですが、24小節で休符にフェルマータが付き、一区切りした後に8小節が続いて、曲は終わります。
冒頭の小節は、1拍目から始まりますが、次の小節からは、3拍目から始まる小節が続きます。始め2小節は、順次進行で、スラーもついているので、レガートに美しく歌いましょう。
3小節目は、6度の跳躍もあり、レガートもついていないので、音程が甘くならないように気をつけます。4小節目は、第3音に臨時記号がついているので、短調感をしっかり出しながら、スラー通りに、レガートにします。ここでメロディとしては、一区切りつきます。
続く5小節目では、第3音の臨時記号が、ナチュラルに戻っているので、長調感をしっかり出すことを大切に、スラーもなく、6度の跳躍と7度の跳躍があるので、いきいきと歌いましょう。
さらに6つ目の小節も、7度の跳躍から始まり6度の跳躍もあるので、いきいきと続けます。この、5、6小節には、アクセント記号が同じ部分に付いているので、うまくいかさないといけません。続く7、8小節は、ほぼロングトーンの7小節目に、8分音符の多い8小節目がつながっているので、8小節目を出遅れないように、気をつけます。
この曲はヘ長調で書かれていますが、ここからフェルマータまでの小節は、ハ長調として歌うのが、簡単です。フェルマータの後は、冒頭と同じ小節で始まりますが、締めくくりの小節は、スラーと休符の位置に気をつけて、慎重に練習しましょう。(♭Ξ)
A.8番の延長上の訓練です。Lentoと表記してありますので決して早くならずレガートを意識してください。伴奏が常に動いていますので伴奏を感じながら歌うと歌いやすくなると思います。
4小節から5小節にかけての下降形の響きを落とさずに歌うわないと次のドへの跳躍で段差がついてしまいます。
10小節1拍の跳躍、12小節1拍の跳躍は低い音を出しているとき既に次の高い音へ向かっているつもりで出しましょう。
16小節の#ファは伴奏がないので丁寧に歌いましょう。
22小節の下降形はラとファの音が2回ずつ繋がるので2回目を上から取り直すつもりで歌いましょう。
28小節3拍目~29小節にかけては跳ねすぎずレガートで歌えるよう心がけましょう。(♭Σ)
A.しっかりと横隔膜で支えた上で、曲全体をレガートで歌うことを求めて練習したいです。
特に10小節目の高いレは、飛躍した音で8分音符と短く、さらにアクセントがついています。その音だけを意識し過ぎて喉で押してしまわないように、その直前のミの音で横隔膜が緩まないようしっかり支えておくことが必要です。12小節目の高いレも同じです。
音域はドから1オクターヴ高いミ(又はファ)までの幅で、8番までと比べて頻繁に旋律が上がったり下がったりしています。横隔膜を保つことは、このような旋律でもポジションがあちこちに行かず安定させる役割にもなります。
18、20小節目は、ブレスが()カッコで記されていますが、始めは無理をせずにブレスを入れて練習しましょう。なお、ブレスなしで歌う際には、17小節目のデクレッシェンドで横隔膜が緩みやすいのでしっかりとした支えを意識することです。(♯α)
A.速度的にはLentoで強弱的にはpで書かれています。緩やかな速さで、乱雑にならずに丁寧に歌うことを心がけてみてはいかがでしょうか。
pと書いてあると、つい「弱く」ということを思いがちですが、声が弱々しくなってしまうだけでは練習にならなくなってしまうので、弱くというよりは丁寧なイメージを持つといいと思います。イメージがつきにくい場合、慣れるまでは、程よいボリュームで、フレーズのまとまりを感じながら歌っていくといいのではないかと思います。
ある程度慣れてきて、楽譜通りに歌うことに対応できる場合は、書かれているクレッシェンドやデクレッシェンドを丁寧に再現してみるといい練習になると思います。これらのコントロールは体も集中力もとても必要とされますが、声を自在にコントロールできるようになるための練習としてはとても役立つと思います。
音を正確に歌うことはとても重要なことですが、必要以上に狙わないことや、音を当てに行かないことなども重要な課題だと思います。音の跳躍部分で、狙ったり当てに行ったりして、声も音楽も違和感のある状態になってしまう場合は、注意が必要です。楽譜に書かれている内容で、それを正確に再現できるようにすることを基本として、書かれていない歪な音楽にならないように注意しながら歌うようにしてみましょう。(♭Я)
A.8分の9拍子で、ゆったりとしたテンポで歌いましょう。しかしゆっくり歌いすぎると息もつらくなるので、8分音符3つで1拍と捉えるといいでしょう。
曲の構成としては、最初の4小節でテーマを提示し、次の4小節で転調しながら受けています。
9~12小節と13~16小節もメロディが対になっています。17~24小節まではそれまでFdurだったのが5度上のCdurに転調しています。18~20小節は冒頭の再現として現れますが、最後の4小節で結びとなります。
クレッシェンドとデクレッシェンドが全体に何度も出てきます。音楽を小さい範囲でとらえると、フレージングがつけづらいので、このクレッシェンド・デクレッシェンドを利用しながら大きくフレーズをとらえましょう。
3連符のようなリズムになっている8分音符の連なりは音程が正確になるよう心がけましょう。
17小節のアウフタクトからCdurに移行しますが、このアウフタクトは音量は小さくともしっかり体で支えて、次の上向するメロディに備えてください。上向した一番高い音で音を支えるのをやめてしまう人がいますが、次の8分休符まで歌うつもりで支えをやめないように気をつけましょう。(♯β)
A.うめくような低い伴奏から始まります。Lento(遅く)の指示がありますが、8分の9拍子なので遅すぎないようにしましょう。
一般に分母が8の場合、一小節を一つの単位と感じられるようなテンポ設定をする必要があります。練習として、速めのテンポで歌ってみてください。1小節を1拍と感じ、2小節を1拍と感じ、4小節を1拍と感じられるように練習します。
遅めの曲はこうやってテンポを速めて練習しておくと、構成が聞き手に分かりやすくなります。いずれにしても、伴奏の8分音符がきちんと話せるようなテンポを設定するといいでしょう。
形式は3部形式(ABA)で、Aがはじめの8小節、Bがその次の16小節、Aが最後の8小節です。
新しく曲を見るときは、頭から追っていくのではなく、ざっと楽譜を眺めて、どことどこが同じか、変なところはどこか、大きいところから見ていきます。
そうやって見ると初めに気が付くのは、Aに戻るところのフェルマータです。絶妙によいタイミングにしないと間延びしてしまいます。Bの部分(中間部)に特徴があります。Bの頭、フレーズがアウフタクトから始まるものが続きます。どんどん畳みかけて盛り上がっていくように。また小節をまたぐときに仕切り直さないようにしましょう、フレーズの頭がアウフタクトなのですから。Bの後半八小節、伴奏がスカスカですが、遅くならないように。あまり意味を持たせないように演奏してください。一般に中間部で初めて出てくるテーマには意味を持たせすぎないのがいい演奏のコツです。
この曲の頂点はB最後の2小節、その低い音です。なんと盛り上げの難しいこと!少なくともテンションを落とさずに。(音高が高くなると盛り上がり、低くなると盛り下がることは、最も嫌われることです。)(♭∴) [2007]