Q.カーロミオベンの歌い方について教えてください。

A.冒頭はpから始まっていますが、低い音ではないので、弱くし過ぎると歌いにくくなります。恋人に歌いかける歌詞なので、やさしくていねいに歌いかける気持ちを忘れなければ、mfでもだいじょうぶでしょう。また、もしpで歌い始められたとしたら、下降音型が続きますが、すなおにデクレシェンドしてしまうと、これもまた窮屈な歌になってしまいます。自由にダイナミクスを動かしてよいでしょう。14小節目から始まるフレーズは、アッチェルランド(ややテンポアップ)して、逸る気持ちを表現してみるのもよいでしょう。
それに続く16小節目のfは、しっかりと準備をしておかないと、fまでもっていくのがなかなかむずかしいですが、勢いあまってffにはならないように気をつけたほうがよいでしょう。
20小節目のfとrit.から21小節目のport.とpppのa tempoは、この曲の中でもっとも表現し甲斐のある部分かもしれません。
25小節目と26小節目の装飾音(前騨音)は、つい軽視しがちですが、きちんと表現に結びつけられるとよいでしょう。
28小節目のfとフェルマータとデクレシェンドは、この表記に忠実に歌うのは、高声域の得意なソプラノやテノールにとっては、かなり生理的に辛いものです。3拍目の音に、fとフェルマータとデクレシェンドを丸ごとずらして歌うのも、よいのではないかと思います。(♭Ξ)

A.この歌はよく音大生や声楽を始めて間もない方が歌うことが多いですが、丁寧に歌おうと思うと、とても難しい曲です。
まず出だし「Caro」は♭E(高声用ではF)から始まりますがこの音はちょうど各声部のパッサッジョの位置から始まるので出し辛いものです。またアの母音というのも出し辛くさせている要因の一つでしょう。パッサッジョでのアの母音というのはとても難しい音なのです。この歌は一つ一つ言い出すときりが無いくらい大変な歌なのであまり細かくは書けませんが重要ポイントとして、この歌は本来ピアノ伴奏の歌ではないということです。
本来は弦楽四重奏と独唱のための曲であり弦楽器4本と同等の声でなければいけないのですからあまり強弱記号にとらわれすぎて小さく歌いすぎてはいけません。
特に「tanto rigor」のフレーズの長いピアニッシモでは初心者はあまりピアニッシモは考えすぎず自分の一番出しやすい声で出してください。上級者はそこを響きのみでピアニッシモにするのですが初心者は声を奥に引っ込めてしてしまったり喉を詰めたりする可能性が高いので自分の出しやすい声でだしていきましょう。
また本来は「カーロ ミーオ」なのでミオと短く切りすぎないようにして母音をのしっかり歌ってください。(♭Σ)

A.レガートに歌うことが基本です。歌詞は、とても情熱的ですが、決して自己陶酔にならないように、気持ち、速めに歌うことをおすすめします。最初の、Caがとても難しいですが、舌の奥と軟口蓋を使って、はっきりとCaと言ってみるとよいと思います。最初から高音ですが、おへそより10センチ下の、丹田を意識して、支えのある声で歌いましょう。
次第に、音型は下がりますが、気持ちは、高揚するように歌います。senza di te languiscie il corの部分は音の跳躍があります。喉で歌わないで、支えでもって、レガートに歌います。そこまで、単調だった伴奏がここから、刻み始め心のざわつきのような表現になっています。平常心を失うような、気持ちの高まりです。Cessa crudel tanto rigor に向かって歌いましょう。
そしてポルタメント。ここが、一番大事なところですので、あわてずに、気持ちを表現してみてください。pppになっていますが、弱弱しくならないよう、気持ちの高まりが、pppになっていると、思って、柔らかいイメージで歌うとよいと思います。
またcaro mio ben。最初とまったく同じ音型、ことばですが、より、感情をこめて歌ってみてください。そして、最後に向かっていきますが、最後のフェルマータがマックスになるように、最初は、p、次はmfと、だんだんに、近づいてくるようなイメージで歌うとよいと思います。そして最後は、華やかに、堂々と盛り上がって歌いきってください。(♯Ω)

 

A.有名な曲で、かつ単純なメロディーだけに大変難しい曲です。
歌う時に一番大切なところは、メロディーを流れるように歌うことです。いわゆるレガート唱法です。イタリア歌曲に関わらずどの曲にも必要なことですが、特にイタリア歌曲においては最も重要なところです。イタリア語で歌うときは、ご自分が思う以上に母音を長く繋げて歌いましょう。最初は、歌詞を子音を抜いて母音だけで歌う練習もよいです。
〔例えば、Caro mio ben(カーロ ミオ ベン)を、アーオ イオ エン というような形で。〕 そして、それが滑らかにうたえるようになったら、子音を少しずつ混ぜていきましょう。 
曲想としては、起承転結が非常にはっきりしている曲なので、そこをメリハリをつけて歌いましょう。細かくいうと、中間部のところからメロディーが上行していきますので、それに伴ってダイナミクスをつけていきます。クレッシェンドをするときに気をつけることは、最初の音の大きさです。メゾフォルテくらいからクレッシェンドをかけると、どうしてもフォルテにいくまでの差が少ししかなく強弱の差がなくなります。クレッシェンドをかけるときは、メゾピアノかピアノまで音量を下げてからにしましょう。
(♯Δ)

