「赤とんぼ」 005

私はこの歌の楽譜をこの本で初めてみました。こうして実際音符にしてみてみるととても難しい曲だということに気づかされます。5~6小節だけでとても嫌な(難しいという意味で)音域の広さだなと感じさせます。特に高い音でのエ母音はうまくジラーレしないと平べったい薄いだけの音になりがちなので注意がひつようです。出だしの♭シはウ母音で始まることが多いです。低い上に鳴りづらい音域なのでトレーニングが必要な箇所といえるでしょう。童謡のように感じるこの歌が楽譜にして正確にみてみるととても難しい曲へと変化しているのはとても面白いです。ここまで音域も広くなってくると単純に童謡の粋を超えているようにも感じられます。ぜひ丁寧にトレーニングしてマイクなしでも歌える身体と声をつくって欲しいと思います。(♭Σ)

 

この曲はたった8小節の旋律で書かれているシンプルな曲です。だからこそ、細かく様々なことに注意して歌わなければなりません。
まず、冒頭の「ゆうやけ」は、「ゆ」が低いからといって力みすぎないようにしましょう。程よく胸の振動を感じられるように出すのがよいと思います。具体的には、「ゆ」と思わずに「よ」と思って、遠くに聞こえるコソコソ声のようなイメージをもって発声できると、声が浮きにくくなると思います。
その先は、音の起伏がありますが、それにつられてデコボコせずに、冒頭の「ゆ」で出したところから声が浮かないようにベタァーとレガートに歌いましょう。この上ないほどの滑らかさが必要です。
とくに「こやけの」の「け」の部分で声が浮きやすくなります。声が浮くと、この部分だけ薄く聴こえてしまいます。その前の部分から連続して滑らかに歌うように心がけてください。滑らかに歌えれば、声も浮きにくくなります。
そして、ダイナミクスを見ると、<>が書いてあります。この<>を生かして歌うと、程よく息が流れるので歌いやすくなると思います。
あとは、音の起伏に惑わされて、口の形もデコボコしないことが肝要です。一定の広さを保って歌えるようにしましょう。(♭Я)