「風」 048

あまりにもシンプルな楽譜で時代を感じてしまいますが、案外このシンプルさというのは現代の人にとっては難しいかもしれません。この時代の音楽は楽譜だけみても現代の楽譜ほど複雑ではありませんし、リズムがシンプルです。綺麗な楽譜といってもいいでしょう。
2小節で一つの感覚で歌ってみるといいと思います。一つ一つの音を立てすぎるとこの曲のもつ雰囲気はだせないので一つの音よりも全体の流れを重視してトレーニングするとよくなっていくと思います。
シンプルな歌のためには呼吸と支えのバランスがとても重要です。このことを常に頭にいれて歌っていく必要がると思います。
シンプルをシンプルに名曲にするというのは実は一番難しいのではないでしょうか。(♭Σ)

イギリスの女流詩人「クリスティーナ・ジョージナ・ロゼッティ」の詩“Who has seen the wind?”を、西條八十が訳して、児童文学である月刊誌「赤い鳥」の大正10年4月号で発表した作品です。西條八十は、この作品以外にも、クリスティーナ・ジョージナ・ロゼッティの作品をこよなく愛していたようです。もともとのタイトルを訳すと、「誰が風を見たでしょう?」となり、歌いだしの歌詞の通りですね。歌詞の冒頭の誰がを「たれが」と書かれています。この部分の謎については、「ロゼッティの詩が古典であるので、西條八十は訳すときに文語調でまとめた。原詩のWhoには非常に強い抑揚がつき、「だれが」では弱いので、あえて「たれが」と翻訳された。つまり、Whoのアクセントに近付けるためにこの「たれが」をもちいた。」という理由のようです。ですので、間違えでは無く、意図的にそのような詩になったのですね。
詩のとおり、非常に穏やかな曲ですので、乱暴に歌うことなく、丁寧に穏やかに歌うことを心がけましょう。4小節をひとまとまりでフレーズを感じながら歌うと良いでしょう。基本的に五線の中の音で作られており、音域が極端に幅広くは無いので、初心者にも歌いやすい課題曲だと思います。(♭Я)