「椰子の実」 006

この歌はイタリアのベルカントのような曲です。絶対的なレガートで各フレーズを歌うようにしましょう。
レガート唱法というのは日本人にとってとても難しいものです。外国語のように長母音などがあればよいのですが、アクセントも高低ですし各言葉に子音が入っているので、とても難しいです。
レガートにうたうためには、まずたっぷりとした吸気が必要です。この歌の場合、比較的テンポがゆっくりなのでブレスも吸いやすいと思います。しっかりと吸気をおこない、フレーズを歌っていきましょう。
呼気を横隔膜で支えて歌うことができれば自然とレガートになっていくのですが、歌い手自身も常にレガートであるということを自覚して勉強なさるとよいかと思います。(♭Σ)

この曲は、「音程を正確に歌うこと」、「滑らかに歌うこと」、「強弱記号を有効活用して歌うこと」、「口の形をあまり変えないで歌うこと」を心がけましょう。
細かく見ていくと、この曲は「一点ホ」~「二点ホ」までの1オクターブの中で旋律が書かれていますが、細かく音が動きます。最初に練習する時は、あせらずにゆっくり正確に音をとる練習をしましょう。一音一音正確に。このような地道な練習を行っていくことが、正確な音程で歌う技術を習得することにつながります。
そして、浅い声ではなく、しっかりと身体で支えられた声で滑らかに歌うように心がけましょう。
強弱記号を見てみると、この曲の場合、非常に細かく<>(クレッシェンド、ディミヌエンド)が指定されています。特に<(クレッシェンド)を意識して歌うと、自然な息の流れを作りやすくなると思うので、歌いやすくなると思います。
そして、この曲のように細かく音が動く曲は言葉も多くなります。だからと言って、一語一語はっきり喋るように歌ってしまうと、口の形が変わりやすくなり、発声の便宜上、非常に不利になります。先ほど述べた「滑らかに歌う」ということと合わせて、口の形をあまり変えないように(できるだけ縦に開いていることが望ましい)しながらレガートに歌うように心がけましょう。(♭Я)