「赤い靴」061

童謡ということもあるのか、歌う部分は、わずか8小節しかなく、かなり短い曲ですが、とても印象的なつくりになっていて、歌詞の中に繰り返し出てくる「異人さんに連れられて行っちゃった」という言葉や、短調ということもあり、少し怖くて物悲しい雰囲気を感じさせます。テンポはゆったりとしていて、歌の前半4小節を模した前奏に続いて、曲中の最低音「ド」で始まるなだらかに上行したフレーズが、いったん中間の「ソ」を中心に漂った後、軽い跳躍を繰り返して、最高音に近い「レ」のロングトーンで、前半4小節が終わります。後半4小節は、前半最後の「レ」のすぐ下の音の「ド」から始まり、なだらかでもなく、跳躍でもなく、中間音の「ソ」まで下降してきて落ち着いた後、最低音の「ド」に跳躍して終わります。これらの動きをよく感じながら、綺麗なレガートで歌えると、とても聴き映えのする曲になります。繰り返し出てくる、歌の5小節目(曲の9小節目)の「異人さん」は、何気なく歌うと「ん」のせいで、フレーズが不自然に切れることになりがちなので、気をつけましょう。「人(じん)」も「さん」も、4分音符の頭で言い切るのではなく、8分音符ふたつに「じ・ん」「さ・ん」と分けるように歌うと、切れ過ぎずに済むでしょう。歌詞の4番の終わりから7小節目も、同様です。([E:#x266D]Ξ)

今の子供達はあまりなじみのない曲かもしれません。私が始めて知ったときはちょっと暗い気持ちになる曲だっと記憶があります。音符だけみると単純ですがこの歌は歌い方によってはとてもドラマティックな曲に変化するのでそこがおもしろくもあり、難しくもあります。
歌詞も単純なわりに暗さと重さをもった歌詞なので少し沈んだ気持ちにもなりやすいです。
この曲をうたう上での注意点はいかに大きなフレーズで歌えるかということでしょうか。なるべく「赤い靴はいてた女の子」までは一息でいけると演奏効果が高いなと思います。ということは一番だけでならブレス一回でうたえてしまう曲ということです。
それだけにどう表現するかは歌い手の力量が問われますがしっかりと歌いこんでいってほしいと思います。
([E:#x266D]Σ)

日本語をつかってのレガートの訓練に向いている曲です。2小節を一つのフレーズと捉えて切れ目なく歌っていくと発声的な訓練としても使いやすい曲だと思います。
母音の流れに意識をもって、子音は添えるくらいのイメージでいいでしょう。言葉をたてすぎると上行形のレガートが歌いづらいので注意してください。「おんなのこ」「いじんさん」など「ん」で動くフレーズが多いのも曲の特徴です。母音と同じレベルで「ん」が言えるようになることも重要な要素なのでその訓練になると思います。
前の母音の支え、声のポジションを意識しつつ「ん」で声がぬけたり弱くならないように注意しましょう。
逆に母音をつなげるのが苦手なかたは「ん」が言えるポジションで母音を歌う訓練をするのも一つのやりかたです。「ん」はハミングの訓練でも多く使われる子音ですので鍛え方によってはとても重要な発声のトレーニングに変わりますのでこの曲をトレーニングメニュとしてやってみてもいいかもしれません。([E:#x266D]Σ)

ハ短調で暗い感じがする曲ですが、音域もそれほど幅広くなく、初心者でも比較的歌いやすい曲だと思います。また、年配の方であれば、比較的馴染み深いのではないでしょうか。歌い方としては、4小節をひとまとまりだと思って、そのひとまとまりのフレーズをできるだけ滑らかに歌うことを心がけましょう。そして、この曲でもっとも難しいと思われるのが、「いじんさん」歌詞を、いかに正確にきれいに聞こえるように発音し歌うことができるかということだと思います。気をつけなければ「いいじいさん」や「いじさん」に聞こえてしまうからです。「滑らかに歌う」ということにもつながる話ですが、できるだけ母音を長めに充分保って歌うことを心がけましょう。「いじんさん」をローマ字で分解して「IJIN-SAN」と考えます。これのそれぞれの母音に当たる「I」と「A」をできるだけ長めに充分保って発音するように心がけましょう。これは他の部分にも共通して言えます。母音を充分に保って歌う練習の課題曲として、この曲を用いるといいかもしれません。([E:#x266D]Я)

この曲は、音域もあまり高くなく、音の起伏も少ないので、滑らかに歌うための練習曲として用いるのに適していると思います。4小節をひとまとまりとしてフレーズを考えると歌いやすくなるでしょう。音符では四分音符で書かれていますが、歌詞が詰まっている部分が何か所かあると思います。それらの部分に関しては八分音符で割るように歌うといいでしょう。この曲は「異人さん」という歌詞が非常に印象的ですね。しかし、現代の人にとってはあまり耳慣れない言葉です。よく聞き間違えられるのは「よい爺さん」です。それはそれでハッピーエンドなお話のように感じますが、ここでは「異人さん」。つまり、外国人に連れられて、横浜港から船で旅立っていくという内容ですから、お話が変わって聞こえないように気をつけましょう。「ん」という言葉は音が保たれる言葉です。この「ん」が抜けて聞こえてしまうときに、「よい爺さん」になってしまうと思います。気をつけましょう。([E:#x266D]Я)