 

A.高音からの出だしですので、喉を詰めないように気をつけましょう。そのためにはブレスのタイミングも重要になってくると思います。ブレスから歌は始まっています。ブレスをしながら“caro”をイメージし、高いポジションを作っておくとよいでしょう。
そして、この曲では繰り返し下降音型が登場します。音型と一緒にポジションが落ちてしまわないように、下降音型は上昇していくようなイメージで歌います。Larghettoでゆったりと歌うのですが、音楽や声が停滞してしまうことのないように、常に次のフレーズを意識しながら歌いましょう。
特に前半や再現部は伴奏の動きもゆったりしていますので歌でテンポを引っ張っていくとよいと思います。中盤(il tuo fedel~)から伴奏の動きが出てくるのに伴って、少し前に前に音楽を持っていきます。最後8小節目から登場する装飾音符は息の動きで処理します。うまく回せないうちはHを入れて練習してください。あくまでも3拍目に(中声用でしたら)ドの音がはまるように。最後は伴奏の盛り上がりに繋がるように、あまり収めすぎない方がよいでしょう。
どの楽曲にもいえることですが、歌詞をスムーズに読めるようにしておくこと。単語のアクセントも大切ですが、フレーズの中でのアクセントを大切にしてください。(♯Λ)

 

A.発声の観点からみた場合ですが、イタリア語を美しく発音しながらも、フレーズが途切れ途切れにならないようにしたいです。そのために、イタリア語を知っているか知らないかに関係なく、まず歌詞の母音部分だけで歌う練習をすることをお勧めします。音程、リズムに合わせながら母音で歌い、そのときの感覚を身体に慣れさせます。その後で子音を入れて、本来の歌詞で歌ってみます。このときに、子音が入ったことで全く別ものになってしまわずに、母音部分だけで歌ったときの感覚に近い状態(歌う体勢、母音を発音したときの口の状態など)で歌うことを心がけます。ようするに子音に惑わされないようにします。特に音の高低に幅がある箇所(~di te languisce il cor)や中間部フレーズの上行形(il tuo
fedelから4小節)などは、発音するのに必死で母音の口が狭くなり喉が上がってしまいがちなので、母音の口を開ける、母音を長めに歌ってみるなど、母音の状態に注目してみてください。(♯α)

 

A.高い音から始まり、まず前奏を聞きながら、力を抜き、歌い出しの音の準備をします。歌い出しのフレーズは音が下行形になっています。こういう場合、そのまま歌っていくと、音がさがってしまいがちなのて、実際の音は下行していますが、音が上行していると考え、フレーズを歌うと音程がしっかりとれます。Il tuo のフレーズは音が上行しているので、反対に音が下行していると考えます。そうすると、一番高いCessaが楽に出ます。最後の装飾音符はあわてず、丁寧に歌いましょう。(♯γ)

 

A.まずイタリア語を何度も読みましょう!スラスラとことばがひっかりなく出てくるようになったら、さらに高めの声(力まず出るところで、できたら裏声でも)でアクセントも意識して読みます。
この練習をしてから音をつけて歌います。
カーロミーオベン、前半は下降していく音階が続きます。このときに音が下がるとおもわず、ずっと出だしの音と同じ音を歌っているつもりで響きを保ちます。わからなくなったら、また歌詞を読みましょう。フレーズの最高音で読んで見るのもよいでしょう。
後半にはいってからもフレーズの最高音、もしできたらそれ以上の音をいつでも出せることを想定して歌います。特に最後のsenza di teのEsに上がるところなど、上がった音で準備しておかないとかなり苦しいことになってしまいます。(♯Ж)

A.全体としては常にレガートで母音が繋がるように心がける。
歌いだしが高い音なのでずりあげ無いように注意します。「caro」の「c」の子音にも音程があると意識するとよい。前半は高い音から低い音へ下降していくメロディーだが、低い音で弱くならないように、次第にクレッシェンドしていくような気持ちで歌う。クレッシェンドするには通常よりも多くの息を吐くようにし、さらに響きの部分を高くするようにする。
中盤は盛り上がりに乗るとともに詩の意味を感じながらしゃべるように歌う。フレーズごとに音楽の流れが止まらないように気をつけること。最後の高音「senza di te」でのピアニッシモはできる範囲でやるようにし無理はしない、場合によってはフォルテで決めるパターンもある。曲終わりのロングトーンは途中で息がなくならないようにしっかり準備しておくこと。「cor」の「r」は出切れば巻き舌で終われるとよりよいでしょう。 (♭Ш)