No.293

<CD>

「風歌い」シャルル・トレネ
同じメロディが五番まで繰り返される曲なのに、最後まで一本の道が続いている。風歌いと呼ばれる吟遊詩人に恋をして、叶わぬ悲しみで死んでしまったお嬢さんの話。トレネは淡々と、しかし声を少しずつ変えながら歌っている。伴奏ピアノが歌詞に合わせて弾きかたを変えているのも、メロディの美しさを際立たせている。いつも同じ伴奏者とやっていると、お互いあうんの呼吸があるのだろう。悲しい物語なのに、懐かしく温かみがある。この歌を、こんなふうに歌いたいものだ、と思う。

 

「時代劇主題歌で気づいたこと」
今回のレッスンで、自分にあった音程で歌うことの効果の話が出てきましたが、過去の時代劇などの主題歌でも歌い手に合わせて音程が変えられる例があったことを思い出しました。
例1:「江戸を斬る」主題歌「ねがい」
元々は高音域の得意な西郷輝彦さんが歌っていましたが、後に主演と歌が里見浩太朗さんに交代された時には音程が下げられ、テンポもスローに変更されました。
例2:「水戸黄門」主題歌「あゝ人生に涙あり」
元々は介さん役の里見浩太朗さんと格さん役の横内正さん(後に伊吹吾郎さん)が低音域で歌っていましたが、介さん役があおい輝彦さんに交代した途端に音程はかなり引き上げられました。
それにしても、低音高音どちらでも歌える伊吹さんは凄い声域、声量の持ち主です。驚くばかりです。

 

<映画>

「洋画全体」
洋画を吹き替えで見ると違和感を感じます。声の深さなど、いろいろな要因はあると思いますが、一つには役者と同じ身体の動きをしながら発声していない点にあると思います。立ったままのときとそうでないときでは違和感がどれくらい違うのかもっと研究してみます。

 

<本>

「お役所しごと入門」山田咲道
最近、自分は「お役所体質」又は「お役所仕事」、「お役所化」という言葉に興味を持っています。
周囲を見渡せば、何も官公庁だけでなく、民間企業も、病院も、学校も、サークルやスポーツチームも、遂には家庭内までもが「お役所化」しているように思えてなりません。
この「お役所化」は、仕事のやる気を失わせ、品質や効率を低下させ、人間関係を面倒にし、遂には人為的ミスによって人命に関わるような大事故を引き起こす場合もあります。
なぜ優秀な人材が揃っていても「お役所化」は起きるのか?
「お役所化」を防ぎ、やりがいのある仕事にするにはどうしたら良いのか?
この一冊がヒントを与えてくれます。

 

「お役所仕事の大東亜戦争」倉山満
今では「太平洋戦争」と呼ばれる「大東亜戦争」に、1945(昭和20)年、日本は敗戦した。
この戦争について、“右向き”の人々は「聖戦」と呼び、“左向き”の人々は「侵略戦争」又は「戦争犯罪」と呼んできた。
しかし、正か邪かを論ずる前に、この戦争に日本はなぜ負け、夥しい数の人命が失われなければならなかったのか?その原因を考える必要がある。それがわからなければ、また同じ失敗を犯す危険性がある。
その原因は、政府や軍部の「お役所仕事」であると著者は論じている。
さらに恐ろしいことは、この「お役所仕事」(又は「お役所体質」)は今も続いているということである。
政府や官公庁はもちろん、企業や学校、家庭内でさえも。
見てくれや上部だけを取り繕い、波風を立てないように核心には触れず、面倒なことは先送りにし、自分さえよければ良いという独善的な考えで誰もが動き、しかも無計画で無責任。
本書ではそんな日本人の「お役所体質」を、1907(明治40)年から1945(昭和20)年の敗戦まで、日本を腐敗させた「お役所仕事」の歴史を辿ることで詳細に解説している。
この一冊が、日本を救う一つのヒントになるかも知れない!

 

「ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法」飯村久美
家計というと、あまりポジティブなイメージがないのではないでしょうか。
「どんなに工夫してもお金が足りなくなって苦しい」
「家計簿をつけるのが面倒くさくて続かない」
「お金はあるだけ使ってすぐなくしてしまう」などなど・・・
家計のやりくりに悩む多くの人々に、「ライフプランニング」をベースとした家計管理の方法を提案するファイナンシャルプランナー・飯村久美さんが、長年の経験から得た「無理なくお金が貯められるコツ」をピックアップし、その中から37の方法を厳選してまとめたものが、今回出版された本書です。
この37の方法を全て実践する必要はなく、できるもの、やってみたいと思えたものから気軽に始めるのもコツだとか。
まずは、本書に目を通して、気軽に実践してみることです。

 

「ゆるめる力 骨ストレッチ」松村卓
1~2分の簡単な動作で上半身を緩めることができる。
下半身とのバランスも良くなる気がする。
歌を歌う時にもいい感じの体感で歌えるような気がしてお薦めです。

