No.266

<CD>

 

「アマリア・ロドリゲス 」 

初めて聴いた時は柔らかい声と思いましたが、スタジオを借りて大音量で聴いてみたら、とても印象に残る声でした。強く押し付けないから、柔らかく聴こえたのだと思いました。音の跳躍に不自然さがなく、「ラララ」だけで歌っても一本調子じゃない。伸ばしたあとの声の切れ上がりが良いと思いました。

 

<DVD・CINEMA・TV>

 

「ビルカニンガム&ニューヨーク」

NY在住82才のファッション・カメラマンのドキュメンタリー。

セレブか一般人かに拘らず、そのファッションが面白いか魅力的かという自分の感性に正直に、NYのファッションを収め発信し続けている。表現(写真、ファッション)と仕事に対する情熱が溢れている映画でした。

 

孤独のグルメ Season3」松重豊

婦人輸入雑貨商が仕事で訪れた実在の大衆食堂で美味しい料理に舌鼓をうつ。変わったメニューの美味しそうなことは序の口で、美味しい表情が実にきめ細やかで豊。さらに待つ間、味わう間、高鳴る思いのとぼけた絶妙なナレーション!(しぶい低い声)苦味ばしった時代劇の浪人役が似合いそうな松重豊という名前を初めて知った。顔は見たことがあったがこれで人気が出たのか食べるコマーシャルに出ていたり、ドラマでもちょくちょく見かけるようになった。地味な脇役さんだったのが「美味しそうな食べ顔」でブレイクしたようだ。

<本>

歴史街道2013年8月号 特集「鬼島津戦記 『大敵に勝つ!』薩摩の意地」(PHP研究所

高校時代から好きな、というよりも尊敬していた戦国武将が何人かいますが、その中にいるのが薩摩の武将、島津義弘とその甥島津豊久です。

この叔父と甥、というよりは師弟と言った方が良いかも知れませんが、勇敢であることでは他の追従を許しません。
10倍から100倍の敵軍にも臆せず、戦術に創意工夫を凝らして逆転勝利を収めることもしばしばでした。

特に感銘を受けた戦績は、この師弟の代名詞にもなった「関ヶ原の退き口」。

味方の西軍が、徳川家康率いる東軍に敗れ、島津隊だけが戦場に孤立してしまったとき、敵に背を向けずに敢えて前方へ突撃を図り、敵の包囲網を突破し、自ら捨て石を志願した豊久など多くの犠牲者を出しながらも義弘は見事薩摩まで帰還を果たしました。

さらにすごいのは薩摩帰還後に島津家が家康を相手に展開した非凡な外交戦術。一方で家康に恭順を示しつつ、それでも許されない時に備えて、国境での徹底抗戦の準備も抜かりなく行っていたため、さすがの家康も島津家取り潰しを諦め、結果島津家は家康に敵対した武将としては唯一、一片の領地も没収されずに生き延び、明治維新まで続くことができました。

島津義弘の戦術の特徴は、以下2点でした。

・大将自らが、先頭に立って突撃する。但し、勝ち目のない無理な戦闘はしない。

・家来や兵士を、わが子のように思いやり労わる。

親兄弟でさえ、容易に信用できない戦乱の時代にあって、島津義弘、豊久の二人は最後まで堅い絆を守り通したと同時に、思いやりの尊さを後世の人々に伝授してくれました。

 

<EVENT・その他>

「ファドライブ 」月田秀子

今までシャンソンのライブハウスで聴いたファドとは全く違いました。強く訴え、押し付けてくるようなものは全くなく、ただそこに悲しみが立っていました。「あなたにはあなたの悲しみがある。私には私の悲しみがある」と語る彼女の歌の底に悲しみの根っこがあり、それが私の悲しみの根っことつながっている。だから、この人の歌をもっと聴きたいと思うのかもしれません。

 

「森田宏(シャンソン)・ムッシューウィリアム/ひとりの水夫の歌」銀パリ時代からの歌い手でパントマイマー。伴奏が始まると、そこに立っているだけで絵になる。手を広げれば世界が広がる。ささやくような声で聞き取れないところもある。でも、世の中の不条理をただその場にさらす、という世界観はかなり印象的。自分はこのタイプの歌い手にはなれないけれど、こういう世界もシャンソンの魅力と感じます。

