「サッちゃん」082

「犬のおまわりさん」「おなかのへるうた」などで有名な、大中恩の作曲です。たとえ童謡でも、作曲するときに手は抜かない作者だけあって、安易に取り組むと、トラップが随所に見つかります。まず、3個あるいは3番目を二つに分けて考えると、4個のフレーズで構成されていますが、頭から2小節、4小節、6.5小節、2.5小節と、同じ長さは一つもありません。これは、聞き慣れていると気が付かないかもしれません。
始まりはスキップのリズムが多用されていますが、ピョンコ節ではありません。その証拠に、14小節の歌の中、6小節目以降は、1番の11小節目、2番の9小節目、3番の11小節目以外、スキップのリズムはなく、1~3番のそれぞれの歌詞に、しっかり16分音符などで、見事に歌詞の符割が指示されています。これを考えると、歌の5小節目1拍目は、4分音符1個に歌詞は「ほん」ですが、スキップのリズムにわけずに、拍頭で「ほん」と発音し、日本語にはよくある、「ん」で音を伸ばすのが、よいと思います。
1番の10小節目2拍目は、記譜通り8部音符2個で、うっかりスキップのリズムにならないように、気をつけましょう。2番の12小節目2拍目は、2個目の16部音符に、歌詞が「わい」と入っているので、なかなか難しいですが、しっかり練習しましょう。([E:#x266D]Ξ)

ほとんどの人は一番しか知らないのではないでしょうか。この歌に発声論をもちこむことには是非があると思います。この歌で発声的に大事なものがあるとするならば、いかに力まず歌えるか。言葉をクリアに発音できるかではないでしょうか。そして立派になりすぎないことが重要だと思います。発声を考えすぎるとこの曲の雰囲気はなくなり、意味のわからない歌になるでしょう。
明るい音色を意識して、呼吸も顔が怖くならないようにしてください。呼吸にも色があると思います。ほとんどの表現はブレスから始まりますから、歌詞の内容に合う色のブレスを考えてみてください。腹式呼吸にこだわるとほとんどの人が顔が怖くなり真面目になりすぎます。そのような歌ではありません。いかに歌詞と音楽にそって歌えるかを意識してみてください。([E:#x266D]Σ)