「翼をください」 021

この曲ほど多ジャンルの歌手に歌われる日本の歌も珍しいと思います。プロから小学生まで歌いますし演歌歌手もポップス歌手も声楽家も歌い、誰もが一度は耳にしたことがあるメロディだと思います。いろんな歌手がいろんなパターンで歌っていますから、正解がないのも有名な歌の難しいところです。
Aメロとサビで音域が全く違うのがこの曲の一つの特徴です。
またサビは伴奏もリズミックになりますが前半はとても静かなのも特徴ですね。案外サビよりも前半のほうが難しいです。一般のポップスに比べてフレーズも長いので息と声のバランスをよく考えて歌わないといけません。前半で頑張りすぎると後半が大変ですし前半伴奏をみても決して頑張るメロディではないので注意しましょう。
サビは前半に比べリズミックですがビートを出しすぎるとリズムが出すぎて言葉も旋律もわかりづらくなるのでトレーニングとしては一度なるべくレガートで歌う練習をしたほうがいいと思います。(♭Σ)

歌いだしの「い」、強く歌ってしまうとメロディーの流れがスムーズにならなくなってしまうので、柔らかく歌い出しましょう。続く3連符はリズムを刻んでしまいがちですが、レガートに「わたしの」と言うことばメロディーに乗るように歌います。
次のアーフタクト「ねがい」の「が」は鼻濁音です。1拍目ですが強注意して歌いましょう。
同じメロディーの「かなうなら」「つばさがほ」「しろいつば」「つけてくだ」四つのフレーズ、低いミの音は頑張らずにサラッと歌うと音が跳躍しているメローディーが歌いやすくなります。
サビにはシンコペーションのリズムが入り躍動感のあるメロディーです。大きな空に飛ぶ鳥をイメージしながら歌いましょう。
フレーズの多くがアーフタクトで始まりますが、全体的に1拍目は強く歌わない方が日本語がきれいに表現できます。但し、「大空に」の「お」だけはしっかり歌いましょう。(♯μ)

この曲を歌う上で注意していただきたいことは、「音価」(その音符が持っている音の長さ)を十分保って歌うということです。
例えば、冒頭の「いまーわたしのー」の部分は、多くの場合、「いま」の「い」で少し跳ねてしまい、「まー」と伸ばしている間に尻すぼみになっていくと思います。
「いまーわたしのー」を一息で歌うつもりで、切れ目が無いくらい滑らかに歌いましょう。
同様に「ねがーいごとがー」も「がー」で伸ばしている間に衰退しないように、また、「いごと」の部分で跳ねないように、「ねがーいごとがー」を1フレーズで滑らかに歌いましょう。
「かなうーなーらばー」も「なう」で跳躍がありますが、「かなうーなーらばー」を一息で、音が上がっても跳ねないで、音を高く捉えないで、よりいっそう滑らかに歌いましょう。「つばーさーがーほしーいー」も同様に。
以後も同様のフレーズは同様に気をつけて歌いましょう。
「このおーぞらーにーつばさをーひろげーとんでーゆきたーいーよー」は、八分音符で跳ねすぎないように気をつけましょう。
最初のうちは厳しいかもしれませんが、よくブレスを吸って、一息で歌うくらいの滑らかさがほしいです。八分音符で跳ねてしまうと、息を無駄遣いしてしまうので、どんどん苦しくなって行くと思います。以後も同様に。
音符の持っている長さを十分に保つこと、そして、滑らかに歌うことでロスを減らし、より魅力的な歌唱になって行くと思います。
(♭Я)