 

「アマレスリングインストラクター」浜口平吾さん(元・プロレスラー アニマル浜口

一見凶暴な顔で(失礼)現れ、「気合10連発」で吠えまくる。しかし、この「気合10連発」にも準備体操があることに、自分は気付きました。

それは、最初に彼が姿を現すときに、不気味な(またまた失礼)笑いが聞こえてきます。「ウッハッハッハッハッハッハー」

この笑いには、「テレビの前のお前ら、元気か。」という問いかけの意味もあれば、「さあ、わかってるだろうな。これからいくぞ、気合10連発だぞー」というような予告の意味もあります。
しかし、この「笑い」があればこそ、予めリラックスした彼の体の中には広がりと勢いが充てんされ、「気合10連発」が出る瞬間には、無理な力みも必要なく、自然にエネルギーが前に(視聴者側に)噴射されるという仕組みだったのです。

ただ怒鳴るのではなく、体と勢いが調和する、即ち気が合う。これが本当の「気合い」の極意なのだと、この親父さんは教えてくれました。

 

<店>


「マーブルラウンジ(ラウンジ・軽食)新宿」

新宿にあるヒルトン東京内のラウンジ。期間ごとに趣を変えるデザートブッフェで有名。訪れたときはアメリカンチェリーのフェアが開催されていた。噂にたがわず、かなり盛況。とにかくサービスがよかった。客が多いのでスイーツの減りも早いが、スタッフが多いので補充も早い。また、ドリンクなどなくなるとすぐに聞きに来てくれる。混雑の中にも、きちんとしたホテルのラウンジのもてなしを残している印象。ただ、人が多いので静かに話すには向かない。

アメリカンチェリーのフェアだったけれど、デザートに関しては良くも悪くも本当にアメリカンチェリーを使ったものしか置いていない。軽食も多くはないので、フェアごとに本当にそのメインの素材を好む人が来るのだと思う。定番のスイーツなど必要ではない、同じ素材ばかり使っても客を飽きさせない、という作る側の自信の表れもあるかもしれない。ただ、腹八分目の食後で、個人的には食べ疲れたと感じた。

 

うかい鳥山(懐石料理)高尾山口

ホタル狩りのイベント時期だったこともあり、予約はほとんど満席。とはいえ、お料理はイベントに合わせて用意されているわけではなく、通常の、季節ごとに変わるコースメニューのみ。ここの胡麻豆腐は本当に美味しい。高尾の綺麗な水を使っているためなのか、あるいは八王子の「豆腐やうかい」と共通したものを使っているのかもしれない。

鉄板焼きのうかいなどとは違い、お料理は素朴。地鶏沢煮汁などは郷土料理のよう。全体的に薄味で出汁の風味を活かした料理が多く、王道の和食懐石という感じ。一番美味しいのは麦とろご飯。とろろは高尾の名産でもあるので、地元のものを使っていると思う。落ち着ける雰囲気でサービスもきちんとしており、客層に年配の方が多いのも頷ける。
最大の売りは安定感であり、それが良いのか悪いのかは分からないけれど、今後も大きく変わることはないのだろうと思う。

 

リストランテマンジャーレ(イタリアン)台場」

お台場アクアシティ内にあるレストラン。レストラン街の一角にあるが、入り口から店内までへの廊下が長く、外の喧騒からは隔絶された空間になっている。チャペルが併設されていて、結婚式の食事会場になることもあるというだけあって、良くも悪くも雰囲気作りに傾注している印象だった。

高層階ではないけれど、レインボーブリッジやお台場の自由の女神、遠くには東京タワーとスカイツリーも見える眺望。ムード作りか夜景を引き立てるためか、店内も非常に暗く、テーブルの上をアルコールランプが薄く照らしている。綺麗な演出だけれど、どうしてもアルコールの化学的な臭いが鼻をつく。さらに、暗すぎてお料理がよく見えない。提供の際に説明して頂けるが、それも隣席を気にしてか声量がなく、聞こえないので食べてみるまで何を出されたのかよく分からず。お料理自体のレベルが低いわけではないと思うけれど、視覚と嗅覚が妨げられ、舌以外で楽しむことができないのは残念だった。