メルセデス・ソーサ

「風の中の魂を歌おう 自由の雨を歌おう」
―風の魂(Almas En El Viento)―より
彼女の歌を聞くと生命というものを感じる。
尊く深い言葉の数々が、つねに彼女の歌に託されてきた。
パチャママ― 大地の母と呼ばれラテンアメリカで今も絶大な人気を誇るアルゼンチンの歌い手、メルセデス・ソーサ。自由を求める国民の心を掴み、そのあまりの影響力は激動の時代にあったアルゼンチンで、国の政府の圧力から亡命を余儀なくさせられていた。
彼女の歌声を聞くと、暖かい土の上にいるような気持が蘇ってくる。生まれたばかりの状態に戻っていくような、自然の一部に、地球や宇宙を呼び覚ましてくれる莫大な力を感じる。そしてその芯の澄んだ声が、大地の風にのってはるか遠くにいる聴き手の心に入ってくるように、心を洗われ、やわらかくあたたかい一寸の光のように導かれていく。彼女の歌の力は不思議である。そして聴き手は歌い手から多くを無意識に感じる。音楽家として、芸術家としてなくてはならない偉大な存在であった。
彼女の真の凄みがびりびりと感じられる曲は挙げきれないほどたくさんあるが、個人的には、特に当時64歳の時のアルバムAl
Despertar(目覚め)が、本当に力強く衝撃的であった。デビュー前、故郷の山から都会の街におりてきて、髪を振り乱しながら、太鼓をたたいて路上で歌っていたと当時の人々がドキュメンタリーで語っていたが、その姿も想像できるほど、パワフルで深い、胸を打つ歌声が時に激しく、時にやさしくあたたかく聞こえる作品の数々である。
 矢野顕子
通っていた学校にあったピアノ教室で、厳しいピアノレッスンをうける。
その頃から、「その日起きた楽しかったこと」など、即興で演奏したり、発表会で楽曲をアレンジしたりしていた。
このボーカリストは、自信が奏でるピアノが身体の一部、感情その物と思わせ、ピアノと人と2つでなく、ピアノと人が一体化してる素晴らしいミュージシャンの上、その自信が奏でるピアノにのせて歌う歌声や感情に、カッコつけたり、良くみせようなど、偽りの一つもなく思ったままを表現してそれが自然と声としてもれて歌として聞こえるというボーカリスト
そのような表現力はもちろん才能がゆえにあるのもたしかですが、とてつもないボーカル技術なくしては表現ができない素晴らしい個性あふれるボーカルは外に類がないボーカリストです。
一音一音出る音に対して、自分の声を音にたいして合わせて表現する、この注意深さと視点と発想がボーカルの個性あるポイントになると思います。
なので、曲の強弱がある中で、ボーカルの声もその強弱とケンカにならぬように、ポップではあまりみられないほどの音量の強弱をつけて表現をしています。それが抑揚につながって聞こえるのと、期待を裏切るように、曲中の抑揚のパターン化をわざと崩し、それが聞き手をビックリさせ、感動につながり、心に響く、残る説得力を生み出していると思います。
この文章ではとても表現できない、このボーカリストの魅力を、楽しんで聞いて頂きたいです。