No.308

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「プレイタイム」監督 ジャック・タチ

まだ冒頭しか見ていないが、各所で解説されているよに、とても音楽的な映画である。空港のロビーを様々な人が歩いていくのだが、そのタイミング・配置にリズム感があり、見ていて心地よい。以前に鑑賞した『ぼくの伯父さん』よりも笑いどころがわかりやすく、喜劇映画なのだということがよくわかる。画面に映るもの全てが緻密に計算されていて、とにかくおしゃれな映画である。

 

ズートピア

動物の世界で、肉食動物は強くて草食動物は弱いという偏見がありますが、あるウサギが警察官になる夢をもつのです。そしてウサギは小さくてハンデがあるのに、逆にそれを活かして警察学校を首席で卒業します。それだけで感動的なのですが、まだまだ試練は続き、警察官になっても警察の仕事は与えられず違反切符の仕事ばかりさせられます。違反切符を猛スピードで切っていくのです。ある事件を時間内に解決できなければクビという厳しい任務を受けることになります。そんなとき協力してくれたのが違反切符のときに出会った騙し屋のキツネです。最初は乗り気じゃなかったのに、徐々に2人の結束は強くなっていきます。見事解決してめでたしと行きたいところですが、ここでウサギは肉食、草食に関する問題発言をしてしまい、ズートピアは分裂していきます。自分には警察官の資格などないと思って辞職しますが、きっかけがあってただ肉食、草食の違いではなく、動物が野性を取り戻しどう猛になる原因を突き止めることになります。試練、試練、試練…こんなにいろんな

ことが起こるものかと思ってしまいますが、ハンデがあったり夢を持っている人や、何か頑張っている人にとって、すごく共感できるし、勇気付けられる作品だと思います。いろんな人種がいるし、それぞれ特徴があるけれど、偏見を乗り越えて、友好的な社会が築ける。タイムリーで大切なメッセージです。最後のライブのシーンはすごく好きです。たくさんの問題を乗り越えて、一緒に踊りたくなります。主題歌が大好きです。現代風のiPhoneが出てきたり、ウォークマンやテレビ電話が出てくるのが面白かったです。

 

「大道芸In Shizuoka16」  

衆目の前で演ずることの楽しさの背景にある努力に何度見ても脱帽

 

「しゅららぼん」 

万城目学原作の小説の映画化。琵琶湖・龍・サンラインの三つのキーワードは、美内すずえの「アマテラス」を彷彿させる。

 

「じゃじゃ馬さんとビックボイス」

ビックボイスに惹かれて観てしまった。ビックボイスの意味は勘違いしていたが、諦めないのも夢、諦めるのも夢、諦めたところからまた新しい夢が始まるような気がする。

 

ちあきなおみ幻の歌姫」

「紅い花」は歌というより、一つの物語のように聞こえてきた。

 

Perfect HumanRadio Fish

最近お笑い芸人でもリズムや歌ネタが多いと感じていましたがこの曲はその流れを先どったものです。

音楽やダンスの使われ方が多岐に渡ってきていると感じます。

 

EVENT

 

オペラ「ノルマ」エディタ・グルベローヴァ 

有名なこの歌い手の声を一度聴きたかった。どんなフォームで歌うんだろう。しかし、調子が悪いようで、一部では、素人の私でもあれっ?と思う部分があった。休憩のトイレ待ちの列で、「全然違う音から始めた。みんな期待してるのに」、という会話が聞こえた。期待が大きいと、応えるのが大変だ、と思った。そして、二部の後半、不思議なことが起こった。オペラグラスで観ていた私の目に突然、涙があふれてきた。別に悲しいとか、切ないとかの感情はなかったのに、声を聴いてダイレクトに涙が出てきた。字幕を見ると、場面は処刑台に向かうノルマが父親に子供たちを託すシーン。そして、さらに不思議なことに、舞台を観ているうちに、歌も声も消えてしまって、ただノルマという女性が立っていた。頭の理解を超えているけれど、本当にそうなのだ。オペラなのに、歌も声も消えちゃうなんて、不思議だけれど、たくさん流した涙は、このところ、しんどいことの多い私を慰めてくれた。このオペラが初演された頃の人も、こうして、涙を流して、元気を取り戻していったのかな。

