No.268

<CD>

 

「The Great American Song Book  1972年」カーメンマクレエ  

リラックスした雰囲気で、何度聞いても本当にすばらしいアルバムです!!

カーメンの間の取り方、伸びのある声、語るようなクールな説得力。以前はエラが一番好きでしたが、このアルバムを聴いて以来カーメンが一番好きなボーカリストになってしまいました!!!

 

「コンプリートシングルカット&モア」天地真理

30年以上前のアイドル。最初の3年ほどの歌は声が伸びやかで高音への踏み込みが思い切り良く、聴いていて気持ち良いです。年齢が上がっていくと、高い音を浮かせてしのいだり、息の混ざり具合が多くなって、それはそれで技術なのだと思いますが、自分としては最初の3年ほどの歌を魅力的と感じました。

「CD・ナットキングコール/枯葉(日本語)」「つーきーせーぬーこーいーのーゆーめーよー」ではなく、「つきーせぬーこいーのーゆめーよー」と歌っていて、日本語の一音一拍ではないことに、やっと気がつき、フレーズってこう考えていくのかなと思いました。「CD・ナットキングコール/(I love you)For sentimental reasons」聴いていて「I think of you every morning」の声に耳が引き寄せられました。歌なのですが、私に話しかけて来るのです。歌詞として、そういうの素敵ねと感じさせるのでなく、「毎朝君のこと思うよ」と直接私に入ってくる。こんなふうに歌われたら、ロマンチックな気持ちになります。

 

「昭和ブルース」天知茂

多くの人が当たり前のように幸せを謳歌しているときに、人生が上手くいかない人はこの歌の冒頭と同じことを考えるはずです。

「生まれた時代(とき)が悪いのか それとも俺が悪いのか」(1コーラス目の前半)

しかし、時は高度経済成長の戦後の昭和。やることなすこと上手くいく右肩上がりの時代。何も悩まなくたって良かったはず。しかし、

「何もしないで生きてゆくなら それはた易いことだけど」(1コーラス目の後半)

「何も知らずに生きてゆくなら それは易しいことだけど」(2コーラス目の後半)

と、この歌の作者は「た易い」「易しい」時代に疑問を投げかけます。

では、作者にとってこの時代の何が「悪い」のか。

「なんにもせずに死んでゆく 俺にはそれが辛いのさ」(3コーラス目の後半)

どうやら、作者はこの「た易い」「易しい」時代に甘んじていても良いのか、これでは何のために生きているのかという憤りを抱いているようです。

そして時代は変わり、今の現状を観れば、「た易い」「易しい」昭和の時代のツケを払わされている自分たちがいる。

あまりにも過酷で、頼れるのは自分だけという寂しい時代に変わってしまった。

作者はこのような結末を予感していたかどうか知りませんが、そんな無責任な時代の流れに背を向け、この歌をこう結びます。

「誰も探しに行かないものを 俺は求めて独り行く」(4コーラス目の後半)

自分は、何のために生きているのか?

誰も教えてはくれないし、教わるものでもない。

自分で見つけるか、作るしかないのです。

 

<DVD・CINEMA・TV>

 

「青の時代」

三島由紀夫写実的また精神的に描写が細かくて面白いです。

最後のワンシーンの描写がとても美しいと思いました(私の頭の中で)

 

タクシードライバー

ロバート・デニーロは若いときは格好よかった。音楽もよい。

 

「スイッチインタビュー達人達選」葉加瀬太郎

脚本家宮藤官九郎VS葉加瀬太郎という番組を見ていたら葉加瀬さんが「今だに本番直前が怖くてたまらない。どうしてこの仕事を選んだと思う」と言っていました。

トークも一字一句、台本を書いてそれを覚え、それをアドリブで言っているみたいに練習するそうです。あんなふざけたようなことをしているように見せて緻密な計算があったのですね。「さらばクラシック」したのにクラシックのブラームスに回帰したくなり、20年がかり60才で自分なりの演奏を目指しています。

宮藤さんは妄想癖が強く、それをネタにしたり、ファミリーレストランや喫茶店で脚本をよく書くそうで、来ているお客さんの面白い会話をネタにして書いているそうです。(ご注意!)実っちゃいないけど頭を垂れる稲穂かな・・・どれだけ垂れりゃいいんだろと言っていました。娘さんがバイオリンを習っていて質問の紙を封筒から出して葉加瀬さんに聞いて鋭い質問と言われていました。

 

<BOOK>

 

