「夕焼小焼」 045

誰かに教わった記憶も楽譜をみたこともないですが何故かしっているという不思議な歌ですね。この曲は上手に歌う必要がないと思います。
楽譜に正確に歌うということや、いい声で歌うということも大事だと思います。なのでソルフェージュ的に正確に歌うことを目的として歌う分にはいっこうにかまわないのですが、本来この手の曲はご両親やご家族、近親者、友達、学校の先生などが歌ってくれた声で覚えていく口移しのような曲です。
自分が子供の頃を考えて、いつこの曲を知ったかは憶えてないですし、誰が教えてくれたかも、誰の声を聞いたかもわかりません。それが上手な歌だったかもわかりません。
でも曲はしっています。物凄く上手じゃなくても歌っている側の愛情が伝わる歌なのではないでしょうか。
そう考えるとレガートに歌う、鼻腔共鳴で腹式呼吸でというような技術的なことすらも邪魔になってくる曲だと思います。
トレーナーという立場としては微妙なことを欠いていますがテクニックが邪魔な曲も存在すると思うのです。(♭Σ)

「夕焼小焼で日が暮れて(2番:子供が帰った後からは)」全体的に同じ長さの音符(8分音符)、そして同じ音が続くメロディーです。このような場合、メロディーがぶつぶつなりがちです。歌う前に歌詞を何度か読み、話すように音と音をつなげて、歌うと詩がきれいに表現できます。「山のお寺の(2番:丸い大きな)」上行形のメロディーです。山や満月のようにおおらかに歌いましょう。「お手々(2番:小鳥が)~」この曲のやまです。付点のリズムの箇所、しっかり歌いましょう。「つないで(2番:夢を)」はあらためて言いなおすような感じで。「みな帰ろう(2番:見る頃は)」少し柔らかめに歌うと曲のやまの収まりがよくなります。「からすといっしょに(2番:空にはきらきら)」遠くをイメージして距離感を出して歌いましょう。「帰りましょう(2番:金の星)」だんだんゆっくりし、遠ざかっていくように静かに歌い終わります。(♯μ)

この曲は大正12年の7月、つまり、関東大震災の発生する2ヶ月前に出版されました。ほとんどの楽譜が被災し焼けてしまいました。その中で焼け残ったわずか13部ほどが、歌い継がれて今日に至ります。現在では17時頃に東京の多くの区の時報チャイムとして用いられています。おそらく、夜になる前に子供を帰宅させるための合図でしょう。「夕焼け小焼け」は、「夕焼け小焼け、明日天気になあれ」というものから来ているようです。なお、「小焼け」という言葉には特に意味があるわけではなく、七五調のリズムに合わせるために用いられたもののようです。この曲の詞は、七五調か八五調で書かれており、読むだけでもリズミカルですね。作詞者の中村雨紅は、自身の詩謡集のなかで、いつ作詞したものかはっきりとは憶えていないが、大正8年頃作詞したものの間に記帳している、東京から八王子の実家までのおよそ四里をいつも徒歩で移動していたので、途中でよく日が暮れた、また、幼い頃から山国での光景が染み込んでおり、たまたま作詞されたのではないかと記されています。
音楽的にはヨナ抜き音階で、4小節ごとのフレーズになっています。そのフレーズを感じながら、穏やかにたっぷり歌う事を心がけるといいでしょう。(♭Я)