「われは海の子」058

1910年(明治43年)に発表された曲で歌詞の中には現在あまり使われていない単語や言葉遣いが入っているが、七五調の詩で作られ、“ターン・タ・タン・タン”と、“タン・タン・ターン・タ・ターン”で構成されているメロディーはとてもリズミカルで明るい性格で、メロディーもほとんど音が跳躍していないので歌いやすいです。よく歌われる3番までは海辺の子どもたちを表しているので明るくリズミカルに歌いましょう。
“ターン・タ・タン・タン”は船をこぐような感じで歌うと歌いやすいです。歌い始めmfの「われは」の“わ”は最初から口を大きく開けて<ワ>ではなく<ゥワ>と言うつもりで発音するときれいに聞こえます。「さわぐ~松原に」はクレッシェンド・ディクレッシェンドして真ん中を膨らませ、「煙たなびく~」mpからだんだん大きくいき、「我がなつかしき」をfでしっかり歌い、次はmfからディクレッシェンドし、少し静かに終わります。([E:#x266F]μ)

この曲で連想できることは、「日本の夏」「勇ましさ」です。1節16小節で構成されていますが、その内12小節が「付点四分音符+八分音符+四分音符+四分音符 または 四分音符+四分音符+付点八分音符+八分音符」というリズムで構成されています。その事からもこの曲の勇ましさを感じることができます。
ただし、勇ましさを感じすぎて「わー、れ、は、うー、み、の、こ、しー、ら、な、み、のー」とぶつ切りに歌ってしまっては、元も子もありません。4小節毎にレガートで繋げて歌うように気を付けましょう。
まずは自分の好きな母音(アなど)で1節16小節を歌い切ります。コンコーネという教則本の様にです。この曲全体のフレーズ感を感じ取ることができます。
次は、各々の言葉を母音で繋げます。「わーれは うーみのこ」を「あーえあ うーいおお」という感じです。楽譜の余白やノート等に「wa-re-wa u-mi-no-ko」と表記してみると母音が見えやすく、わかりやすいです。母音唱で繋がる感じがつかめたら、子音を付けて楽譜通りに歌います。
また、楽譜の歌詞は平仮名のみで表記されているため、楽譜の余白やノート等に「われは海の子白波の」と表記し、語感や言葉の切れ、助詞を認識することも大事です。そして強弱記号を意識し、各々の節の11小節目から14小節目に掛けて1番盛り上がるように気を付けます(1番ですと、「とまやーこそー わーがなつかーしき」の部分です)。
このように、レガートで繋げることを意識して、この曲の勇ましさを表現してみましょう。([E:#x266D]й)