ブルーススプリングスティーン

彼の歌声を知ったのは、「ウィアーザワールド」のプロモーションビデオを観たときです。当時中学生だった自分が洋楽を聞き始めたころだったと思います。その流れでそのビデオと出会ったのです。
前年だったか、イギリスで同じような企画で「バンドエイド」という名前で曲が発表されていました。クリスマスの時期で、クリスマスソングだったと思うのですが、イギリスの有名アーティストたちが集まり歌う様はこども心に感動的でした。そのアメリカ版が「ソングフォーアフリカ」で歌われた「ウィアーザワールド」だったのです。
このプロモーションビデオではメイキング映像があり、特にそのメイキングのほうを何度も観た記憶があります。
中でもブルーススプリングスティーンはとても印象に残っています。ツアー中で寝ないで駆けつけたということで、話声はガラガラ声、もともとこの声なのか、不調でこの声なのか、しかし歌声を聞いて、そんな不安は吹っ飛びました。とても力強く太い声、そしてしぼり出すような歌い方は、心揺さぶりました。
「ウィアーザワールド」の中では、スティービーワンダーと掛け合いで歌う場面があるのですが、スティービーの高い軽やかな声と、ブルーススプリングスティーンの深く力強い声がとても対象的で、ブルースの声をより引き立たせていました。のどを酷使しながら、力強い声でシャウトしまくるのですが、こんな歌い方を日本人が真似したら、のどを痛めてしまうのではないでしょうか。しかし彼は天性の才能で音楽として成り立たせてしまっているのです。
また彼のシングル曲「ボーンインザUSA」も迫力があり、一度は聞いてほしい楽曲です。単純なメロディの繰り返しなのですが、そこに彼のメッセージが込められていて、聞き進めるうちに、彼の歌の世界に入り込んでしまいます。ギター片手に拳を振り上げている姿はとてもかっこよく、しかし真似しようにも真似できない彼の声やメッセージに憧れを抱きながら観ていた記憶があります。
「ウィアーザワールド」のメイキングビデオも、「ボーンインザUSA」も、ユーチューブで観ることができると思います。また「ウィアーザワールド」のメイキングビデオではブルースやスティービーの他にも魅力的なアーティストがたくさん参加しています。そういった多くのアーティストのスタジオ収録での姿も見ることができます。お勧めです。