ミーナ

「君に涙とほほえみを~Se piangi se ridi」
「いま私らしく~oggi sono io」
イタリアの女性歌手、日本で言うと美空ひばりという存在でしょうか。若い頃にデビューし、数々のヒットを飛ばし、映画にも出演しています。日本では「砂に消えた涙」という曲が有名で、日本人歌手の多くがカバーをしています。
そんなミーナですが、最近自分も知って驚いたのですが、38歳で第一線(テレビやライブ)から退いていて、去年70歳を迎えたということです。70歳でアルバムも発表しているというのです。テレビでその歌声を聞きましたが、渋みを増して深い声でした。ぜひ聞いてみたいアルバムです。
若いときも張りのあるよい声で、身振り手振り、感情たっぷりに歌っています。イタリアンポップス集やカンツォーネ集で聞くことができます、中でもお薦めが、「君に涙とほほえみを~Se piangi se ridi」です。とても有名な曲ですが、非常に音域も広く難しい曲なのですが、ミーナの歌を聞くと、難しい曲とはまったく感じられず、裏声も使いながら、情緒たっぷりに歌っているのです。こんなふうに歌えたら理想ですね。
さらに70歳からさかのぼること10年前のレコーディング風景の映像を見ることができ、引退中唯一公開された映像だそうで、その中で1曲「oggi sono io~いま私らしく」という曲を歌っているのですが、これがとても素晴らしく、映像で見る限り、さらっと準備をして、さらっと歌い上げ、さらっと「ありがとう」なんて言いながら歌い終わり、リラックスしながら歌っているにも関わらず、素晴らしいできなのです。
彼女はパパラッチから逃れるため、また家族との生活を大事にするために引退したのですが、その中でいろいろな悩みや葛藤もあったと思います。しかし現在に至るまで、年2枚ペースで100枚以上のアルバムを発表している姿、もろもろのことを感じながらこの曲を聞くと、彼女の人生、そして生き様、いろいろなものを吹っ切って今に至る思いが感じられて感動してしまいました。もちろんそういった背景だけではなく、実際に歌として聞いても、まったくの衰えがなく、高音をシャウトしている61歳には「ブラバー」と賞賛さえしたくなります。この「oggi sono io~いま私らしく」は、もちろんアルバムで聞くことができます。