No.270

DVDCINEMATV

 

メタリカ・スル―・ザ・ネヴァー」

メタリカというメタルバンドの映画。実際のライヴとフィクションを融合させたものです。バンドメンバーが自分と同じ人間に見えず、360度何処から見ても様になっていました。メンバーは全員既にいい年ですが、オーラを放つ格好良いおじさんたちでした。立っているだけで、一言言うだけですべて芸術でした。

 

そして父になる

カンヌ映画祭審査員賞を受賞した子供取り違え事件をもとにした映画。看護婦の妬みによる子供取り替えの為一生重荷を背負わなくてはならなくなった2組の夫婦の物語。間違えたまま6年もたってしまった。母親同志が泣きながら抱き合ったのはどうしようもない苦悩を表現していて涙を誘った。

福山雅治演じる仕事一筋で子育ては妻まかせの一流企業のエリート社員とリリーフランキー演じる小さい電気屋。規則をきっちり守らせ、整然とした静かな家庭と子供と転がるように遊ぶガチャガチャした家庭。後者は6人家族で笑いいが絶えない。交換して自分の本当の子供を試しに預かったが、あまりにも違う環境に育ったためかうまくいかない。昭和40年代に頻繁に起きた事件だそうだ。父親は強引にでも実の子を引き取ろうし母親は育てた子を慈しむそうだ。愛情は一緒に過ごした時間ということでこの物語も生みの親より育ての親ということか?

福山雅治の父親が子供と遊んだことのない仕事一辺倒から愛情あふれる暖かい父なっていくというのと極端に違う家庭の対比でわかりやすいストーリーではあった。随所にグレン・グールドによるゴルドベルク変奏曲が挿入されていた。

 

NHKEテレ日曜2100から2300までの時間帯にオーケストラ演奏もしくは日本の古典芸能(月一回)」

私はドラマ等をあまり見ないので民法番組をほんのたまに見ると「あっCMがある!」と軽い驚きを感じてしまう。ある意味テレビ断ちも感覚を取り戻すのにいいかも知れないと思っている。(会社等の話題についていけなくなるというデメリットもあるのでそこは天秤にかける必要があるかと思うが、限られた時間自分の有用だと思うところに使ったほうが有意義な生活ができると考えている)。ひまつぶしにテレビをだらだら見るのは有益ではないと思う。

 

 

亀田音楽専門学校NHKEテレ 

音楽プロデューサー亀田誠治氏がJpopについていろいろな切り口で解説する番組。JPOPについてそれほど興味はないが作曲・アレンジという面からはいろいろ仕掛けが理解できるのがおもしろい。

 

 

BOOK

 

古事記完全講義 」竹田恒泰

36時間講義を文字に起こしたものだが非常に臨場感があって面白い。擬音語擬態語の羅列なので、文章として読む場合は「何だこれは」と思ってしまう部分も多いが、竹田氏の講義風景までも想像できてしまうような雰囲気があってとてもいい。内容的には独断と偏見のかたまり!という感じ。むしろここまで言ってくれると、かえって、「気持ちがいい」とか「もう何でも言ってください」、と思わず言いたくなってしまう。もっとも、本というものはそもそも著者の主観が入るものであり、真に客観的なもの、絶対的な真実は存在しないのだから、これはこれでひとつの解釈で楽しめる。明治天皇の玄孫という立場で言えるような内容を記した箇所も多々あるが、(一般の人が言ったら不敬罪と言われそうな内容が満載)式年遷宮で盛り上がっている今、この機会を利用して古事記を読むのも悪くないと思う。

 

EVENT・その他>

 

「セシル・マクロリン・サルウァント」デューク・エリントン・オーケストラコンサートのゲストヴォーカル

立ち姿がかっこいい。お尻の筋肉で立っている感じ。音域がすごく広い、スキャットなどの高い所はうつむいて出しているから、首の後ろを使っているのかもしれない。同じメロディのところを意識的に地声にしたりミックスにしたりして聞かせる。

 

中村誠一ボノボバンド」

サックス&クラリネット中村誠一がピアニストにファンキージャズの吉岡秀晃を迎えてのライブ。中村誠一の自由自在のプレイ、吉岡秀晃の体ごと鍵盤の上を舞うような演奏スタイルが理屈抜きで楽しい。シャンソンの「セシボン」をこんなに楽しく演奏しちゃうなんて脱帽。こういうものを聴くと下手なヴォーカルは曲を野暮ったくするだけだからいらないと思うし、もしここに参加するなら楽器のように声を扱えて、ジャズ理論も知らないとだめだなと感じます。

 

 

「歌姫・島倉千代子さん逝く」*

「ほうせんか」、「東京だよおっかさん」、「人生いろいろ」などの曲をヒットさせ、生真面目な人柄でCMやバラエティ番組で笑いを巻き起こしていた歌手、島倉千代子さんが、11月8日に亡くなりました。

