「こいのぼり」078

昭和6年秋、大学教授の父から、子供向けの歌の作詞を頼まれ、約1ヶ月で「こいのぼり」「チューリップ」「おうま」など10編を作られた近藤宮子さんの作詞です。テンポは四分音符120と、少し早めなので、乗り遅れないように、はつらつとした躍動感を出せるように歌いましょう。ただし、歌い出しはmpの指示があるので、勢い余って大きくならないように、要注意です。
4小節が1フレーズの、4つのフレーズで構成され、わかりやすい起承転結の形になっています。3番目のフレーズ以外は、前半がクレッシェンド、後半がデクレッシェンドになっていますが、このキーで無理なく声が出せるようならば、低音は弱く高音は大き目の声になるのが普通なので、あまり気にしなくてもよいでしょう。ただ、低音を強く大きく出すのが好きな人は、記譜通りになるように、気をつけましょう。
3フレーズ目の出だしは、この曲の最高音になりますが、mfと指示があるように、大きくなり過ぎないように、しかし躍動感やはつらつとした感じは失わないよう、うまくセーブしましょう。また、軽い跳躍が少なくないので、楽譜に無い装飾音などが付いてしまわないように、気をつけましょう。([E:#x266D]Ξ)

発声のメニュとしてこの曲を考えた場合、1オクターブの中ですべて歌いますので、無理のない音域で歌えると思います。難しいと思う点は3点です。
1.音程という意味でフレーズが上昇と下降を繰り返します。下降形で音程が悪くなりやすいので注意が必要です。
2.メロディの難しい箇所で「い母音」「ん」などの口腔が狭く舌根もあがりやすい言葉がきていますので声がつまりやすく身体も固くなりやすいです。
3.4小節で1フレーズと考えていくと比較的長いレガートで歌うべき曲です。日本語のレガートというのは他の言語よりも難しいです。
発声の基礎はレガートといっても過言ではありませんから、無理ない音域で歌えるこの曲は、日本語でのレガートをトレーニングするという点ではよい教材だと思います。([E:#x266D]Σ)