「さくら貝の歌」081

18歳の若さで亡くなった、故郷の恋人の名前と戒名から、ペンネームを付けた作曲者の、昭和15年に作られた曲です(発表は昭和24年)。とても悲しく切ないメロディです。
1フレーズ目と2フレーズ目の頭(歌の1小節目と4小節目)が、階名で「ラドレミーミー」と「ラシドミーミー」になっていて、うっかりすると同じ音型にしてしまうかもしれません。そのニュアンスの違いを、しっかり感じて歌いましょう。1フレーズ目の2小節目だけに唯一、16分音符が出てきます。これも、作曲者のとてもこだわった部分でしょう。感じ方はそれぞれの解釈でよいと思いますが、何かを感じて演奏することは、忘れないようにしましょう。そして、ところどころに、わざわざテヌートが付けられています。短い音符で、しかも低い音だったりもするので、大切にしっかり音を保つように歌いましょう。全体は4/4拍子ですが、楽譜上では2ヵ所(実際には1、2番の歌詞があるので、3ヵ所。)に、2/4拍子の小節が出てきます。この部分も、作曲者のこだわりの部分なので、しっかり意識して、活かせるようにしましょう。([E:#x266D]Ξ)

この歌の第一印象は暗くて、メロディが取りづらい曲でしょう。単純にメロディが難しい。リズムが少しひねってあるので歌詞を入れるのが苦戦します。まずはリズムで読むことから始めましょう。
この歌はロングトーンのトレーニングだと考えて歌ってみるとよいと思います。音域が広い方ですが、むらなく同じ響きの中で歌えるようになると声の基礎的なレベルがあがると思います。
おそらく楽譜で見るよりも音が揺れる箇所が多いと推察しますが、まずは楽譜通り歌ってみましょう。曲そのものが難しいので表現にはしる前にていねいに練習しましょう。支え、響き、呼吸、フォームを駆使して歌ってみて下さい。([E:#x266D]Σ)