No.311

CDDVDTVMOVIE

 

「地中海の情熱」ホセ・カレーラス

レッスンで「I'te vurria vasa」に取り組んでいるので、聴いた。伸びやかな明るさのある声。ボーナストラックは、グロリア・エステファンをゲストに二人で「Solamente una vez」、あれっ?、声が急に薄くなった気がした。改めて思ったのは、それまでの声は、明るいけど軽いわけではなく、明るくても密度が濃い声だったのだ。

 

「一会」中島みゆきコンサートの収録

中島みゆきのファンというわけではなく、コンサート映像の前にリハーサルの様子が入っている、と聞いて、興味を持った。音楽監督はすごいなと思った。適格な耳、各ミュージシャンへの注文。また、スタイリストと一緒に、視覚的な効果をどう出すか、細部にわたり、考える。本番のコンサートは想像以上に素晴らしかった。中島みゆきはシンガーソングライターという認識だったけれど、この人のハートは、ロックなんだと思った。強い喉だ。そんなに強く出しているように見えないのに、声がどんどん出てくる。メッセージを歌で伝える。誰かに似ている。あっ、と、思った。シャンソンエディット・ピアフに似ているのだ。

 

SING(吹替版)」

登場人物(動物)がそれぞれにチャーミングで、楽しい歌が沢山出てくるし、吹替の声優陣の歌も聞き応えある。

笑い、涙、感動、が詰まった楽しい映画。

 

La La Land

歌、ダンス、タップ、ピアノ演奏、演技、と総合的にこなすミュージカル俳優の幅の広さがすごい。

アメリカのエンターテインメントの厚みを見せつけられる。

 

BOOK

 

騎士団長殺し(上・下)」

通時と共時が複層的に絡まって、まさに旋回する物語になっている。読み終えるのが惜しくて、ゆっくりと味わった。文学と芸術の融合、平成ルネッサンスとでも言おうか。

 

「死に逝く人は何を想うのか 遺される家族にできること」佐藤由美子著 ポプラ社 2017

音楽療法士の方が書かれた本で、「看取り」ではなく「見送り」というとらえ方は死をとても自然に受け止めさせてくれます。

 

「学校では教えない“お金”を生む発想法」岡野雅行

「世界一の金属深堀プレス職人」として、「他人のやらない仕事」を数多くこなしてきた岡野さんが初めて明かす、上手なお金の稼ぎ方をまとめた一冊が出ました。

冒頭で「自然とお金が集まる人の共通点」として挙げているのは、一つ一つの仕事を誠実にこなしている人。安い仕事だからと言って、やっつけ仕事にしたり、手を抜いたりしない人のことだと言いますが、もう一つの共通点として「容量が良いこと」を挙げています。

容量が良いといっても、やっつけ仕事にしたり、手を抜いたりすることではなく、状況に応じて的確に対処できることを言うのであって、先を予測して常に準備ができていることを言うのだそうです。もちろん、その反対は土壇場になって慌てる「泥縄式」を言います。

長唄や声楽の例えれば、これから歌う題材のストーリーやイメージを予め描いておき、歌い出しの前に息を吸い込んだら、出だしのイメージを確認しつつ、吸い込んだ息を下に沈めるように意識して心を落ち着け、後は自然に歌い出せるような状態にしてから歌い始める。そうすれば、無理に力まなくても普段の安らいだ状態での呼吸に乗って声が出る。こんな解釈で練習を重ねれば良いのだろうと考えています。

後、もう一つは普段から繰り返し練習することが、不安を解消する意味で何より大切であり、今までそれが不十分だったことが最大の反省点であると感じました。

 

VOICE CULTURE CLUB

器の大きさの話など、思わず膝を叩きたくなる記事が満載です。

結局のところ、表現者は自己の心と肉体に対して、そして物理的な場に於いて、忍耐ある開拓者でなければいけないということだと思います。それがイコール、主体性とは何であるか、ということの答えにもつながってくるのだと思います。

最近気付いたことは(気付きが遅すぎるのですが)、もっとも厳格なコーチは自分自身でなければいけない、ということです。自分を客観的に観て、シンプルなまでに理想を突きつけ、鍛え上げられるのは自身以外の何者でもない。