ネットのニュース記事で、死期を悟った島倉さんが10月末に壮絶な「最後のレコーディング」を行っていたことが、作曲を担当した歌手・南こうせつさんの告白により明らかになりました。島倉さんは歌手として、最後の最後まで命をかけて歌い抜いたそうです。

あの優しい人柄、可愛らしい歌声からは、全く想像もつかなかった。まさに、歌手として命燃え尽きるまで歌い切り、生き切ったと言って良いと思われます。

島倉さんの訃報に接し、歌手の石川さゆりさんなども涙ながらに島倉さんの志を継いでゆくことを誓っています。

ご冥福をお祈りいたします。

 

<店>

 

リストランテ ケン ヴェンティクワトロ(イタリアン)」表参道

表参道から一本細い道を入った先にあるお店。KIHACHI出身で著名な料理人である宮川健一シェフが総料理長を務める。しかし期待に反して前菜やスープは、普通だった。見た目も綺麗だし普通に美味しいけれど、普通かな、という印象。ただ、自家製生パスタの“フィットチーネ”と“マッファルディーネ”が絶品だった。フィットチーネは最近では見かけることも多い平うち麺だけれど、マッファルディーネは初めて耳にした。ちぢれた平たい麺で、麺そのものからレモンの香りがする。聞いてみたところ、瀬戸田レモンという国産レモンを練りこんでいるらしい。くどくなりかねない海老の濃いソースを、この麺が爽やかに食べさせてくれる。フィットチーネももちもちの食感で美味しい。また、このお店はドルチェに定評があり、ドルチェの食べ放題などのコースも用意されているが、注文したティラミスは王道のものだった。味も定番そのもので、独創性はないけれど美味しく、レベルの高いものだった。

 

アクアパッツァ(イタリアン)」広尾

雑誌やテレビでも引っ張りだこである、日高良実シェフのお店。系列店が幾つかあるが、当日、シェフ本人を店舗で目にすることができ、嬉しかった。平日の昼間に訪れたけれど、予約客だけで満席の様子。客層はほとんどがおじいちゃんおばあちゃんという年齢の方々で、在席時間が長いのでランチに限っては一テーブルに一組案内するのが限界だろうと思える。ビジネスランチで回転を売りにするお店もあれば、当然こういうお店もあるのだろう。それに合わせて、サービス陣もスーツを着用した中年の男性が多く落ち着いている。バーニャカウダや前菜、ドルチェは小さなものが幾つも盛り合わせの形で提供され、とにかく見た目が美しい。また、上階に系列店のジェラート屋さんがあり、そこのジェラートも出てくる。主食には燻製サーモンのクリームソースパスタを頼んだが、トッピングされている揚げキノコが焦げた苦味しかなく余計だった。クリームソース自体は本当に美味しかったので、焦がしてしまったものなら新しく揚げ直すか、乗せないくらいでもいいのにと残念に思った。ジェノベーゼのパスタにいたっては、味自体があまり美味しくなく、拍子抜けした感じ。

 

「青山 星のなる木(懐石料理)」青山

 こちらは訪れてみるまで知らなかったのだけれど、メディア露出が多く有名なお店だったらしい。「新懐石」を謳う、気鋭の店舗である。新懐石とは何か、というのは、コース料理を食べてみると分かる。10品のコースで注文したが、一つとして無難や定番といった言葉の使えるものがなかった。とにかく一品につき何か一つでも「新しい」ものを提供する、というようなことがこちらのお店の明瞭なコンセプトなのだろう。一番印象に残ったのは、茶碗蒸しを食べる木のスプーンにトリュフオイルを染み込ませ香り付けしてあったこと。トリュフオイルは直接かけると香りが強すぎて気持ち悪くなることさえあるので、スプーンから香るくらいでちょうどいいのだと思った。見目新しいものばかりが揃うが、確かに懐石料理であったし、どれも美味しく、外れがない。さらには店名でもある「星のなる木」という焼酎は年間800本限定で生産し、天皇陛下に献上したこともあるのだという。飲んでみたかったが、当日体調があまり優れなかったことと、芋焼酎なのにアルコール度数が40度以上あることで断念。

 

「ラ・プロヴァンス(フレンチ)」竹芝

ホテルインターコンチネンタル東京ベイの一階にあるフレンチレストラン。日曜日だったこともあり、挙式の関係者らしき客で溢れていた。有名なのは、パレットアートオードブルと名づけられている前菜の盛り合わせ。その名の通り、パレットを模したお皿に、色とりどりの前菜が並ぶという一風変わった趣向。ただ、味より見栄えを取った前菜だと感じた。南瓜のポタージュは濃厚で美味しく、季節感も強い。グリエールチーズの泡がスープの上に乗っており、甘いスープに泡の塩味がちょうどいい。サーモンのグリルは備長炭の薫りが香ばしく、個人的には提供されたバルサミコ酢よりも濃い味のソースで食べたいと思ったが、それでも美味しかった。付け合わせで出されるパンにオリーブオイルが添えられることは多いが、ここではそのオイルが三種類ある。海老や貝、アンチョビやにんにくの香りのするオイルが美味しかった。