Q. コンコーネ50の3番の歌い方について教えてください。

A.1番と2番は、ともにModeratoですが、3番はAndante conmotoです。テンポは遅くなりますが、ダラダラしないで活き活きと歌いましょう。1番は24小節、2番は28小節ですが、3番は41小節といきなり1.5倍近く長くなっています。テンポが遅くなったことを加味すると、ゆうに2倍以上の長さになります。(1番は1分あまり、2番は1分半足らず、3番は3分足らずです。)

遅くなったテンポのために、さらにブレスが大変になります。つまりこの曲は、支えや呼吸のコントロールがしっかりしていないと、ただ苦しいだけで終わってしまうということです。本来は、そのあたりをある程度クリアしてから、取り組むナンバーです。

曲としては解りやすい構成になっていて、表情記号を適度に守って(ディミヌエンド以外)歌い進めていけば、なかなかの大曲を歌いこむ気分も味わえ、いろいろな工夫をする余地も残されています。そういう意味では、やりがいのある一曲です。(♭Ξ)

 

A.2小節3拍目のドの音が生の音、開き過ぎた詰まった声にならないよう気をつけましょう。例えばオの母音で訓練する場合、ウに近くしたり、アの母音で訓練する場合はオに近くしてみると効果的でしょう。

4小節3拍目のソの音が響きから落ちすぎないよう気をつけましょう。1拍目のドよりも音量を落とすと丁寧に聞こえます。

11小節~12小節にかけてのドの3連続は一つ一つ歌いなおすつもりで丁寧に歌ってあげたほうがよいでしょう。

25小節のミの音は前後の高いミの音と同様な高い響きになるよう気をつけてください。

30小節4拍目~32小節にかけての下降形、38小節の下降形は声が落ちすぎないよう高い響きを意識してください。(♭Σ)

 

A.曲中に様々な幅の“音の飛躍”が多く含まれています。“音が飛躍するのにデクレッシェンド”という箇所もいくつかあります。「飛躍する音の捉え方」について集中的に練習することができます。音が飛躍するときは、次の音を歌う少し前に「お腹の支え」を今一度踏ん張ってあげる(または支え直してあげる)ことで、体が先に次の音を歌う体勢になれるので、唐突ではなく“ほんの少しゆとりをもって”次の音を捉えるようになります。そうすることで、音が飛躍しても(どんな音の幅でも)フレーズがつながってくるでしょう。

例えば最初の2小節目で「ソド」と4度の飛躍があります。テンポがきたら唐突に「ド」を歌うのではなく、「ソ」をのばして「ド」に飛躍する少し前にお腹を支え直します。(これをしっかり歌うには、まず「ミファソ」で息を使い過ぎてしまわないように、一音目からしっかり「お腹の支え」をつけて歌い出すことも必要です。)

1オクターブの飛躍を歌うときにも助けになります。同じ音型を繰り返すとき、隣り合った音でどちらも高音のときなど、さまざまな場面で応用できます。(♯α)

 

A.全体的な曲の構成で特徴的なのは、音の順次進行が比較的多いこと、同じ音が続くことが多いこと、順次進行の中で時々跳躍があること、スラーで書かれている部分が目立つこと、<>(クレッシェンド ディミヌエンド)が比較的多いことです。

歌い方としては、できる限りレガートに歌うことを全体にわたって心がけると、テクニック的にもよい勉強になるのではないかと思います。特に音の跳躍があるような部分では、レガートに歌うことが難しいと思いますが、音を点でとらえ過ぎず、フレーズに中で処理できるとやりやすくなると思います。ので、少し俯瞰してみてください。

同じ音の連続や<>(クレッシェンド ディミヌエンド)のコントロールは、とてもテクニックを要します。基本的には、声を押し出し過ぎないことと、レガートに歌うことが大切になってきますので、この点を大事にするとよいと思います。

練習するときは、母音唱法で、オやウを用いるとよいと思います。ウは特に難しいですが、レガートに歌うことや、高音域の処理のためには有効でしょう。(♭Я)

 

A.フレーズの構成を見ると、2段ずつ、つまり、8小節ずつのまとまりになっています。もっと大きく見ると、2段、4段、2段というまとまりです。そのように音楽をまとめていくとよいと思います。

ほぼ2部音符ですが、伴奏は8分音符の刻みなので、このリズムに乗って歌うと歌いやすいと思います。

最初の「ミファソド」の最高音「ド」にディミニエンドがついていますが、息を自分の中に引き込まずにむしろ吐いて、次のフレーズに気持ちをつなげていくように歌うといいでしょう。そうすると4小節まとまりがでます。5、6小節目のアクセントは止めたり固めたりするのではなく、息を流しながら音楽の流れを止めずに大きく出してみてください。3~4段目は4段目の頭に向かって進んでいくように音楽に勢いをつけてみましょう。

5段目からは音が順次、上行していきますので、クレッシェンドするつもりで歌います。6~7段目でオクターブいったりきたりしますので、上の「ミ」にいたまま、下の「ミ」を捉えるようにすると歌いやすいです。

最後の2段はコーダとして終わりに向かっていく音楽のまとめです。最初の小節でしっかり息を流しながらクレッシェンド、デクレッシェンドして音を動かしてください。(♯β)

 

A.Andante con motoで速いcon moto なので動きがあって、そのため5、6小節目のアクセントを利用したいところです。

構成は3部形式でABA’です。Aははじめの16小節、Bはその次の16小節、A'は最後の9小節です。Aは8小節ごとの2つのフレーズにわけることができます。この2つのフレーズは大体同じものです。Bも8小節ごとの2つのフレーズにわけることができますが、この2つのフレーズはどちらもAのフレーズと似ていません。A'の8小節はAのフレーズと同じものとみなすことができます。以上からこの楽曲を8小節ごとに分けるとa a’ b c a’’となるでしょう。

この楽曲の構成上のポイントは、割と転調している部分が少ないことで、転調しているのは唯一Cの初めの4小節間が平行調であるイ短調に転調しているだけです。そこを強調して歌いつつ、この曲の最大の山場であるCの6小節目に突入しましょう。

この曲はドミソが鳴っている時間が多く、全41小節のうちでドミソの和音が鳴るか、低音がドである小節はなんと24小節、半分以上です。(♭∴)

 

A.2小節でクレッシェンド、デクレシェンドが書かれているので、2小節単位で歌ってしまいがちですが、もっと大きく4小節単位で考えましょう。音楽は8小節単位で捉えると見えてきます。8小節の前半4小節が問い、後半4小節が答え、といったふうに対になっています。

書かれている強弱は細やかなフレーズの作り方の指示ですので、これは後にとっておいて、曲全体の大まかなメリハリを作りましょう。

基本は、前半4小節で盛り上げ、後半4小節でクールダウン、これの繰り返しです。21小節目のみはクールダウンせずにさらに高まり、その後8小節使って緩やかに鎮静化するように書かれています。

最後に、細かな強弱に目を向けましょう。2小節目にあるような、上方に跳躍しながらのデクレシェンドには技術が必要です。

こういうのがサラッとできればプロです。ですので、できなくても落ち込まないで、何度でも練習してみて下さい。もし難しすぎるようでしたら、敢えて無視してクレッシェンドにしてもいいでしょう。一旦離れて、数か月後、数年後にもう一度歌ってみると、難なくできるようになっていたりするものです。

小さくするからといって、息を引っ込めないようにするのが大切なポイントです。(♯∂)                                [1907]