「みかんの花咲く丘」 009

大事なことは、この曲は8分の6拍子であるということです。8分の6拍子は2拍子で感じることが基本ですのでその点はいつも頭に入れて歌ってください。拍子感というのはとても大事で、拍子感のない歌は聴きづらいですし実際に歌いづらいものです。
あくまでも私の経験上でもアドヴァイスです。日本語に限ったことではありませんが特に日本語は喋り過ぎないようにしたほうがいいです。口を動かしすぎず下顎も楽にして喋ることよりも流すことを意識するとよいでしょう。
後半音域が高くなってきますが、音量や力、勢いでもっていこうとせず下顎を固めずに流す形で歌ってみましょう。音程が高くて裏返ってもあまり気にせず、むしろ流すことを常に意識することが大事です。高い音を頑張って力んでだしていくよりも、力まず流して裏返ったほうが先があります。
力んで出している間は、あまりよい方向へはいかないでしょう。
(♭Σ)

 

この曲は全体的に音が低いので、低音域を出そうとして力まないようにしてください。まずは単一母音で練習しましょう。母音は「オ」が望ましいと思います。
歌唱上の注意点は、最初の4小節をとにかく真っ直ぐ前に息を流すように平ら且つレガートに歌うように心がけましょう。具体的にどういうことかというと、音程によって細かくポジションが変わり過ぎないという意味です。たとえば、最初の「ファー ファ レー ミ ファー ソ ファー」がデコボコしないように、とにかく遠くに向かって力まず平らに滑らかに歌うように心がけてください。
同様に「ファー ファ レー ミ ファー ソ ファー シラドシー ソ ファー」を一息で歌うような息の流れ、そして音が変わってもデコボコしない滑らかさが重要です。
そのためには、口が縦に開いていることが必要不可欠です。
以降も同様に滑らかにまっずぐ前に向かって息を流すように歌いましょう。特に右側のページの後半部分は、音が高くなりますからポジションが浅くなりやすく、音がデコボコしやすくなります。とにかく滑らかに歌うように気をつけましょう。
これができるようになったら、ことばをつけながら練習します。最初のことばが「みかん」の「み」ですね。「み」、つまりイの母音は口が浅く横に平べったくなりやすいので、注意が必要です。「オ」で練習したときのような声の通り道で歌えるように、できるだけ口を縦に開いて発音できるように慣れましょう。「イ」と「エ」の中間音のような発音になっても構いません。まずはそれで良い声の通り道の癖をつけましょう。最初は違和感があると思いますが、意外と「イ」と聞こえるものです。そして、「m」の子音で響きを鼻に集めすぎないように気をつけましょう。最初は口の脇を手で押さえながら練習すると、感覚がつかみやすくなると思います。
歌いだしたら、できるだけ口の形が変わらないように気をつけましょう。一語一句はっきりとしゃべるように口を動かしすぎると、レガートさが失われてしまいます。
以上のような点に注意しながら、発声面では滑らかに美しく、そして、詩の内容に合った楽しく明るい表現を心がけながら歌えるようにしましょう。(♭Я)