日本の歌手について(1)

というか、今ポップスの世界では厳密な意味で「歌手」といえる存在がどんどん居なくなってきているような気がします。
バンド形体か、いわゆる「シンガーソングライター」という形をとるものがほとんどで、純粋に「歌」を聞かせるスタイルの歌手というのはほぼ「絶滅危惧種」になりつつあるようです。
いま気安く「ポップス」なんていいましたが、「J-POP」という言葉が生まれた時期は実はそんなに古いものではなく、せいぜい1980年代後半、いわゆる「バブル」といわれた時代であったようです。
では、それ以前はどうだったか、というと「ニューミュージック」「ロック」「フォーク(広い意味での)」などといわれていたわけで、時代順に並べると、「フォーク(広い意味での)」(70年代)→「ロック」「ニューミュージック」(80年代前半)→「J-POP」(80年代後半以降)くらいにザックリ分けられると思っています。
興味深いのは、時代が進むにつれて日本の大衆音楽は、むしろ「内向き」「後ろ向き」になってきていて、2010年現在、100万枚を超えるメガヒット曲はまったく見られなくなりました。
これにはさまざまな要因があり、簡単には説明できないのですが、一つは全体としてのCDをはじめとする音楽市場の低迷があげられるでしょう。
パソコン、携帯電話をはじめとするネットアイテムの進化と普及拡大によって、音楽はいまや個人個人の嗜好品になっています。
70年代においては「連帯」の証しであった音楽が、「バブル」を経て「アクセサリー」になった、という感じでしょうか。