「貧乏入門」小池龍之介

現住職が、豊かな暮らしをするために、お金の使い方について、書いた本です。集中に関する記述が多くあり、ヴォイストレーニングをする際にも参考になることが多くありました。

 

<EVENT・その他>

 

刑事コロンボ」主演ピーター・フォークの吹き替えを担当した俳優 石田太郎さん逝く

故・小池朝雄さんの後をついでピーター・フォークの2代目吹き替えを担当した他、多くの現代劇、時代劇、アニメ映画(「ルパン三世 カリオストロの城」など)に、悪役、脇役として幅広く活躍されていた石田さんの急死には驚きました。

特徴は、あの響きの良いハイバリトンの声でした。日本人の役者でもあれだけの声が出せる人はあまり見かけませんし、石田さんくらいの声量なら歌手になっても良いと思いますが、残念ながら石田さんの歌声は聴けずに終わってしまいました。

最近はこの他にも、青野武さん、内海賢二さんなど、声の使い方に秀でた方々が次々に亡くなってゆかれるのは寂しいことです。

 

<店>

 

「サヴィニ(地中海料理)」立川

二階で地下には姉妹店が入っている様子。中に入ってまず、何か中途半端なお店であると感じた。お洒落なのか、馴染み易いお店なのか、今ひとつ分からない。さらに店内に業務用エレベーターがあり、どうやらドリンクとデザート以外の料理は全て、地下の姉妹店から届くシステムのようだった。そのシステムそのものに落胆したのが一点、それをお客様から見える位置に配置して隠そうともしていないところにもう一つがっかりした。単価は前菜で二千円を超えるものがあったり、ステーキで五千円ほどだったりと、基本的に高い。パスタやピサは千円から二千円と安めだけれど、周辺のお店と比べるとやはり高めな設定であると思う。ただ、お料理が美味しかった。サラダにもスイカやナッツ、大切りの野菜が乗っていたり、ドレッシングも珍しい味で手作り感が強く、その上で美味しい。「リゾットグラタン」のような名前のメニューは、ドリアと何が違うのかと思って注文してみたところ、確かにリゾットとグラタンを融合したお料理になっていた。隣の年配女性二人組が注文していたケーキは、通常想像するものの倍以上の大きさがあり、パスタ一皿とケーキ一つを二人でシェアしていた。そういう利用法もここでは定番なのかもしれない。接客に特筆すべき部分はないけれど、料理は本当に美味しかった。

 

「カリュウ(中華料理)」みなとみらい

中華街からは距離を置いている高級中華料理店。個人的に中華にそこまで美味しいイメージがなく、ラーメン屋以外で中華料理と触れる機会は皆無に近いのだけれど、横浜で評価の高いお店ということもあり、足を運んでみた。思ったのは、やはり美味しい料理は美味しいのだということ。かなりの品数を注文したけれど、食後に油が残るということもない。チリ産の鮑の醤油煮込みは絶品で、鮑自体は今働いているお店で刺身だけ口にしたことがあり、どちらが美味しいとは甲乙つけがたいけれど、全くの別物に感じた。五目チャーハンやエビチリといった身近な料理も、素材と料理人の腕が違うことで別物になっている。高単価のお料理も、それだけの価値を感じさせるだけの迫力を持っている。ただ、デザートは普通。中華で印象的なデザートというのは難しいのかもしれないけれど、そこに力を入れているお店もあるはずだと思う。洋食風の創作料理が今いちだったのと、注文した料理が二つ忘れられてしまったことが残念。

 

「四季亭(懐石料理)」桜木町

店内を薄く満たしている出汁の匂いだけでも幸せな気持ちになれる。前菜に七種盛り合わせがあり、その中で衝撃的だったのは南高梅の蜜煮。南高梅というと梅酒のものというイメージしかないが、それを蜜煮にすることで、プラムに非常に良く似た味と食感になっていて驚いた。鱧の子の煮こごりなども初めて食べたけれど、カレイの卵の煮付けに煮た味で、淡白な美味しさがあった。天ぷらや松前焼きなども絶品で、お料理からサービスから何一つ突っ込むところがない。また、吟醸酒とお料理との相性の良さにはため息が漏れるばかり。メロンの白ワインゼリーがけ、という洋風のデザートが出てきたときには意表を突かれたけれど、メロンが口の中で爆発するように果汁を溢れさせ、白ワインの香りのゼリーが甘くなった口の中をすっきりさせる。決して安くないけれど、このクオリティであるなら、コストパフォーマンスは抜群といえると思った。