 

<その他>

いわさきちひろ
水彩画がとても色鮮やかで水をたっぷりと含ませて描いたようなところやぼかしてあるところにほのぼのとしたしあわせを感じます。絵の中の女の子が自然や他のものと調和して、人間も他のものもすべてが同じようにそれぞれの美しさを放っている世界をみせてくれます。

 

アートアクアリウム展 金魚シリーズ 」日本橋
いろいろな形の水槽を組み合わせて光を当てることでその中の金魚も深い色に染まり幻想的に見えました。

 

「重力の秘密」コスモプラネタリウム渋谷
プラネタリムの番組です。重力とは引っ張り合う力ではなく、時空の歪みなのだそうです。
アリストテレスが提唱した地・火・水・風のバランスから全ての物質は成りたっているという説が1900年もの長い間、人々に信じられていた事は驚きです。

 

ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場 フィガロの結婚
モーツァルトのオペラ全21作品すべてを常時上演できる態勢の歌劇場。常日頃、アンサンブルを組んでいる者同士の呼吸の妙が発揮される、という謳い文句に興味を持ち、出かけた。値段的にも、有名な歌劇場の引っ越し公演より、行きやすい。行ってみたら、とても楽しかった。出演者みな歌唱力があり、歌で芝居をどんどん進めていく。段取りで進む印象は全くなかった。舞台装置はシンプルだが、場の雰囲気がよく出ており、感じがよかった。伯爵夫人役のオルガ・パシェチニックの声が素敵だった。ソロで歌う場は、聴いているこちらが、彼女の方に吸い寄せられるような感じがした。向こうから声が来るというより、こちらが引っ張られる感じ。

 

<店>

「THE Sky(ブッフェ)」赤坂見附
ホテルニューオータニのメインダイニング。ブッフェというとどこも似たようなラインナップになりがちだが、ここは明確な差別化を行っている。マイナーな料理に強く、限られた品数の中で、海ぶどうパクチーなど、人を選ぶ食材を多く扱う。特定の人には中毒性があるといってもいいほどに強い魔力を持つ素材が並ぶだけに、ツボにはまると滅法強い。デザートには「パティスリーSATSUKI」のデザートが15種類以上並び、ブッフェというよりも「ケーキ屋さんのショーケースから取り放題」に近い。総じて、意外なほどに素材の鮮度と味がよく、個人的な満足度は非常に高かった。クセそのものを苦手とするような人には楽しめない場所になってしまうかもしれないが、無難な月並みのブッフェに慣れた人には刺激的で新鮮に感じられるだろう。

 

「赤坂潭亭(沖縄懐石)」赤坂
六本木と赤坂の中間、住宅街の中に位置し、沖縄料理のみで懐石。ラフテーなどもあるが、並ぶ名前は初めて聞くものばかり。ドゥルワカシーという、田芋を煮た料理などは、独特な風味があり絶品だった。語源は、芋を似ているときの鍋が泥を沸かしているようだという意味で「泥沸かし」。ありふれた懐石料理と違い、本土とは異なる食材や文化を味わうことのできるお店だった。

 

「とりや幸(焼き鳥)」銀座
銀座の繁華街に佇む焼き鳥のお店。比内地鶏のみを扱い、お店で鶏を捌くので一羽丸ごと余すことなく味わうことができる。全カウンター席であるが、焼き鳥屋ならではの煙が店内に充満することはなく、焼き手が焼いている手元で煙が吸気されていく。反面、巨大な吸気口と煙を逃さないためのカバーによって、炭の上で串が焼けていく姿は見ることができない。比内地鶏はメジャーな地鶏の一つだが、それだけに魅力にあふれており、肉質は弾力が強く、脂が美味しい。平日の夜から予約で満席という人気店である。

 

「BRASSERIE D & SWEETROOM(イタリアン)」三越
まず目に付くのは、三越前駅直結の商業施設内という立地でありながら、全メニューが非常に安価であるということ。しかも、その安さを感じさせない質の商品を提供している。店内も清潔感に溢れ、サービスにもホスピタリティを感じる。キッチンもホールも、皆が皆きちんと仕事をしているというのは当然のことのようでありながら、実は実現しがたい。それをこの価格帯で体感できるというのは、なかなか稀有な経験であるように感じた。店名からも察せる通り、デザートも充実している。隙のないお店だった。

 

「王朝(中華)」新宿
こちらの単価を考えると美味しいのは当然、その上でどこまでの満足感を提供できるかというところが肝になってくる。こだわりは、点心。聞けば専属の点心師がいるという。点心が蒸しあがるごとにテーブルを回り、出来立てを配膳していく。もちろん好みの点心を注文することもでき、ものによって様々な表情を見せる点心はそれだけを食べていても飽きがこない。点心は専門の職人の仕事であり、小皿の一つというよりは、日本食で言うところの寿司に近い存在なのかもしれないと感じた。