「手のひらを太陽に」 039

作詞者は「アンパンマン」のやなせたかしさんですが聞きやすい、聞き取りやすい、歌いやすい曲だと思います。でも冷静に歌詞を読むとかなり深い歌詞だなと思ってしまいますね。「いきているからうたうんだ」「いきているからかなしんだ」なんてどこか哲学的な要素も強いなと感じます。
基本的には元気に歌ってほしい楽曲ですが私なら
「僕らはみんないきている」はかなりリズミックに跳ね気味に歌い「いきているからうたうんだ」はかなりレガートで歌うと思います。
「手のひらを太陽に透かしてみれば、真っ赤に流れる僕の血潮」はレガートを意識して声も大きくだしていきます。
「みみず~あめんぼだって」はまたリズミック。「みんな~友達なんだ」はレガートで歌うでしょう。このようにリズムを聞かせる箇所と声を聞かせる箇所をかえてあげると大人が歌っても素晴らしい歌になると思います。これを全て跳ねてうたうと子供っぽい歌になってしまいますからね。(♭Σ)

「ぼくらは」「うたうんだ」「わらうんだ」の1拍目が付点音符の弾んだリズムで生き生きと楽しそうな感じを表しています。そして歌詞の中にたくさん出てくる「いきている」は2つの表現になっていて、一つ目は1拍目が付点音符の弾んだリズム、そして「いきている」の<い>を臨時記号で半音進行にし、元気に生き生きとした様子を表現し、二つ目は「いきて」をシンコペーションのリズムで変化をつけ、“生きている”という言葉を更に強調しています。
続く、「てのひらを」「ながれる」「ぼくのちしお」もシンコペーションのリズムや、弱起(裏拍から始まる)を使い、躍動感を表しています。
「てのひらを」や「まっかに」の箇所は少し高めの音で空を見上げている様子を表しています。伸びやかにうたいましょう。「みみず」「おけら」「あめんぼ」「とんぼ」「かえる」「みつばち」の言葉も流さずにひとつひとつ、愛情を持って、コケティッシュに歌いましょう。
曲全体がリズムで言葉の訴えたいことを表しているので、付点やシンコペーションのリズムをしっかり感じながら、楽しくうたうことが大切な曲です。(♯μ)

この曲は比較的幅広い年齢層に浸透している曲ではないでしょうか。この曲の作詞をしたのは、アンパンマンでおなじみのやなせたかしさんです。近年お亡くなりになってしまいましたが、やなせさんは、漫画家、童話・絵本作家以外にも、作詞(詩)家として数々の詞・詩を残されています。アンパンマンで使われる曲のおおよそがやなせさんの作詞によるものですし、アンパンマン関連やこの曲以外にもテレビで使われていたものも多くあります。また、木下牧子さんが作曲した歌曲にもなっており、「さびしいカシの木」や「ロマンチストの豚」などは比較的演奏会でもよく取り上げられる作品です。このように、漫画・童話・絵本・テレビ主題歌・歌曲など様々な作品が遺されています。
この曲の詞をみると、非常に元気に満ち溢れていますね。冒頭の演奏指示に「あかるく」と書いてあります。少年のような心で元気たっぷりに歌いましょう。書かれている詞の内容は至極当然の内容です。その当たり前すぎて目の向かないところにあえて注目するということが非常に重要です。大人になると、そんなことを考えることもなくなってしまうようなことですが、小学生に戻ったような純粋で元気たっぷりに歌うこと、難しい課題かもしれませんが、これが最も重要な要素だと思います。(♭Я)