「浜千鳥」055

曲は知っていましたが始めて楽譜を見ました。実際に楽譜を歌ってみて最初に感じたことは「何て難しい曲」でした。単純すぎるのです。発声だけの目的で使うのであればコンコーネの1番~5番までに近いものがあります。しかしこの曲は伴奏が加わると突然名曲へと変化してくるので曲の力が強いなという印象です。単純な曲ほど歌い手の実力がばれるのでよい課題だと思います。
まずは全体がレガートな比較的ゆっくりな曲なのでブレスのコントロールが特に重要だと思います。優しく、よく開いた喉を常に意識することが重要です。あとは力まない支えを大事にトレーニングしましょう。
もし歌ってみて難しいと思うかたはコンコーネの2番あたりをよくトレーニングしてみるといいと思います。同じような雰囲気の音型やリズムが出てくるのでいい練習になるでしょう。([E:#x266D]Σ)

この曲はゆったりとした波の揺らぎのような伴奏を感じながらレガートに歌うと海の上で飛ぶ浜千鳥の情感を出せると思います。
上行形の「あおいつきよの」は静かに歌いだし、少しずつふくらませ、寄せる波のイメージで歌い、下行形の「はまべには」少しずつ静かに歌い、返す波のイメージで歌います。次の「おやをさがして」「なくとりが」も同じように歌います。「はまべ」の“べ”は2つの音を歌いますが、音をたどって、<べ・え>と歌わないように注意しましょう。次の「なくとり」の“な”も同じです。<な・あ>とならないようにレガートに歌いましょう。
「なみのくにから うまれでる」の箇所はろうろうとしっかり歌います。
「ぬれたつばさの ぎんのいろ」の箇所は前半の上行形・下行形と同じように歌いますが、最後はだんだんゆっくりと、そして静かになりながら、最後の音をたっぷり伸ばします。
2番は1番よりも少し、しんみりした雰囲気で歌うと、詩を表現できると思います。([E:#x266F]μ)

曲調をみてみると、非常にメロディックで歌いやすく書かれており、初心者でも取り組みやすいでしょう。クレッシェンドを効果的に用いて歌うことで、歌いやすくなり、表現もしやすくなると思います。伴奏は分散和音を用いて、波のうねりを表現しており、青い月夜の浜辺をさまよう千鳥のさびしい美しさを表現しています。
([E:#x266D]Я)