この年齢でそれに気付いてどうするんだ、という思いもありますが、しかし今日という日が始点であることも真実です。福島先生が書かれる内容は、励みになります。                     

 

EVENT

 

「名芸男子」

声楽とコントのコラボ、瀬戸市のイベントで偶然聞こえてきた歌声に耳をすますと、「千の風にのって」(声楽)だった。思わず足を止めて、聞き入っていると、コントが始まった。そのあとで訪れた工房で、瀬戸焼は陶器と磁器の融合から生まれたという話を聞いたのは偶然だったろうか。

 

草間弥生展」

生涯を通しての作品が展示されてあり、最近の作品も意欲的に創られているところがすごいと思った。年を重ねるごとに色彩感覚がだんだん鮮やかに変化しているところが印象的。

ニューヨークのパフォーマンス映像で猫に水玉のシールを貼り付けていた「クサマネコ」は面白かった。(今やったら動物虐待になるかも知れませんが・・・。)

 

「ジャズピアニスト大西順子トリオライヴ@Body&Soul」 引退後やはり復帰して、大西さんならではのダイナミックなリズムチェンジ、めまぐるしい指さばき、これぞJazz の醍醐味、というライヴであった。

 

「耳よりな…朗読会6スケルツォ」河崎早春・松尾智昭)

久保田万太郎作の「三の酉」をこのコンビで聴いたのは三回目か四回目、今回の出来はとても良かった。幸薄い女性「おさわ」がすらりとそこに現れ、逆に「わたし」はおさわの、なにか隙間を必死で埋め尽くすようなおしゃべりを、一歩引いて受け止めている。「わたし」は静かにそこにいることしか出来ない。そこにいることが「わたし」の精一杯の愛情である、と、感じられる。お話が終わると、何か夢から醒めたような、良い話を聴いたと思った」

 

2020年笑っているのは誰?」ナムジュン・パイク

ビデオアートの父と呼ばれるナムジュン・パイク氏の活動をたどる展覧会の後編。助手に旅をさせて、いろいろなものを買ってこさせて、それを展示するという作品があったのだが、それはの本人の作品なのか、という事に疑問を感じた。外国で誰かの作ったものを買ってきて、それをディスプレイする。もしかしたらディスプレイしたのも助手かもしれない。そうなると何を持って本人の作品と言えるのだろうか。結局、言葉で説明をできる人が世の中強いのだろうか。他者に発信していく中で言葉として説明していく大切さも確かにあると感じる。しかし、説明してしまうことのつまらなさも感じる。大雑把にまとめてしまうと、バランス感覚が大事なのだと思う。

 

David Bowie is...

予習として鑑賞した映画「David Bowie is」では、英国で同展覧会が行われた際のドキュメンタリーで、会場の展示物からボウイの生涯の活動をなぞるものだった。

たくさんの当時の映像がみられることも興味深かったが、私は見に来た人たちの言葉がとても面白かった。若い人からおじいちゃん、おばあちゃんまで、とても見た目の派手なおばあさんや普通のおじさん、実にいろいろな人が見にきているのが印象的であった。自分自信の思い出と重ねながらボウイへの思いを語る姿がとても愛おしいものに感じた。

 

OTHER

 

スティーブ・ジョブズのプレゼン」

私が思うジョブズのプレゼン力で群を抜いているのが声の力です。

ほとんどが40代や50代の映像ですが声に熱がこもっていて第一印象では若者が話しているように感じます。

この声の力が人の心を揺らしているのだと思います。

タメや間なども大変勉強になります。

 

「芸能界最強の俳優 渡瀬恒彦さん逝く」

悲報を聞いたときには、まさかと思いました。

芸能界で「最強」と謳われた男が、こんなに呆気なく逝くとは!

ケンカの強さ、仲間思いの義侠心、幅広い演技力、どれを取ってもまさしく「最強」の役者でした。

実兄の渡哲也さんでさえ、「勉強でもケンカでも、弟の方が上手でした。」と述懐するほどだったと言います。

個人的に印象に残っているのは、アクション刑事ドラマ「大激闘 マッドポリス80」で主役として演じたマッドポリスのキャップ・氷室健一の役でした。巨大犯罪組織に少数精鋭で立ち向かう部隊の指揮官として、「理想の上司像」とも言える人物を熱演していました。

ご冥福をお祈りいたします。