「冬景色」 044

尋常小学校唱歌の一曲ですね。 まさに名曲といっていいと思います。作曲者、作詞者は不明なのですが尋常小学校唱歌としてずっと歌われてきた曲です。作曲家の源田俊一郎先生の「ふるさとの四季」という複数の唱歌を繋げた合唱曲の中にも登場します。全てが名曲なのですがその中でも1、2位を争うくらいの美しさだと思います。メロディはわりと単調な流れなのですが歌詞が美しいのです。
何か特別な偉い人の詞ではなく日常の生活を書いたこの詞は歌っていても感傷にひたることがあります。
まずこの歌は絶対的なレガートであるべきです。どこにも無駄なアクセントがないように歌われるといいと思います。そして歌詞を喋り過ぎないことです。言葉を立てすぎるとこの歌には合いませんし、レガートがなくなります。日本語というは言葉を立てすぎるとメロディが流れにくいのでこの曲感を活かすためにもあくまでも淡々と歌われるのがいいとおもいます。恋の歌でも元気な歌でもありません。ただ日常の生活観を歌ったものです。(♭Σ)

この曲は小学校5年生の音楽科の共通教材として用いられている唱歌です。ですので、耳にしたことがある人も幅広い世代でいるのではないでしょうか。言葉がわかりにくいところもあると思うので、紐解いていきましょう。冒頭の「さ霧」とは「霧」のこと、「さ」と言う言葉には特に意味は無く、語調を整える為に用いられています。「霧」というのは「秋の季語」なので、「さ霧消ゆる」とは、秋が去ったことを意味しています。つまり、ここで歌われている時期は「初冬」ですね。ちなみに、平安時代以降、秋立つものを「霧」、春立つものを「霞」といいます。「げに」とは「まことに」という意味という意味です。「小春日和」という言葉を、よく初春の暖かな日を意味すると誤解されているようですが、正式には、秋に使う言葉です。「小春日」とは、今でいう11月下旬から12月上旬の暖かな日を意味します。「のどけしや」とは「のどかだ・穏やかだ」という意味です。「雲は落ち」は雲が低く垂れ込めている様子を表しています。「時雨」は秋から冬にかけて降ったり止んだりするような雨のことです。「それとわかじ」とは内容としては家があるのか人がいるのかわからないという無いようです。以上のような日本の初冬の情景を描かれた歌ですので、このような情景を思い浮かべながら歌うと良いでしょう。全体的に穏やかに滑らかに歌い、mfと書かれている前のクレッシェンドから盛り上げて歌うように心がけるといいと思います。(♭Я)