「茶摘」051

尋常小学校唱歌と中の一曲ですね。この曲は名曲だと思いますがそれ以上にとても歌いやすいです。ある程度スピード感もありますしリズミックなので日本語のテキストとしては声をだすためのエチュードとしても適した楽曲だと思います。
二小節が一つのフレーズのようになっていますがフレーズの音の始まりが有声子音からはじまることが多いので子音からその音程で歌うように意識すると音感のトレーニングとしてもいいですし声も明るくうたいやすくなると思います。
「う」の母音が多いのも特徴で「う」は日本語の会話の「う」ではなくアルファベットの「U」を意識してトレーニングしましょう。Uで歌えるようになってくると声のトレーニングとしてはとても効果が高いです。
Uの母音は声のトレーニングとしてはとても素晴らしい母音でA(あ)などよりも前は狭く奥は広い母音なのでフォームを整える上で欠かせない母音です。日本人が外国人に歌を習って一番直される母音だとおもいますね。
なんにせよテキストとしてとても優れた曲なので何回も繰り返し歌ってみてください。([E:#x266D]Σ)

この曲は似たような音形とリズムが繰り返されています。音程を正確に歌うための練習曲として用いると良いでしょう。ずり上げたりずり下げたりといった歌い癖の強い人は、言葉と音のズレがないよう心がけて練習しましょう。また、クレッシェンドが多用されていますので、効果的に用いて、歌いやすくしていくとよいでしょう。
なお、歌いだしてから6小節目「やーまにの」の部分の音程を注意して歌いましょう。この部分は間違って憶えている人も多いようです。
曲の特徴をみていきましょう。まず、この曲の歌詞のリズムは「なつも ちかづく はちじゅう はちや」「のにも やまにも わかばが しげる」のように「三・四・四・三」のリズムと、「あかね だすきに すげのかさ」のような「三・四・五」でできています。また、ト長調で音階は「ヨナ抜き音階」なのでCとFisの音は出てきません。
この曲の歌詞の部分部分に日本民謡を用いています。「あれにみえるは ちゃつみじゃないか あかねだすきに すげのかさ」の部分は、山城国綴喜(つづき)郡宇治田原村(現・京都府宇治田原町)の茶作唄(摘唄)、「むこうに見えるは茶摘みじゃないか。あかねだすきに菅の笠」を用いて、「むこうに」を「あれに」変更した上で採用し、二番の「つめよ つめつめ つまねば ならぬ、つまにゃ にほんのちゃにならぬ」の部分は、大和国添上郡田原村(現・奈良市)の茶作唄(摘唄)、「お茶を摘め摘め摘まねばならぬ、摘まにゃ田原の茶にならぬ。」を用いて、最初の「お茶を」を省き、「田原」を「日本」に変更したといわれています。([E:#x266D]Я)