「スキー」085

戦後日本の著名な作曲家、平井康三郎の作品です。シンプルな4小節単位の構成による曲で、前奏も4小節、歌は4小節単位の4つのフレーズでできています。しかし、このシンプルな型の中から、とても躍動感あふれる曲を創り出しています。4つのフレーズは、みなほとんど同じリズム構成ですが、4つの小節すべてが、違うリズム構成になっています。1小節目の2分音符と4分音符二つに続く、2小節目のシンコペーション、3小節目の頭の1つだけのスキップのリズム、そして付点2分音符のみの4小節目と、とても効果的なリズム構成になっています。また、4つのフレーズは、すべて違う音型になっているのも、見事です。音域は、無理のない幅の設定にもかかわらず、小さな幅の動きと大きな幅の動きをうまく織り交ぜて、こちらも躍動感を盛り上げています。そして、主音がやや高めに設定されていることで、さらに効果が高められています。歌詞は、やや耳慣れない言葉も使われていますが、楽譜に記されているように、アクセント記号に注意し、なるべくレガートになり過ぎないように、はつらつと歌いましょう。([E:#x266D]Ξ)

文部省唱歌となっていますが、平井康三郎先生らしいダイナミックな曲です。歌曲の一種といってもおかしくないクオリティだと思います。この曲は典型的な四分の四拍子の曲ですが、最近のJポップのなれた世代にはどこか歌いづらい曲かもしれません。
第一声から伸ばす音がくるというのは、Jポップではあまり聴きません。この歌と難しい点は、低音が続くフレーズと高音が続くフレーズが交互にくることです。
指導者によって見解がわかれるところですが、喉を下げて開けるために低音でよく顎をおとしそのポジションのままで高音域にいくパターンと鼻腔共鳴などを意識させるために高音域のポジションをキープしたまま低音を歌うというパターンです。どちらにせよ、低音に合わせるか、高音に合わせるかという違いですがこの違いが指導者の違いの一つといっていかもしれません。どちからがいい悪いということではなく、自分にはどちらがしっくりくるのか、または今学ぶべきところなのか考えながらトレーニングするとよいでしょう。([E:#x266D]Σ)

シンプルながらも軽快な音楽が特徴的な曲ですね。この曲の作曲者、平井康三郎氏は「とんぼのめがね」の作曲者としても知られています。また、多くの学校の校歌を作曲しており、余談ではありますが、自分の出身の高校の校歌の作曲者でもありました。
楽譜を見てみると、ところどころアクセントの記号が書かれているのが目立ちます。ですが、アクセントがついているからといって、むやみやたらと強調すると音楽そのものを壊しかねないと思います。作曲者がなぜ、ここにアクセントをつけたのかを考えて歌うことが大事です。この場合、アクセントのついている部分の言葉を、程よく印象付ける意味合いでそれぞれのアクセントをきかせてみてはいかがでしょうか。また、強弱についても、わりと細かく指定されています。特に、「とーぶはこゆーきか」はフォルテでなおかつクレッシェンドが掛けられているかと思えば、「まいたつきーりーかー」の部分で、メゾ・ピアノに一度落としてクレッシェンドを掛けて再びフォルテにもっていくという非常に立体的な構造になっていると思うので、この部分はその差を存分に表現したいところです。基本的にはポジティブな気持ちをもち、このような細かい表現をこころがけていくといいと思います。([E:#x266D]Я)