「ずいずいずっころばし」084

日本に古くから伝わるというわらべうたです。子供の頃の手遊び歌としても歌われているためか、この楽譜とは違う歌い方も広まっていて、この楽譜に忠実に歌うと、違和感があるかもしれません。
楽譜の始まりはスキップのリズムになっていますが、ここを8分音符の連続で歌うバージョンも、よく耳にします。ほとんどスキップのリズムを使わないバージョンでは、18小節目と20小節目の「おっとさん」と「おっかさん」の部分だけがスキップのリズムだったりします。すべての音符が、ピョンコ節のようにスキップのリズムで歌われるバージョンも耳にするので、どちらが正解とも言えないのだろうと思います。
ラジオやテレビなどで放送された「ずいずいずっころばし」は、5小節目から7小節目にかけてのメロディーが違うものも繰り返し放送されたようで、そちらの方が正しいようなイメージがあります。フレーズの構成も、4小節、7小節、4小節、2小節、8小節、6小節と、とても不規則に見えますが、日本らしさを体感するのには、よい練習になるでしょう。([E:#x266D]Ξ)

子供の頃この歌で遊んだ人も、意味はほとんど考えずにリズム遊びの感覚でいたと思います。この歌の意味は多種多様にあり、お茶を運ぶ大名行列のような意味から、中国の隋から来ているだとか、性的な意味を含むなどという説もあります。しかし、この歌そのものはあまり難しいことを考えずにしっかりと声をリズミックに歌うことを考えれば形になると思います。
大人がこの歌をリズミックではなく、メロディックに歌うとかなり色っぽい歌になります。全体をレガートに歌うだけでどこか色気を感じる大人の歌に変わります。日本の童謡には似たような傾向がありますが、童謡とよばれる曲が生まれた頃の日本の詩人、作曲家たちが子供たちにどれだけ素敵な曲を残そうとしたか、または音楽と文学が密に関係していたかを感じることができます。
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わらべ歌として、誰もが一度は聞いたり歌ったりという経験のあるのではないかと思います。楽譜を見てみると、自分が聞いたり歌ったりした記憶にある曲と、実際に楽譜に書かれている曲が微妙に違うことが多いことに気が付きました。わらべ歌なので、口伝えの部分があると思いますので、そのような誤差が生じるものなのかと思います。
ここでは、楽譜に書かれているものを基準に話を進めます。基本的にリズミカルに進んでいく曲ですが、あくまでも歌詞が聞き取れることを大事に歌っていくのがいいでしょう。付点八分音符と十六分音符のリズムが多いのですが、過度に跳ねた状態を意識してしまうと、歌詞が聞き取りにくくなってしまうと思います。また、八分音符で書かれているものと、付点八分音符と十六分音符で書かれているものの差を出してみるといいでしょう。音程としては、比較的近い音や同じ音の連続などが多いのがこの曲の特徴だと思います。このような場合、音程が不鮮明になる場合があるので、正確な音程で歌うための練習として、この曲を用いるのもいいかもしれません。特に、同じ音が連続する場合、多くの場合徐々に音程が下がっていく場合が多いですので気を付けましょう。
([E:#x266D]Я)