 

桂歌丸、高座65周年記念落語会」

小学生の時に落語家になると決め、中32学期で咄家になって65年、80歳の歌丸。演目は、ねずみ。同じ話を数年前、歌丸で聴いている。あの時はまだ笑点の司会者で病気をする前だった。けれど、今回のねずみは前に聞いたものより、さらに話に引き込まれた。それは、二回目のせいだけではないと思う。最初、ふわっと聞こえた歌丸の声が、話が進むにつれ、声に引き込まれ、最後は声が消えて、話だけになる感じ。80歳にして、新しい噺を学んでいるというのが凄い。ライブで聞けたことを嬉しく思う。

 

 

「勝手に歌唱会(青山マンダラ)」

シャンソン評論家の大野修平さんを司会に迎えて、シャンソニエ「ブン」ゆかりの有志のコンサート。「想いの届く日」レッスンでいろんな声を試したので、その録音と曲のイメージとで、今まで考えていたものとは違う、少し太めの声を使ってみた。スペイン語歌唱なので、お客様には内容がダイレクトには伝わりにくい。声を選んだことは結果的に良かったと思う。「私の天使」ピアノ伴奏の2ビート、サックスがバックにいるつもりで、フレーズを柔らかく作ってみた。今まで、弾むように歌っていたので、少し新しいイメージで作れたかと思う。

 

Jazz Pianist Manami Morita

オリジナル曲弾き語りライヴ。歌とピアノで奏でる独自の世界。リズムや音程のアップダウンが激しいのだが、声の出し方もとても滑らか。ピアノも歌も一体化して、全身で音楽の人。

 

OTHER

 

「時代劇俳優 松方弘樹さん逝く」

故・菅原文太さん主演の仁侠映画仁義なき戦い」シリーズでは、狂気に満ちた演技で頭角を現したと言われます。

殺陣の上手さで時代劇スターとなった近衛十四郎さんの息子として生まれ、数々の時代劇で活躍しました。

主役、三枚目役、悪役、何でもこなす名優であっただけでなく、歌手として出演作品の主題歌を自ら唄うこともありました。

歴史ファンにとっては、織田信長豊臣秀吉徳川家康の3人を全て演じた経歴を持つ希少な俳優でもあったのです。

晩年は時代劇の復興を念じ、「銀幕維新の会」の発足に参画した他、後進の育成にも尽くしました。

感謝と共に、ご冥福をお祈りいたします。

 

「元アナウンサー 小川宏さん逝く」

子供の頃からよく観ていた朝のバラエティ番組「小川宏ショー」でも、笑顔が素敵な優しい男性という印象が残っていました。

言葉の歯切れが良いだけではなく、共演者と視聴者に対する司会者としての気配りも好感が持てました。

後にうつ病を発症しましたが自力で克服し、その体験談を出版や講演活動に活かし、90歳の天寿を全うしました。

今思えば、優しさと強さを兼ね備えた日本の男性の理想の姿ではなかったかとも思えます。

今のTV番組は出演者だけで盛り上がっている自己満足的なものが多くなりましたが、視聴者に責任を持って番組を届ける小川さんの誠実な姿勢を見習ってもらいたいものです。

 

最初に観た根津さんの演技は、昭和53年大河ドラマ黄金の日日」での石川五右衛門役でした。

その他に黒沢明監督作品「影武者」や「乱」にも出演し、寡黙なキャラクターを演じつつ、真摯に学び続ける姿勢が人気を集めました。

将来を期待された俳優でしたが、晩年は持病悪化などの不幸に見舞われ、平成22年には芸能界を引退していました。

男らしい日本の男優がまた一人この世を去って行ったことが惜しまれます。